海外VCからの資金調達額が前年比7割増、a16zの日本オフィス開設の見込みなど——日本はスタートアップ大国になれるのか?

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Photo by KamranAydinov via Freepik

起業家ビザの緩和やイノベーション拠点の設置などを盛り込んだ日本の「スタートアップ育成5カ年計画」は近年、新たな海外アクセラレータやベンチャーキャピタルを日本に惹きつけている。Andreessen Horowitz(a16z)は近い将来、アジア初のオフィスを日本に開設する見通しだ。また、SPEEDA の発表によれば、2024年1〜6月に海外 VC が日本国内スタートアップに出資した額は、前年比69%増の225億円と急進したことが明らかになった。

AI や半導体などの分野で競争が頻発し、米中関係が緊迫化する中、海外 VC は中国から徐々に撤退することを選択し、資本リスクが低い日本に集中することを決めた。a16z は2024年4月、72億米ドルのファンドを立ち上げたが、このファンドの投資家には、NTT グループと東京海上ホールディングス(東証:8766)が含まれている。中国でディープテックスタートアップの資金調達が難しくなる中で、優秀な中国人 AI 技術者が日本で起業するケースも増えるかもしれない。

Techstars は日本でアクセラレータを開始し、採択12社が12万米ドルの資金と3ヶ月間のプログラムを受けることとなった。その中には、ブロックチェーンを利用して日本のアニメや漫画作品を国際的に宣伝する Samaria など、日本のスタートアップ6社も含まれる。海外 VC が日本のスタートアップに資金投入する一方で、日本の政府系 VC も海外投資を行っている。産業革新投資機構(JIC)はアメリカの New Enterprise Associates へ昨年1月、イギリスの Atomico に今年2月、それぞれ出資を発表した。

Sakana AI は今週、シリーズ A ラウンドで、New Enterprise Associates(NEA)、Khosla Ventures、Lux Capital、NVIDIA(NASDAQ:NVDA)から200億円を調達したことが明らかになった。地域サービス業のマッチングプラットフォーム「ゼヒトモ」は今年4月に明らかにしたシリーズ C ラウンドで調達した11億円のうち、その約半分は台湾の Darwin Venture Management(達盈管理)や韓国の Kakao Investment など海外 VC からだった。今年下半期もまた、日本スタートアップによる海外 VC からの調達は増えることになるだろう。

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