地域サービス業のマッチングプラットフォーム「ゼヒトモ」、11億円をシリーズC調達——CEO三浦氏に聞いた今後の戦略

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Zehitomo の皆さん
Image credit: Zehitomo

地域のリフォームやサービス業をつなぐマッチングプラットフォーム「Zehitomo(ゼヒトモ)」を運営する Zehitomo は17日、シリーズ C ラウンドで11億円の資金調達を完了した。このラウンドは、台湾の Darwin Venture Management(達盈管理)がリードし、韓国の Kakao Investment、りそなキャピタル、DG Daiwa Ventures(DGDV)、環境エネルギー投資が参加した。金額にはデットが含まれる。

今回参加したと投資家のうち、DGDV と環境エネルギー投資は以前のラウンドに続くフォローオンでの参加。これは、2022年5月に明らかになった調達に続くもので、今回ラウンドを受けて、Zehitomo の累積調達額は、明らかになっているものだけで37億円を超えた。同社では今後、 UI / UX をさらにに進化させるなど、製品開発とサービス向上に向けて調達資金を活用する方針だ。

地域に根差したサービス業者にとって、新規顧客の獲得や販路開拓は大きな経営課題の一つだ。リフォーム業界でも同様で、優れた技術力を持つ事業者が集客に苦労し、一方でユーザー側も信頼できる事業者の選定に困難を抱えるといった構造的な問題が存在する。こうした課題に対して、ゼヒトモは、これまでに延べ10万人の事業者と、100万人の登録ユーザとのマッチングを実現してきた。

Zehitomo は2015年7月、日本の JP Morgan および Citi に勤務していた Jordan Fisher 氏と James McCarty 氏が共同創業(当時の社名は JAM Group)。2022年6月に、それまで CEO だった Fisher 氏が会長に、そして、以前はリクルートで SUUMO や HR 事業などを担当し、2020年から Zehitomo で CSO(最高戦略責任者)を務めていた三浦雄一郎氏が CEO に就任した。

CEO 三浦雄一郎氏
Image credit: Zehitomo

Fisher 氏は起業家としてのネットワーキング能力が非常に高く、一方で、私は20年近く企業の事業運営に携わってきました。事業ステージに合わせて役割を明確化し、お互いの強みを生かせるようにしました。(三浦氏)

実際、この人事以降、両者の役割分担がスムーズに行われているといい、経営の効率化が図られているという。

Zehitomo が扱うサービスは、リフォーム、パーソナルトレーナー、家事代行サービスなど多岐にわたるが、三浦氏によれば、需要の多くはワンタイムの依頼となるが、特にリフォーム領域では高い確率でリピートで利用しているのがわかるという。言わばロングテール的に、顧客を薄く広く獲得しておき、リフォーム領域を含めた LTV(顧客生涯価値)で売上を考えるという戦略だ。

お客様の中には、最初に我々のサービスを使ってパーソナルトレーナーに習い始め、次にリフォームを依頼するときに使っていただくといった具合に、複数の領域を横断する方もいらっしゃいます。リフォームは単価が比較的高く、人口の多い都市部でのニーズが強く見られます。

より利益率の高い領域だけへの注力を勧める投資家もいましたが、我々はインターネットの恩恵を受けて、ロングテール需要に応えられるのがマッチングプラットフォームの強みだと考えています。ニッチな需要にもきちんと応えていきたい。(三浦氏)

前に使ったことがある馴染みのサービスが、いざ値の張る作業を頼むときにも使えれば安心感を伴う。高い宣伝費を使って、しのぎを削る競合の中から自分たちのブランド名を想起してもらうよりも、普段使いしてもらっておくという戦略。とはいえ、Zehitomo の喫緊の課題の一つは、事業全体の認知度向上だ。今後は IPO を視野に、広告なども活用して、さらなる認知度向上を図るとしている。

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