米空軍、自動運転車を監視するAIの研究にQylurを選択

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Image credit: Qylur Intelligent Systems

自動運転車やエッジデバイスがますます接続された世界では、世界中の軍隊が複雑なシステムの調整とパフォーマンスの向上を求める。この目的のため、アメリカ空軍は技術請負業者の Qylur Intelligent Systems と契約を結び、「協調型自律システム(Collaborative Autonomous Systems)」において AI をどのように活用できるかを探っている。

Qylur のニュースリリースによると、今回の中小企業技術革新研究契約は、Qylur の「Social Network of Intelligent Machines(SNIM)」という AI の研究開発に資金を提供するものだ。しかし、同社は商業的応用も目指している。

Qylur の CEO Lisa Dolev 氏は、VentureBeat に次のように答えた。

これは私たち自身のシステムの中に入れているコア技術です。私たちは、この防衛の世界に入り込み、我が国が優位に立てるよう、できる限りお役に立てるよう取り組んでいます。商業的な面では、自動運転車、自動運転農業機械、家庭用ロボット、さらには医療用ナノマシンにまで応用することができます。

Qylur のソフトウェアは、オンデバイス AI の展開に関連する課題を解決すると主張している。SNIM AI は、民間企業の産業用ロボットや空軍のドローンなど、ネットワークの端にある機器にパフォーマンス監視レイヤーを提供する。

2005年に Dolev 氏によって設立された Qylur は、ハニカム型バッグスキャナ「Q Entry Experience」を製造するなど、会場やイベントのセキュリティ技術のビジネスで活躍してきた。

バッテリやデータセットが小さくても、エッジデバイスの性能を担保

Lisa Dolev 氏

Qylur の機器は2016年のリオ・オリンピックとサンフランシスコのリーバイス・スタジアムに配備され、リモートセンシング機器やモバイル機器を配備する際にしばしば直面する障害、すなわちモデルを訓練するために利用可能なデータセットの少なさを発見するための洞察を提供した。

Qylur のセキュリティ分野における初期の製品は、銃や爆発物を検知しようとするものであったが、実際に誰かが武器を隠そうとするようなことはめったに起こらなかったため、Qylur は解決策を必要としていた。

より身近なオンラインソーシャルネットワークのように、SNIM AI は関連するデバイスのグループを接続し、共有された同じデータセットを使用する。Qylur によれば、このようなリソースのプールは意思決定の精度を最適化し、モデルの実世界への適応をスピードアップする。これらの機能は、戦闘分野と産業分野の両方のユースケースに関連している。

エッジデバイスは、集中型のインフラと比較すると、バッテリパワーと低い処理能力によって制限される。Qylur の SNIM AI は、特定の用途や展開ケースに合わせてモデルをカスタマイズすることで、こうした障害を軽減しようとしている。

(SNIM は)ミッションに特化し、カスタマイズされたモデルを持つことを可能にします。(Dolev 氏)

初期の経験から判明した AI モデルのドリフト

AIモデルの動作は時間の経過とともに変化する可能性もあり、継続的なオペレーションにおいて「AIドリフト」に対処する必要がある

ほぼ完璧に動作していると思っていたものが、数週間後には完璧に動作していない、つまり少しおかしくなっている可能性があります。(Dolev 氏)

SNIM は、AI ドリフトを自動的に検出し、それに対応してカスタムブーストされたモデルを再トレーニングし、エッジデバイスに再配置することで、AI ドリフトを軽減する。

ドリフトが起こるということは、常に管理しなければならないということです。一度や二度ではなく、常にです。データサイエンティストや ML オペレーションを大量に必要とする場合、その管理には莫大なコストがかかります。SNIM AI はそれを自動的に行うのです。(Dolev 氏)

軍との提携の目的は、Qylur が SNIM AI 技術を空軍のユースケースに適合させることである。Qylur はまた、SNIM AI の継続的な商業化を、現場で AI 対応機器を装備するための重要な次のステップと考えている。

これは AI のための AI のようなものだと言うのが簡単です。AIのためのガードレール、AIのための庭師のようなものです。(Dolev 氏)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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