台湾楽天や台湾ファミマでも採用、EC事業者向け運用支援プラットフォーム「dipp」が2.3億円をシード調達

dipp点譜数位のチーム。最前列の最右が 共同創業者兼 CEO Jennifer Chen(陳思穎)氏、中央が共同創業者 Mikhail Abramov 氏
Image credit: dipp(点譜数位)

e コマース技術スタートアップ dipp(点譜数位)は15日、シードラウンドで VC アクセラレータの SparkLabs 台湾、ニューヨークを拠点とする VC の Palm Drive Capital、AIGC コンテンツ配信プラットフォーム「Tezign(特賛)」などの投資家から約5,000万ニュー台湾ドル(約2.3億円)を調達したと発表した。

dippによると、このラウンドで調達した資金は、プラットフォームの AI 機能を開発し、e コマース業界における AI の適用を深め、アジア太平洋市場に注力するために使用される。

dipp は2018年に設立された e コマース技術プラットフォームで、主に「部門横断オンラインコラボレーションプロセスの構築」「ブランド資産管理クラウド」「ビジュアル仕様のデジタル化(ブランドフォント、文字間、行間などの統一)」「画像量産の自動化」の4種類のサービスを提供している。

dipp のアイデアは、dipp の共同設立者兼 CEO Jennifer Chen(陳思穎)氏と、共同設立者 Mikhail Abramov 氏が、デザイナーの仕事のペインポイントについて共通の理解を持ったことから生まれた。2人ともニューヨーク大学でデザインを専攻し、Fortune 500 企業のデザインディレクターを務めた経験から、ブランドマネジメントにおけるビジュアルの重要性と、チーム間のコミュニケーションにかかるコストを理解している。

「この「アジャイルな e コマースコラボレーション管理プラットフォーム」を開発した目的は、e コマースのオペレーションとマーケティングのフロントエンドプロセス(店頭、広告、プロモーションなど)を自動化することです。」

dippは2020年のサービス開始以来、100社以上の代理店、e コマースプラットフォーム、国際的なブランドにサービスを提供しており、毎分数万枚の画像がシステム内で自動生成され、LEVI’S、台湾楽天市場、台湾ファミリーマート(全家)など有名クライアントが名を連ねている。

dipp の最初のクライアントである Hsin Hsin Galaxy(欣新網)の広告担当ディレクタ Ethan Shaw(蕭錚浩)氏は、次のような経験を語っている。

dipp との提携を決める前は、ビジネスとデザインの間を行き来するデザイン業務の発注と校正のサイクルを簡素化したいと常に考えていた。この3年間で、dipp のプラットフォーム上で「リアルタイム校正」を実現し、ビジネスとデザインが一つのプラットフォーム上でコラボレーションできるようになった結果、クライアント数が3倍に増え、チームの生産性も3倍に向上した。

dipp プラットフォームのインターフェース
Image credit: dipp(点譜数位)

資金の用途

dipp は、今回調達した資金の使い道として、AI 関連の機能開発への投資と、台湾以外のアジア太平洋地域の e コマース市場への参入の2つを挙げている。

いわゆる AI 関連の機能開発には、「インテリジェントレイアウト機能(智能佈景)」でプロダクトの提示方法をさらに多様化し、「素材インスタント生成(素材即時生成)」で時間や手間のかかるライブラリ検索を代替し、「インテリジェントレビュー(智能審稿)」で企業チームの効率を大幅に向上させ、企業のマンパワーと時間のコストをさらに削減する。

今回のラウンドの出資者である Palm Drive Capital のマネージングパートナー Seamon Chan (陳希孟)氏は次のように語った。

今年第1四半期のジェネレーティブ AI に対する世界のベンチャーキャピタルの投資額は、依然として17億米ドルと高い水準にあり、dipp は台湾市場で、国際ブランドのデジタルマーケティングに効果的にクロス e コマースプラットフォームソリューションを提供できることを証明した。dipp は豊富な映像素材資産を蓄積しており、これをジェネレーティブ AI と組み合わせることで、アジア太平洋地域の e コマースエコシステムに破壊的なインパクトを与えることも期待できる。

アジア太平洋市場について、dipp は今年第3四半期にシンガポール、タイ、フィリピンへの参入を目指しており、現在現地のクライアントと協議中であることを共有している。dipp のチームは、次のように語った。

国際ブランドがアジア太平洋地域の e コマース市場に参入するためには、各国の国情、文化、言語に焦点を当て、それぞれの地域の主要な e コマースプラットフォームでパーソナライズされたマーケティングを行う必要がある。dipp は、国際ブランドに対して、ビジュアル管理、生産、棚上陳列のワンストップソリューションを効果的に提供し、手作業で確立された SOP をソフトウェアで自動化し、人間と機械のコラボレーションを深め、ミスを減らす。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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