イギリスのスタートアップ Etcembly は23日、ジェネレーティブ AI を使って新しいがん免疫療法の候補薬の創出に成功したと明らかにした。これにより、多くの種類のがんにおいて見られるタンパク質を標的とした治療法が可能になる見通しだ。特にこの技術は、T 細胞受容体(TCR)治療薬の設計と最適化のスピードアップに優れているという。
Etcembly は自社開発したAI プラットフォーム「EMLy」を用いて「ETC-101」という免疫療法を設計した。ETC-101 は、腫瘍抗原 PRAME(PrefeRentially expressed Antigen in MElanoma)を標的とする治療法だ。健康な組織には存在しないが、がん細胞に存在するタンパク質を標的とする。
従来の方法では2年以上かかっていた TCR 治療薬の設計と最適化が、Etcembly の AI 技術によってわずか11ヶ月で達成された。Etcembly は、ETC-101 などを2025年頃にヒト臨床試験に進める計画だ。Etcembly の AI エンジン「EMLy」は、大規模言語モデル(LLM)を使い、候補となる TCR を予測・設計・検証する。これにより、初期設計が迅速化し、臨床試験での失敗リスクが低減されるという。
Etcembly は2020年に設立され、機関投資家や個人投資家から支援を受けている。また、AI スタートアップ支援プログラム「Nvidia Inception」にも参加しており、その取り組みが評価されている。免疫療法の分野における新たな展開により、がん治療における新たな可能性が開かれることが期待されている。
via BusinessWire
Members
BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。無料で登録する