デジタルヒューマン「快手智播」、ByteDanceのAIボット「Grace」など——中国スタートアップシーン週間振り返り(8月7日~11日)

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記者会見で披露された「Kuaishou Zhibo(快手智播)」。
Image credit: Kuaishou Zhibo(快手)

本稿は、Technode(動点科技)が、8月7日〜8月11日に配信した「News Feed」記事の中から主要ニュースを翻訳したものです。

Kuaishou(快手)、AIGC デジタルヒューマン製品「Kuaishou Zhibo(快手智播)」を発表(8月11日)

8月10日、中国の短編動画プラットフォーム「Kuaishou(快手)」は、新しい AIGC ソリューションと AIGC デジタルヒューマン製品「Kuaishou Zhibo(快手智播)」を発表した。Kuaishou の AI 事業の責任者 Wang Zhongyuan(王仲遠)氏は、AIGC ソリューションは Kuaishou が独自に開発した基礎的な大規模言語モデルに基づいて構築されていると強調した。

AIGC は、クリエイターにインスピレーション、クリエイティブな素材、インテリジェントな制作サービスを提供することで、テキスト、画像、音楽、ビデオ、3D 作品の制作を支援するという。さらに同社は、ポートレートカメラアプリ「Yitian Camera(一甜相機)」や動画編集アプリ「Kuaiying(快影)」などで、テキストから画像への変換、AI 支援カメラ、インテリジェントビデオスクリプティングなどの技術を開発している。36気

人材紹介の58 Group(58集団)、卒業生の履歴書を転売か(8月10日)

中国のニュースサイト NetEase(網易)が9日に報じたところによると、中国のクラシファイドサービスプロバイダ 58 Group(58集団)が卒業生の履歴書を集め、教育機関に高値で販売していることがわかった。58 Group は履歴書を30人民元(約600円)から2,000人民元(約4万円)で販売しており、博士課程の学生の履歴書は約1,500人民元(約3万円)という高値で取引されている。同社は、Xinhua Net(新華網)と58 Group が共同開発した求人サービスプラットフォーム「ChinaHR.com」から求職者の情報を収集しているという。

58 Group の元従業員は Netease の取材に対し、次のように述べた。

2023年上半期、58グループは約10社と協力し、約29,000通の履歴書を販売し、総売上は100万人民元(約2,000万円)に上った。

5,000件以上の履歴書を市民の同意なしに転売した場合、個人情報の権利を侵害する可能性があり、有期懲役になる可能性があると、法律の専門家は NetEase に語った。このニュースに対し、58 Group のカスタマサービススタッフは、同社はユーザ情報の転売やその他の違法な業務には関与していないと述べた。(網易)

iFlytek(科大訊飛)、高度な AI 機能を搭載した次世代スマートオフィスノート「X3」を発表(8月10日)

中国の音声認識ソフトウェア会社 iFlytek(科大訊飛)は10日、新世代のフラッグシップスマートオフィスノート「X3」を発表した。自社開発のジェネレーティブ言語モデル「Spark(星火)」を搭載し、会議の自動文字起こし、業務報告書の作成、複数人での音声認識など、高度な AI 機能を備えている。このノートブックは、解像度 300ppi の10.65インチ E-Ink ディスプレイを備え、ワコムの電磁ペンが付属し、ユーザに滑らかな紙の書き心地を提供する。

8つのマイクを搭載した X3 は、方言認識と翻訳に関しては、最大12の方言認識と7つの外国語の翻訳をサポートしている。さらに、新しいスマートバーデザインは、e-ink スクリーンのページめくりが遅いという問題に対処している。X3 は現在中国で発売中で、価格は4,999人民元(約10万円)からとなっている。鈦媒体

中国規制当局、全てのモバイルアプリの認可を義務化(8月10日)

MIIT(中国工業情報化部、日本の経済産業省に相当)は10日、モバイルインターネット情報サービスの管理をさらに強化するため、すべてのモバイルアプリを同部の Web サイトを通じてオンライン登録しなければならないと発表した。中国のネットワーク法に基づき、登録手続を完了しない個人は、アプリサービスを提供することが禁止されると MIIT は述べている。

2023年9月から2024年3月までの間に、アプリ提供者は同部の通信管理局に登録手続を完了させる予定だ。その後、2024年4月から6月にかけて、当局がすべてのアプリのコンプライアンスを監督し、必要な手続を履行していないアプリに対して措置を講じる。中国工業情報化部

中国の AI スタートアップ Baichuan(百川智能)、4ヶ月で3つ目のLLMを発表(8月9日)

創業4ヶ月の AI スタートアップ Baichuan Intelligent Technology(百川智能)は8日、530億のパラメータを備えた初のクローズドソースモデルを発表した。同社は4月の設立以来、2つのオープンソースの大規模言語モデルを迅速にリリースしてきたが、今回の新モデルは、より大規模なパラメータに対応する事前学習済みモデルの提供における同社のスピードの速さを示している。

導入されたばかりのモデル「Baichuan-53B」は、主に企業顧客向けで、テキスト生成に焦点を当てている。このモデルをベースにした ChatGPT のようなチャットサービスは、モデルが発表されたその日に社内テストに入り、公式サイトには、来月には API と関連コンポーネントを一般に公開する予定であることが示されている。百川智能

iMile Delivery がイタリアに進出、中国初のヨーロッパ進出スタートアップに(8月8日)

中国メディア LatePost(晩点)が7日に報じたところによると、越境物流企業 iMile Delivery は最近、イタリア市場に参入し、ドイツにヨーロッパ本部を設立、ヨーロッパに進出した初の中国系エクスプレス配送スタートアップとなった。2017年、iMile は中国のテック大手 Huawei(華為)と Alibaba Cloud(阿里雲)の元社員 Rita Huang 氏によって UAE のドバイで設立された。同社は中東の宅配市場をターゲットにしている。2021年、TikTok の親会社 ByteDance(字節跳動)が同社のシリーズ A ラウンドに参加し、1,000万米ドルを投資した。2022年、iMile はブラジルとメキシコに事業を拡大した。

iMile Delivery は現在、深圳にオペレーションセンター、杭州にテクノロジーセンターを持ち、アメリカの EC 大手 Amazon、中東のローカル EC プラットフォーム「Noon」、ファストファッションブランド「SHEIN」、アリババの物流部門「Cainiao(菜鳥)」と提携している。LatePost によると、iMile のヨーロッパでの事業範囲は、ラストワンマイルのエクスプレス配送と、トラック輸送や倉庫管理を含むサプライチェーン業務からなる。iMile は、国際的な事業展開を目指す中国ブランド、特に自動車、太陽エネルギー、家電製品などの高価値産業などの顧客にサービスを提供する予定だ。晩点

Bertelsmann Investments、中国のスタートアップやテックグループに7億米ドルを投資へ(8月8日)

Financial Times によると、ドイツ最大のベンチャー・キャピタル・ファンドのひとつである Bertelsmann Investments は、中国のスタートアップに7億米ドルの投資を計画している。Bertelsmann Investments の CEO Carsten Coesfeld 氏は、Financial Times に対し、中国を訪問し、その「非常に素晴らしい」起業家精神に驚かされたと語った。今後3~5年間、Bertelsmann Investments は、大手金融機関や政府系ファンドを含む共同投資家とともに、中国のテックグループや中国人がグローバルに設立したスタートアップを支援することを目指している。

Coesfeld 氏はまた、Financial Times の取材に対し、アフターコロナの中国の成長課題に関する欧米メディアの説明と、現実との違いを指摘した。中国経済に対する見解について、Coesfeld 氏は次のように述べた。

明らかに、GDP 成長率10%には戻れない。たとえ規模が小さくなったとしても、経済成長の量的拡大は軽視できないものだ。

2008年の設立以来、Bertelsmann Investments の中国に特化した小会社 Bertelsmann Asia Investmentsは、自動車業界向けのオンラインコンテンツおよびマーケティングプロバイダの BitAuto(易車)、ストリーミング・プラットフォームの Bigo(歓衆)、2018年に Meituan(美団)に買収されたバイクシェアリング会社 Mobike(摩拜単車)など、すでに180以上のスタートアップに投資している。Financial Times

中国、顔認証技術に関する規定草案を発表(8月8日)

中国のサイバー空間管理当局は8日、国内の顔認証技術のセキュリティ管理を監督することを目的とした規定草案を発表した。中国のインターネット監視機関である中国サイバースペース管理委員会(CAC、中央網络安全和信息化委員会弁公室)は、この規則案について積極的に世論を募っている。CAC によると、顔認識技術の使用は、真に必要な特定の目的に限定されるべきであり、厳格な保護措置が実施されなければならない。

顔認識技術を使用する前に、個人の事前の同意が不可欠であり、同様に効果的な非バイオメトリック手段が利用可能な場合は、顔認識よりも非バイオメトリック識別ソリューションを優先すべきである、とCACの声明は述べている。生体認証、特に顔認証は、中国では、入場管理、オンライン決済、個人の身元確認など、さまざまな場面で広く使用されるようになっている。中央網絡安全和信息化委員会弁公室

ByteDance(字節跳動)、AI チャットボット「Grace(豆包)」をテスト(8月7日)

TikTok を運営する ByteDance(字節跳動)は、ChatGPT に似たサービス「Grace(豆包)」のテストを開始した。ByteDance は、Graceを「AI パートナー(AI 伙伴)」と呼んでおり、ユーザーは親指を立てたり下げたりすることができ、AI アシスタントに応答を再生成するよう求めることができる。この報道は、ByteDance の従業員の言葉を引用し、このアプリは現在「未成熟」であり、主要な外国語モデルと比較すると「大きなギャップ」が存在することを認めている。Tech 星球

TikTok、ヨーロッパデジタルサービス法に対応した新機能を発表(8月7日)

4日付のロイター通信によると、TikTok は、ヨーロッパで施行されるデジタルサービス法(DSA)に基づく規制に対応するための新機能を発表した。 DSA は、TikTok や Google を含む主要オンラインプラットフォームに対し、プラットフォーム上の違法コンテンツの監視と削除、特定の広告手法の制限、当局とのデータ共有を義務付けるものだ。

先月、TikTok は欧州委員会のスタッフによる自主的なストレステストに同意したが、その後、EU の業界責任者 Thierry Breton氏は、同社が完全なコンプライアンスを達成するためにはさらなる作業が必要であると述べた。

TikTok は4日、ヨーロッパユーザ向けに、パーソナライズされたビデオ推薦をオフにしたり、13歳から17歳のユーザを対象としたターゲット広告を削除したりできるいくつかの新機能を公開した。同社は「我々は規制上の義務を果たすだけでなく、革新的なソリューションを通じて新たな基準を設定する努力を続ける。」と述べた。ロイター

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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