三菱UFJイノベーション・パートナーズ、200億円規模の3号ファンドを組成——生成AIなど金融への活用念頭に

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三菱 UFJ イノベーション・パートナーズ(略称:MUIP)は11日、3号ファンドを組成したと明らかにした。2021年8月に組成を発表した2号ファンドに続くもので、ファンドは1号や2号と同様に200億円規模を見込む。ファンドの GP は三菱 UFJ イノベーション・パートナーズ、LP は三菱 UFJ 銀行をはじめとする MUFG のグループ各社となっている。

純投資を行う三菱 UFJ キャピタル(MUCAP)とは対照的に、MUIP は MUFG 各社との協業などを念頭に置いた戦略出資のための CVC だ。投資チームは東京のほか、ニューヨーク、パロアルト、シンガポールの活動拠点で、ディールソースやデューデリジェンスを行なっている。MUIP の AUM は、3つの基幹ファンドとアメリカやイスラエル向けの FoF(ファンド・オブ・ファンズ)も含め、合計で約800億円に達した。

MUIP 戦略投資部長の佐野尚志氏によれば、昨年から今年にかけて、インド向けの MUFG Ganesha Fund(約400億円)、東南アジア向けの MUIP ガルーダ1号 Fund(約133億円)が組成されたことを受けて、3号はより日本やアメリカ向けの出資が中心となる予定だ。また、3号ファンドには当てはまるかどうか不明だが、2号は1号に比べ日本のスタートアップ向け出資の比率が増えたという。

MUFG のスタートアップ向け投資・融資の取り組み(金額は未実施分を含む出資枠総額)
Image credit: MUFG Innovation Partners

(イスラエルの AI を使ったスタートアップ向け投資フィンテックスタートアップ)Liquidity Capital には1号と2号ファンドから投資していますが、三菱 UFJ 銀行と Liquidity Capital が合弁で設立した Mars Growth Capital(2020年組成のデットキャピタル、約1,330億円)は、日本向けの Growth Fund(最大200億円)を準備するなど、MUIP 関連の取り組みが日本でも増えています。(佐野氏)

MUIP では今後、ジェネレーティブ AI をはじめとする非フィンテックスタートアップにも出資を継続し、MUFG とのシナジーを探る。また、タイのアユタヤ銀行、インドネシアのバンクダナモンなど出資先の海外銀行とも連携し、銀行の取引先企業にも、出資先スタートアップからの新技術導入を促すとしている。

MUIP がこれまでに複数のファンドを通じて出資してきたスタートアップは40社超で、2022年の投資実績は100億円程度となった。ミドルステージ以降のスタートアップに対しては、三菱 UFJ 銀行などからの直接出資も行っており、スタートアップやデジタル関連企業への出資枠の総額は約5,700億円に達した。

大手金融グループの国内外への大型ファンドとしては、三井住友銀行が5月、インキュベイトファンドと共同で、シンガポールで2億米ドルの CVC「SMBC Asia Rising Fund」をローンチしたのが記憶に新しい。みずほフィナンシャルグループは4月、100億円規模の CVC「みずほイノベーション・フロンティア」を設立した。いずれも純投資ではなく、本業との事業シナジーを念頭に置いている。

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