チーム3人でメディア50社超を顧客獲得、台湾Spot(超妡科技)——AIとクラウドで生中継とSNS連携を効率化

Spot 共同創業者の2人。左から:Qi Ming Hong(洪頎茗)氏、Xiaoyang Gao(高曉陽)氏
Image credit: Spot(超妡科技)

好むと好まざるとにかかわらず、短編動画は日常になりつつある。Meta の公式データによると、Instagram Reels のコンテンツは現在、ユーザの消費時間の20%以上を占めている。

多くの動画クリエイターやメディアは、数分の動画コンテンツから30秒のクリップを抽出し、短編動画プラットフォームに掲載することでトラフィックを集め、一石二鳥を狙っている。しかし、編集する動画クリップを選び、短編動画のフォーマットに合った動画に調整するには、やはり手間と時間がかかる。一石二鳥という当初の意図が、かえって負担になってしまっているのだ。

AI スタートアップの Spot(超妡科技)は、これを5分以内で可能にする。Spot のプラットフォームを通じて、アーカイブの動画にタグ付けし、短編動画に素早く編集することで、人手とコストを削減することができる。現在、Spot は Mirror News(鏡新聞)MOMOTV(優視媒體、台湾金融大手 Fubon Group=富邦集団傘下のテレビチャンネル)など大手メディアのパートナーとなっている。

Spot Livecast(Spot 直播)では、ライブ字幕の挿入に加え、画面を横長から縦長に変換することも可能だ。
Image credit: Spot(超妡科技)

スマートフォンで時間とコストを削減

Spot の元々の焦点は、スポーツ業界におけるライブストリーミングで、ユーザが動画にラベルを貼り付けて分類できる動画管理システムを提供している。例えば、動画に「(プロバスケ選手の)Jeff Lim(林志傑)」「3ポイントシュート(三分球)」「素晴らしいパスとアシスト(妙傳助攻)」などのラベルを付けておくことで、その後、関連する動画クリップをキーワードで素早く検索することができ、大量のアーカイブ動画の管理に役立つ。プロバスケットボールリーグの「P.LEAGUE+」、プロ野球チームの「CTBC Brothers(中信兄弟)」や「Wei Chuan Dragons(味全龍)は、現在 Spot のパートナーとなっている。

Spot は元々スポーツの生中継に特化していた。ユーザがタグ付けで動画を分類できるストリーミング管理システムを提供している。
Image credit: Spot(超妡科技)

P.LEAGUE+ にサービスを提供している中で、Spot のチームはさまざまな機会の記者会見で、従来メディアのカメラマンたちがしばしば巨大なカメラと(生中継用の)5G バックパックを現場に運び、ライブ映像を主調整室に伝送し、放送機器や無線機器などさまざまなハードウェア機器を通して生放送を制作しており、全体で非常に高いハードウェアと人件費を消費していることを発見した。

現在では、スマートフォンを使うだけで生放送を行うことができるが、従来メディアは依然としてハードウェア機器に制限されており、急速なデジタルトランスフォーメーション(DX)に対応することができない。(Spot 共同創業者 Qi Ming Hong=洪楚明氏)

この問題に気づいた Hong 氏は、メディア分野はスポーツ分野よりも大きな市場になると考えた。そこで今年6月、Spot はメディア分野の事業開発に乗り出した。

AI とクラウドデータベースを組み合わせ、コスト削減と生産性向上を実現

Spot は、ハードウェア機器を必要とせず、スマートフォンだけで生中継を開始できる使いやすいライブ放送システムをユーザに提供し、ライブ放送1回あたり数万円のコスト削減を実現する。さらに、Spot は「GPT-3.5」に API 連携し、ユーザは生放送中にライブ字幕を提供することができる。

台湾では、ライブ字幕を提供する唯一のシステムだ。(Hong 氏)

しかし、生中継の仕組みは Spot の入口に過ぎず、本当の価値は映像処理と映像データベース管理の技術にある。

生成されたライブ字幕を使ってユーザはハイライトを素早く選択でき、システム内で動画を横長から縦長に変換し、ソーシャルメディアプラットフォームに即座にアップロードすることができる。これまで1日に6~8時間かかっていた作業が5分でできるようになり、生成される短編動画の数はオリジナル動画の10倍以上になる計算だ。

Spot のクラウドデータベースを通じて、メディアはカテゴリタグを使ってキーワード検索し、過去のクリップを見つけることもできる。これは、スポーツ業界の顧客に提供しているのと同じような使い方だ。

Spot のクラウドデータベースでは、タグを使って動画クリップを素早く検索できる。
Image credit: Spot(超妡科技)

3人のチームで、50社以上の顧客にサービスを提供

現在、Spot はサブスクベースのビジネスモデルで運営されており、加入者は動画の時間数に応じて課金される。 Spot は50社以上の顧客を抱えているが、チームはわずか3人の創業メンバーで運営を続けている。

これは搾取ではなく、work smart なのだ。(Hong 氏)

Spot のチームは社内管理の多くを自動化し、3年間リモートで仕事をしている。

最小の労力で最大の成果を上げたいのだ。(Hong 氏)

Spot チームの目標は、いつか自分たちがそのポジションを離れなければならなくなったとしても、会社が混乱することなく運営を続けられるようにすることだ。

結局のところ、我々はメディア業界の非常に重要な部分を置き換えたのだ。

Hong 氏は自信たっぷりに語った。

Spot チームの3人。左から:Qi Ming Hong(洪頎茗)氏、Xiaoyang Gao(高曉陽)氏、施冠廷(Guanting Shi)氏
Image credit: Spot(超妡科技)

起業に関する簡単な Q&A

Q: 起業してからのベスト3は何ですか?

合理化:テクノロジーを駆使し、最小の人員で最大の成果を上げること。
革新:スマートに仕事をする。
敏捷性:早く失敗し、早く学ぶ。

Q: 顧客や投資家から最もよく聞かれる質問は何ですか? あなたならどう答えますか?

「Spot は高価なワークステーションとどう違うのか」という質問。
Spot のライブワークステーションは先進的な SaaS アーキテクチャで構築されており、最新の AI 機能をすぐに利用でき、ハードウェアのアップデートを心配する必要がない。従来のワークステーションに比べ、Spot は省スペースかつ効果的で、テクノロジーが重要になる未来のトレンドを反映している。

Q: 起業して学んだことは何ですか? 起業してからの考えや経験は?

起業では、常にエグゼキューションを重視するということ。どんなに多くのアイデアを持っていても、エグゼキューションが伴わなければすべて空っぽだ。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する