B2C については、こうしたロジスティクスの工夫のおかげで翌日配送は一般的になりつつあるが、アスクルなどの事例を除けば、B2B でこれを実現するのは難しい。おそらく、B2B となると SKU が多くなり過ぎるので、超ロングテールな商品のバリエーションについて、複数のロジスティクスセンターで在庫を持つのは採算に乗りにくいからだろう。しかし、B2B であっても、客は頼んだらすぐに製品を手に入れたい。これを建材サンプルの世界で実現したのが Material Bank だ。
Image credit: Design Future Japan
Material Bank はアメリカでスタートしたサービスで、一昨年に1億米ドルを調達した際 GB Universe が取り上げている。日本にも参入しないのかなと思っていたところ、昨年末、Design Future Japan(以下、DFJ)が「Material Bank Japan(以下、MBJ と略す)」を始めた。DFJ を創業したのは、NTT データでエンジニアやコンサルタント、ソフトバンクの社長室でグループの戦略企画に携わった中沢剛氏だ。DFJ の前、中沢氏はオンライン接客の UsideU(2021年6月、ヒト・コミュニケーションズが買収)で CIO を務めた。
DFJ は、アメリカの Material Bank からは出資を受けているものの、ベンチャーキャピタルからの調達の有無を含め、詳しい資本構成については非公開とのことだった。おそらく、この種のサービスの場合、特定の企業からの出資を受けていることが明らかになると、その競合社をプラットフォーム参画に呼び込みづらいことがあるので、そうしたケースを懸念しての配慮だろう。同社が十分に成長したときか、上場するときには、必然的に開示されることになる。
Material Bank Japan の建材サンプルの詰め合わせ IImage credit: Masaru Ikeda