ドラッグ合法化のカナダで躍進、依存症患者ケア事業などに投資するSafe Supply Streamingが上場

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Image credit: Safe Supply Streaming

近年、多くの国や地域でドラッグの合法化が進んでいることはご存じでしょうか。ポルトガルは2001年に、アメリカのオレゴン州では2020年にそれに続きました。

さらに、カナダのブリティッシュコロンビア州では規制薬物・物質法の適用除外を許可し、2023年1月31日から、成人がヘロインやフェタミン、粉末コカインなどのドラッグを少量個人使用のために所持していても刑罰に問われなくなりました。

合法化の背景には、ドラッグの使用に関する問題を刑罰から公衆衛生の問題とすることで、救命支援や公共機関によるサービス提供、またドラッグ使用への偏見をなくす目的があります。一見すると、個人の責任の範囲で自由に使うことを容認しているように思えますが、隠れて使用されて取り返しがつかない状況まで手を出せないよりは、その危険性を明るみにすることでみんなで支えていきましょうという意味合いがあるのです。

特に、ブリティッシュコロンビア州はこれまで非合法でありながら、ドラッグが州全体の19歳から39歳の死因で第2位となっているほど取り締まりでは手の出しようがない地域でした。似たような状況の地域が世界中に存在することを踏まえると、これからのブリティッシュコロンビア州の施策が成功するか否かというのは大きな分岐点となると言えるでしょう。

このような状況を背景に、カナダでは世界で初めて、ハードドラッグの非犯罪化から利益を得る事業を展開する Safe Supply Streaming がカナダ証券取引所に10月3日に上場しました(逆さ合併による上場)。言うまでもなく、同社はドラッグを売り捌き、ドラッグ使用率を上げることを目的としたスタートアップではありません。

輸入、配布、研究所、クリニックなど、安全供給を行う上で、必要なすべての部門をサポートすることを目的としています。具体的には、薬物検査サービス、依存症クリニック、フェンタニルテストストリップの製造業者、コカの葉のエネルギードリンクの製造業者など、州が目指す合法化することで安全となる社会の実現を達成するためのサポートです。

Safe Supply Streaming の合法ドラッグ市場への参入は、投資家を惹き付けた点も特徴的です。政府や自治体レベルの関与だけなく、経済合理性を経て、営利企業がサプライチェーンを構築することは成長と継続、多様化、世界的拡大、イノベーションの機会への期待値が高まります。麻薬戦争に終止符を打つための世界で最も進歩的な管轄区域となったカナダのブリティッシュコロンビア州で奮闘する同社にこれからも注目が集まるでしょう。

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