THE SEED、30億円規模の3号ファンドを組成——ロート製薬がアンカーLP、京都・大阪にも起業家拠点開設へ

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左から:黒岩駿氏(THE SEED 学生スタッフ、ZEROGATE代表)、宮城圭介氏(THE SEED ベンチャーキャピタリスト)、田山凌汰氏(One StepS 代表取締役、撮影当時は THE SEED 学生スタッフ)、廣澤太紀氏(THE SEED GP)
Image credit: THE SEED

シードスタートアップ向け VC の THE SEED は1日、30億円規模の3号ファンドを組成したことを明らかにした。このファンドの調達は 1st クローズを迎え、これまでに12億円の資金が集まっているという。3号ファンドに LP として出資したのは、ロート製薬(東証:4527)、CARTA HOLDINGS(東証:3688)、山陰合同銀行(東証:8381)、Japan Next Generation ファンド(あおぞら企業投資による運営)、佐々木食品工業(大分の青汁加工メーカー)、筒井敬三氏(LIFULL 執行役員 新規事業室長)、ORSO。

THE SEED は2号ファンドまではシードステージのスタートアップを対象としてきたが、今後は、プレシードを対象に含めるようだ。これには、以前に比べてアーリーラウンドでの調達額が増えていることも影響しているとみられる。THE SEED ではプレシードでのリード出資を積極的に実施し、初回のチケットサイズで1,000〜2,500万円、次回ラウンドで3,000万円、以降、ステージに応じて、フォローオンでの出資を検討する。

THE SEED の東京・渋谷にあるコワーキングスペース「SEEDSHIBUYA」
Image credit: THE SEED

THE SEED は、East Ventures や Skyland Ventures 出身の廣澤太紀氏により2018年に設立。同じ年に1号ファンド、2021年に2号ファンドを組成し、両ファンドを合わせた運用額(AUM)は約16億円。3号ファンドの調達が順調に進めば、今後、AUMは40〜50億円に達するとみられる。THE SEED のこれまでの出資先は約50社。20代の若手起業家によるスタートアップが多い。代表的な投資先には、「スマートコーヒースタンドroot C」の New Innovations、バイオスティミュラントの AGRI SMILE などがある。

今回の3号ファンドでは、2022年に THE SEED に参画した宮城圭介氏が資金調達と投資活動で中心的な役割を務めたという。一般的な VC では、パートナー、アナリスト、アソシエイト、アシスタントなど、投資経験などに基づいた職位が設定されていることが多いが、「そもそも VC においては、職位にかかわらず投資を実行できるかどうかが重要」との考え方から、最終的な責任を持つジェネラルパートナー(GP)以外の職位は排除したとのことで、宮城氏の肩書きは「ベンチャーキャピタリスト」となっている。

THE SEED の1号ファンドのアンカー LP は、さくらインターネット(東証:3778)だった。廣澤氏や宮城氏らは、大阪や関西のスタートアップエコシステムを盛り上げたいとの思いから、田中邦裕氏(さくらインターネット代表取締役社長)を通じて、ロート製薬 代表取締役会長の山田邦雄氏の紹介を受け、3号ファンドのアンカー LP として出資してもらうことに至ったという。THE SEED は現在も、3号ファンドの追加調達に向け、関西の大企業やファミリーオフィスなどを中心にアプローチを続けている模様だ。

Image credit: THE SEED

THE SEED は1日、東京・渋谷で昨年に続き2回目となるカンファレンス「THE FUTURE X」を開催するが、その最初のセッションには、3号ファンドの立役者となった山田氏と田中氏、また、早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄氏が「関西企業の急成長と変革」と題したパネルディスカッションに登壇する。ちなみに、入山氏はロート製薬の社外取締役も務めている。

また、THE SEED は昨日、オンラインプログラミング開発の Progate と共同で京都オフィスを開設したことを明らかにした。このオフィスは「ハッカソンオフィス」と名付けられ、京都大学や同志社大学の今出川キャンパスに近い、京都・百万遍に置かれる。THE SEED は以前にも、京都・洛北に CharacterBank のオフィスとのシェアでインキュベーションオフィスを設けたことがあるほか、京大とは学内の起業家発掘・育成を目指し共同研究を行なっている。THE SEED では年内に大阪オフィスの開設も予定している。

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