政府が「低高度経済」行動計画を発表、AI展開でAppleとBaidu(百度)が提携かなど——中国スタートアップシーン週間振り返り(3月25~29日)

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Baidu(百度)の「Ernie Bot(文心一言)」記者会見で説明をする Robin Li(李彦宏)氏
Source: Baidu(百度)の公開動画から

本稿は、Technode(動点科技)が、3月25日〜3月29日に配信した「News Feed」記事の中から主要ニュースを翻訳したものです。

中国、空飛ぶクルマの商業化に向けた「低高度経済」行動計画を発表(3月28日)

中国政府は27日、低高度空域の新興航空セクターを、経済を強化する新たな成長エンジンにするという広範な目標の一環として、空飛ぶ車の開発を加速させる初の行動計画を発表した。エアタクシーとしても知られる電動垂直離着陸機(eVTOL)による旅客輸送のいくつかの試験的プログラムは、まず広東省南部、香港、マカオなど、中国のより発展した地域で導入される予定だと、工業情報化部(工業和信息化部、日本の経済産業省に相当)は述べた。

中国政府は、eVTOL とドローンが比較的低い高度で運航され、中国社会のさまざまな側面に対してよりインテリジェントで環境に優しい空の旅とフェリーサービスを提供する2030年までに、新しい航空機器産業の「初期発展」を目指している。低高度経済の発展は、3月11日に終了した最新の全人代で初めて政府の業務報告に盛り込まれ、航空宇宙産業を後押しする中国の意図を示した。工業和信息化部

Douyin(抖音)、e コマース事業拡大で独立したショッピングアプリをローンチ(3月28日)

短編動画共有プラットフォーム「Douyin(抖音)」はこのほど、注文量が増加する中で業務強化を目指し、e コマース事業用の独立したアプリを立ち上げた。このアプリは現在 Android 端末でダウンロード可能だが、アップルのプラットフォームではまだリリースされていない。Douyin の担当者の一人は、「積極的なショッピングを求めるユーザにより良いサービスを提供する」ことを目的としていると地元メディアに語っている。

Douyin 内の短編動画やライブストリーミングで買い物客を誘う、活況を呈している小売サービスは、ByteDance(字節跳動)の2023年の売上高1,100億米ドル超に大きく貢献している。Douyin は、e コマース総額の前年比成長率目標を40%近くに設定し、今年中に3兆人民元(約63.9兆円)を突破することを目指していると報じられている。36気

フォルクスワーゲンとBYDのサプライヤー、Horizon Robotics(地平線機器人)が香港 IPO を申請(3月27日)

Volkswagen や BYD(比亜迪)といった大手自動車メーカーに車載技術を提供している中国の Horizon Robotics(地平線機器人)は、香港で非公開の株式売却を申請した。この動きは、国内外で自律走行技術に対する消費者の需要が高まっていることを利用することを目的としている。同社は、2億1,000万米ドルのシリーズ D 資金調達ラウンドを経て、2022年後半に評価額87億米ドルに達した。26日に提出された目論見書によると、中国の SAIC(上海汽車)、Volkswagen、BYD がそれぞれ10%、2.6%、0.1%の株式を保有している。

Horizon の2023年の売上高は、前年の9億600万人民元(約192.9億円)から約16億人民元(340.7億円)に増加し、純損失は19億人民元(約404.6億円)から16億人民元(約340.7億円)に縮小した。株式売却のアドバイザーを務める China Insights Consultancy(灼識諮詢)の数字によると、同社は中国の先進運転支援システム(ADAS)市場で21.3%のシェアを獲得しており、昨年時点で同国第2位のベンダーとなっている。Horizon は、Sequoia Capital China(紅杉資本)や Hillhouse Investment(高瓴資本 などの投資家の支援を受けており、この資金で日本、韓国、ヨーロッパなどの海外市場に進出する計画だ。地平線機器人

「Pinduoduo(拼多多)」の Colin Huang(黄崢)氏、中国で2番目の億万長者に(3月26日)

Hurun Research Institute(胡潤研究院)の最新レポートによると、「Pinduoduo(拼多多)」の知名度の低い創業者 Colin Huang(黄崢)氏が、Hurunの資産ランキングで3つ順位を上げ、Tencent(騰訊)創業者の Pony Ma(馬化騰)氏とByteDance(字節跳動)創業者の Yiming Zhang(張一鳴)氏に次ぐ中国第2位の億万長者になった。Huang 氏の資産は2024年1月中旬の価値に基づくと530億米ドルで、Pinduoduo の中国内外での事業成功により前年比71%増となった。Huang 氏は資産増加により、世界富豪ランキングで前年の39位から24位に躍進した。胡潤研究院

自動車チップメーカーの Black Sesame(黒芝麻)、香港 IPO 申請を更新(3月25日)

香港証券取引所が22日に発表した公式リリースによると、自律走行用チップを専門とする中国のスタートアップ Black Sesame(黒芝麻)は、香港証券取引所への IPO を更新した。Xiaomi(小米)、SAIC(上海汽車)、FAW(第一汽車)グループなど、中国の自動車・テック大手に支えられ、8年の歴史を持つこのスタートアップは、昨年6月に初めて香港 IPO を申請したが、1月に目論見書の期限が切れるまで進展はなかった。

昨年の売上高は3億1,200万人民元(約66.4億円)とほぼ倍増したが、所有者に帰属する純損失は前年の27億5,000万人民元(約585.6億円)から48億6,000万人民元(約1,034.8億円)近くに拡大した。自動運転事業の売上総利益率も過去2年間で24.2%から21.4%に低下しており、同社はこの原因を、先進的な運転チップのパッケージング設備の初期費用と、長期的な提携により吉利汽車に有利な価格を提供していることに求めている。黒芝麻

Apple、中国での AI 機能で Baidu(百度)と提携と報じられるも反応は様々(3月25日)

中国メディアの China Star Market(科創板)が25日、この件に詳しい匿名の情報筋の話を引用して報じたところによると、Baidu(百度)は同社の生成 AI を、中国で iPhone やその他の Apple デバイスに供給する契約を獲得したという。Apple との提携は、AI によって収益を上げるという中国の検索エンジン大手のビジョンを大きく後押しする可能性がある。

中国の規制は、欧米のテック企業が中国市場を誘致したいのであれば、同国のルールに完全に準拠するよう促しており、それは欧米で Google が行っているような機能の多くを提供する Baidu に利益をもたらしている。北京に本社を置く Baidu は、2000年代初頭に急速に台頭したのに続き、再び Google への規制から大きな優位性を得る準備が整っているようだ。

China Star Market のレポートによると、Apple は以前、Apple や別の匿名の中国 AI 企業と話し合いを行ったが、最終的に Baidu を次期 iPhone 16 の AI サービスのパートナーとして選んだという。

北京を拠点とする Baidu は、中国の AI リーダーと見られており、注目されている技術を新たな収益エンジンに変えたいと考えている企業のひとつだ。同社の CEO Robin Li(李彦宏)氏は、生成 AI が2024年に数十億元(数百億円)の収益増をもたらす可能性があると述べている。第4四半期の Baidu の AI 関連収益は6億5,600万人民元(約139.7億円)だった。科創板

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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