マーケ特化生成AIのClay、Sequoia Capitalなどから4,600万米ドルをシリーズB調達——評価額は5億米ドルに

Image credit: Clay

セールスやマーケティングの仕事の大部分は、「潜在顧客を見つけ」「ニーズを理解し」「問題を解決する」ことにある。

そのプロセスは手工業のようなもので、顧客リストの構築、リサーチ、e メールの作成に費やす時間は平均60%、実際にビジネスの話をする時間は30%にも満たない。

世界的に有名なベンチャーキャピタル Sequoia Capital が AI スタートアップの Clay に投資した理由はまさにここにある。2017年に設立された Clay は、フォームとデータ処理(特に自動化部分)に焦点を当て、データベースを迅速に構築し、より多くの時間を実際のビジネスに費やせるようにしている。

Clay は今年6月、Sequoia Capital を含む投資家が参加したシリーズ B ラウンドで4,600万米ドルの調達完了を発表し、同社の企業価値は5億ドルと評価された。

マーケティングの課題を解決

Clay の共同創業者兼 CEO Kareem Amin 氏は、このサービスについて次のように述べている。

インターネット上のどこからでも顧客情報を入手し、AI に任せて、顧客情報をもとにメールを書くなど、ビジネスやマーケティングのタスクを自動化することができます。

簡単に言えば、web 上にはたくさんの企業データがあるということだ。例えば、大安区(編注:台北市内の区の名前)のレストランに商品を売り込む必要がある場合、グーグルマップには潜在顧客の膨大なリストがある。以前であれば、マーケティングチームは、グーグルマップからレストランの名前と連絡先をひとつひとつ取り込み、不慣れな開拓や訪問を進めなければならなかった。

Clay は、多くの企業が社内に見込み客フォームやさまざまな顧客関係管理ツールを備えており、HubSpot や Salesforce など75のツールを Clay と連携させることができる。

また、Clay は OpenAI の GPT ツールを使用しており、マーケティングチームが「一問一答」で必要な情報を取得できるようになっている。例えば、顧客の連絡先や取り次ぎを担当する窓口を整理したい場合、メッセージやコードを書く必要はなく、質問を直接尋ねるだけでいいのだ。

Clay を使えば、組織は顧客とのより深いつながりを築くことに集中できます。(Amin 氏)

Clay はいかにして市場のニッチを見つけたか

Amin 氏と Nicolae Rusan 氏は2017年に Clay を共同設立した。Figma や Miro といったプロジェクトコラボレーションツールが人気を集めていた時期だったが、彼らは API や SaaS ツールの方が生産性を向上させる可能性があると認識していた。

製品の構想プロセスにおいて、2人は常に内省し、新たなブレークスルーを模索し続けた。最終的に、彼らはスプレッドシートに着目した。

スプレッドシートはデータを扱うための素晴らしいツールですが、web にあるデータと同期することができません。(Ami 氏)

Clay の共同創業者兼 CEO Kareem Amin 氏

その点を考慮して、チームはスプレッドシートに API を導入し、大規模なデータベースを構築してスプレッドシートに連携することで、ユーザが簡単にデータにアクセスし、分析できるようにしようと考えたと Ami 氏は言う。

しかし、開発プロセスは思ったほどスムーズに進まなかった。スプレッドシートは web から直接情報を表示することができたものの、ターゲットとなるユーザが明確ではなかったのだ。人事部門は人材発掘に使えると考え、営業部門は顧客開拓に使いたいと考えていた。金鉱を見つけたように見えたが、どう作ればいいのかわからなかったのだ。

プロダクトマーケットフィット(PMF)において、適切なニッチを見つけることは、製品そのものを見つけることよりも難しいことが多い。

創業者は製品がクールだと考えているが、顧客像を絞り込み、まとまりのある首尾一貫した方法でストーリーを語り始めなければならない。(Amin 氏)

Amin 氏は、潜在顧客の痛点を明らかにするためにマーケティング担当者をターゲットにするようになって初めて、これが Clay の本当の価値かもしれないと気づいたと言う。

現在、Clay は RedditNotion LabsAnthropic など10万人のユーザと2,500社のパートナー企業を抱えている。過去2年間で、Clayの収益は年間10倍に成長し、ユーザの30%が毎日サイトを利用しており、2024年には2.5倍に成長する見込みだ。

Clay はこれからどこへ向かうのか?

Maple VC のパートナーで長期投資家の Andre Charoo 氏は、Clay が自動リサーチと AI を使ってデータを分析し、セールスを自動化することで企業の工数を大幅に削減できると考えている。

これは大躍進になるだろう。

Clay は最近、アメリカのベンチャーキャピタル Meritech Capital から資金調達し、続いて Sequoia Capital からがシリーズ B ラウンドで4,600万米ドルを調達した。同社の累積調達額は6,200万米ドルに達し、現在の評価額は5億米ドルだ。

シリーズ B ラウンドでの多額の調達と有名 VC の参加は、投資家の Clay に対する信頼を示している。次のステップについて、Amin 氏は、シリーズ B ラウンドで調達した資金を連携サービスを新たな高みに引き上げるために使いたいと述べ、引き続きプラットフォームのエンジニアリングとマーケティングチームを拡大する予定であることを明らかにした。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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