次世代PRM「PartnerProp」運営、2.3億円をシード調達——ジェネシアV、デライトV、MUCAPから

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Image credit: PartnerProp

パートナープロップは21日、シードラウンドで2.3億円を調達したと発表した。このラウンドはジェネシア・ベンチャーズがリードし、デライト・ベンチャーズ、三菱 UFJ キャピタルが参加した。調達資金は、同社が提供する次世代 PRM(パートナー関係管理システム)「PartnerProp」の開発強化や組織構築に投資される。

PRM とは、企業が販売代理店やディーラーなどの外部パートナーとの関係を管理・最適化するためのシステムだ。世界市場規模は8兆円に達する巨大市場となっており、今後さらなる成長が期待されている。パートナープロップは、この急成長する領域で日本を代表するリーディングカンパニーを目指している。

同社 CEO の井上拓海氏は、セールスフォース・オートメーション(SFA)やマーケティング・オートメーション(MA)ツールの登場により、社内のセールスやマーケティング部門の生産性は向上した一方で、外部パートナーを活用した販売チャネルにおいては、適切なツールやナレッジが不足していたと指摘する。

多くの企業がこのチャネルをうまく活用できず、成長の機会を逃している現状が見受けられます。(井上氏)

この状況は、多くの日本企業の成長を阻害する要因となっていた。一方で欧米企業は、パートナーチャネルの DX 化・仕組み化に成功し、急速な成長を遂げているという。この差が、日本企業と欧米企業の成長速度の違いにつながっている理由の一つである可能性もある。

PartnerProp は、こうした課題を解決するために開発された革新的なシステムだ。具体的には企業間を跨ぐ情報を可視化し、パートナーチャネルの成長を阻む障壁を取り除くことで、企業が持つ多様な力を最大限に引き出すためのツールを提供する。

Image credit: PartnerProp

企業はパートナーチャネルを効果的に活用し、新たな成長機会を捉えることができるようになる。PartnerProp の特徴は、単なる営業管理だけでなく、パートナーのイネーブルメント(育成・支援)機能も備えている点だ。

他の PRM は営業管理だけをやっているのに対し、我々はイネーブルメントもやれています。(井上氏)

具体的な機能としては、パートナー企業の組織図や各担当者の育成状況、営業活動の進捗などを可視化するダッシュボードがあり、ベンダー企業とパートナー企業の双方が、同じ画面を見ながら育成や営業の状況を把握し、課題解決に取り組むことができる。

パートナーは複数商材を抱えているんです。10社も20社もの商品を扱っています。それぞれに担当者はついているでしょうが、どの商品をどの人が最も理解して売ってくれている、というような管理は普通はできないんですよね。(井上氏)

井上氏によれば、PartnerProp を使えば、そうした複雑な状況も効率的に管理できるようになるという。この機能は、特に多数のパートナーと取引を行う大企業にとって、大きな価値を提供する可能性がある。大企業とスタートアップの協業を支援する可能性もあるだろう。

パートナープロップは2023年5月に創業し、それから1年間以上トライアルを行ってきた。この慎重なアプローチは、サービスの品質と実効性を確保するための重要なステップだったと言える。現在の従業員数は11名程度だが、今回の資金調達を機に、開発やマーケティングの強化、組織構築を進めていく方針だ。特に、PRM の専門知識を持つ人材の採用や、顧客サポート体制の強化などが優先課題となりそうだ。

PRM は日本ではまだ発展途上の市場だが、海外では既に多くの企業が活用しつつある。同社は、日本企業のパートナーチャネル最適化を支援し、グローバル市場での競争力向上に貢献することを目指している。さらに、日本企業特有の課題や文化に適応した PRM ソリューションを提供することで、国内市場でのリーダーシップを確立することも期待される。

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