AI活用進む企業DX系サービスーー気になった7社のリリースまとめ【ピックアップリリース】

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ピックアップリリースはBRIDGEのDiscord「プレス共有」チャンネルに投稿していただいた公開済みプレスリリースから特に気になったものをピックアップしてまとめたもの。情報をお持ちの方はこちらからDiscordに参加して共有してください

企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、AI、ブロックチェーン、自動化技術など、最新のテクノロジーを活用したソリューションが次々と登場している。その一方で情報量が多くなかなか全体像を把握しづらい状況もある。そこである程度の情報をまとめることで「バーティカル」領域の動きを可視化してみたいと考えた。

本稿でまとめているのはスタートアップ(VCなど特定投資家から外部出資を受ける企業)の発表で概ね1週間以内の情報。今週は法務、顧客対応、製造、建設、組織運営など、様々な分野でサービス改善やリリースがあり、やはり全体的に AI 活用の発表が目立った。

AI 活用進む企業のデジタル化推進サービス

法務部門のデジタル化が進む中、GVA TECH が提供する法務データ基盤システム「GVA manage」に、新たに AI チャットボット機能が追加された。この機能により、事業部門のメンバーも過去の契約書や法律相談に関するデータベースにアクセスし、チャット形式で回答を得ることが可能になった。

従来、法務部門への問い合わせは担当者の工数を圧迫する要因となっていたが、この AI チャットボットの導入により、法務業務の効率改善だけでなく、事業部門にとっても時間や場所を問わず即座に法務案件の回答を受け取ることができるようになった。これにより、事業のスピードアップにも貢献することが期待される。

GVA manage は、生成 AI を活用しやすくするため、法務案件の受付段階から法務データを構造的に整備する。法務案件の受付管理と同時に法務データの整備が自動で行われるため、データ整備のための別途作業が不要となる。法務部門のみならず、法務業務に関わる人と企業の業務効率化と迅速な意思決定を支援することで、企業全体の競争力向上につながることが期待される。

Pendo.io Japanが買収した顧客インテリジェンスプラットフォームZelta AI

顧客フィードバックの収集・分析や企業間コミュニケーションの効率化において、AI と自動化技術の導入が急速に進んでいる。Pendo.io Japan は、顧客インテリジェンスプラットフォーム Zelta AI を買収し、AI を活用した顧客フィードバック解析の強化を図っている。

Zelta AI の技術により、Gong や  Zoom の通話、サポートチケット、ソーシャルレビューサイト、Salesforce レコード、電子メールなど、150以上のソースに広がる膨大なユーザーフィードバックデータから、AI を活用したインサイトを得られるようになった。これにより、ユーザーフィードバックを選別する負担が軽減され、顧客を全方位で把握することが可能になる。

yaritori

一方、企業間のコミュニケーションや顧客対応の分野でも、AI と自動化技術の導入が進んでいる。Onebox が提供するメール共有・問い合わせ管理システム「yaritori(ヤリトリ)」は、導入企業数が200社を突破した。yaritoli は、複数メールの対応状況をチームで一元管理し、Slack・Chatwork 連携などで社内外のコミュニケーションを効率化するサービスである。

さらに、RevComm(レブコム)が提供する電話解析AI「MiiTel Phone」は、インドネシアの労働省に導入された。MiiTel Phone は、電話内容の自動録音・文字起こし・要約・音声解析・感情解析を行うことで、プログラムに対するニーズを的確に把握・分析することができる。

これらの事例は、AIと自動化技術が顧客インテリジェンス、企業間コミュニケーション、顧客対応の効率化に大きく貢献していることを示している。企業は顧客の声をより深く理解し、製品開発や顧客サービスの改善に活かすことができるようになり、同時に内部のコミュニケーション効率も向上させている。

製造業と建設業の DX: 自動搬送ロボットと現場管理システムによる革新

クローラ式AGV(自動搬送ロボット)を開発するCuboRex

製造業と建設業においても、DX の波が押し寄せている。CuboRex は、クローラ式 AGV(自動搬送ロボット)の開発を強化し、不整地や過酷な環境下でも高い走行性能を持つ自動搬送システムの実現を目指している。

同社は8月22日、DRONE FUND、マブチモーター、レアゾン・ホールディングス、ユナイテッド、NOBUNAGA キャピタルビレッジ、ASAアドバイザリー、MIRAISE、および複数の個人投資家を引受先とする第三者割当増資を公表している。調達額は2.5億円。CuboRex の開発するクローラ式 AGV は、工場のインフラに手を加えることなく、即時導入が可能な「環境適応型自動搬送システム」を実現する。急なスロープや段差に対応する高い走行性能を備え、屋内外の過酷な環境下でも自律的に動作することができる。

一方、建設業界においても、DX による業務効率化の取り組みが進んでいる。アンドパッドは、大成建設株式会社と現場 BIM 推進のための現場検証を開始した。アンドパッドが提供する「ANDPAD BIM」は、ゼネコン建設現場において現場 BIM 活用を促進し、協力会社と現場コミュニケーションの効率化を支援する機能である。これらの機能により、作業間調整や施工ステップ、配筋の納まり確認など、図面だけでは伝わりづらい情報を簡単に監督から職人へ共有することが可能になる。

ブロックチェーン技術と DAO の展開:新たな組織運営モデル

DAOの構築を手掛けるUnyte

ブロックチェーン技術を活用した新しい組織運営モデルである DAO(分散型自律組織)の構築と管理を支援する取り組みも進んでいる。Unyte は、DAO の構築および高度な管理を支援する統合プラットフォームの開発を手掛けるスタートアップだ。同社は8月21日にクオンタムリープベンチャーズをリードに、FINOLAB(FINOLAB1号投資事業有限責任組合)および Skyland Ventures を引受人とした J-KISS による資金調達を公表している。

Unyte は、DAO の構築および高度な運用管理を支援する統合プラットフォームおよび Discord 内のコミュニティメンバーの貢献を可視化し報酬分配を効率的に行うツールを提供している。これまで国内外で70を超える DAO へのツール提供、および DAO におけるインセンティブ設計支援を通じて、DAO 構築・運用の実績を積み重ねてきた。

2024年4月の金商法の府令改正により、合同会社の社員権を NFT の形で発行可能になり、メンバーの責任範囲を限定しつつも法人格を有した DAO(合同会社型 DAO)の設立が可能となった。これを受けて、Unyte は合同会社型 DAO の主なユースケース創出を目的として、様々な活用方針を模索する企業と実証実験の準備を進めている。

この連載ではプレス発表の情報をお待ちしております。スタートアップの方はDiscordから共有ください。

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