AI検索「Perplexity AI」掲載広告、CPMはなんと50ドル?ーー今日のテックトレンドななめ読み【TechDaily】

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TechDaily は筆者が毎日実施しているテックニュースの斜め読みをまとめたもの。グローバルで気になる資金調達、テックトレンド、スタートアップニュースをまとめて共有する。しばらく不定期更新でお送りします。

自動運転技術の進化と新サービスの台頭

今日はなぜか自動運転関連の話題がよく目についた。知人たちがサンフランシスコでサービス開始している自動運転タクシーに載っている姿をちらほらソーシャルで見かけるようになった。私もはやく試してみたい。

まずは Waymo の新サービス「Waymo Teen」だ。TechCrunch の報道によると、このプログラムは、10代の若者を対象に自動運転タクシーの利用を可能にするもので、月額150〜250ドルで最大16回の乗車を提供する計画だという。保護者の監督下で未成年者が単独で Waymo の車両を利用できるようになれば、若者の移動の自由が大幅に拡大する可能性がある。

一方、配車サービス大手の Uber も自動運転分野での提携を加速させている。The Verge の記事によれば、2025年から Cruise と提携し、自動運転車による配車サービスを開始する計画を発表した。Uber はすでに Waymo や Aurora とも提携しており、自動運転技術の導入に積極的な姿勢を見せている。

Waymo ウェブサイトより

一方で自動運転技術の普及には課題も残されている。Cruise が昨年10月に歩行者を引きずる事故を起こし、一時的にサービスを停止したことは記憶に新しい。安全性の確保は依然として最重要課題であり、技術の進化と並行して、法規制の整備や社会的受容性の向上も不可欠だ。

また、自動運転技術の分野では国際競争も激化している。CNBC の報道によると、中国の自動運転スタートアップ WeRide は、米国での IPO 計画を延期した。最大4億4,000万ドルの調達を目指していたが、書類作成に予想以上の時間がかかっているという。この延期は、中国企業の米国市場への進出の難しさを浮き彫りにしている。

Perplexity AI が広告掲載を開始へ

AI を活用した検索エンジン進化の最前線に立つのが Perplexity AI だ。国内でもソフトバンクなどが出資したことで話題になったが、CNBC の記事によると同社は2024年第4四半期から AI 支援検索結果と共に広告の掲載を開始する計画を発表した。Perplexity AI のアプリは既に200万回以上ダウンロードされ、月間2億3,000万件ものクエリに対応しているという。

Perplexity AI の急成長は、従来の検索エンジンとは一線を画す機能に起因している。AI が検索結果を要約し、より直接的な回答を提供することで、ユーザーの検索体験が大きく変わる可能性がある。そこに挿入されることになる広告は CPM(1000インプレッション当たりのコスト)モデルを採用する予定で、その価格はなんと50ドルという噂もあるらしい。

Perplexity

CNBCの報道にもある通り、通常、このCPMベースの価格は低く、参考値にある2.5ドルとか1ドルとかそういう金額感が一般的だ。もしこれが本当で、しかも相応のパフォーマンスが発揮されるなら、従来のキーワード広告から、AI が生成した回答に関連する広告へとシフトする新たな広告形態が生まれる可能性も秘めている。

生成 AI ならではのトラブルも抱える。同社は最近、メディア各社のコンテンツを無断で使用しているとの批判を受けた。Forbes や Wired は、自社の記事が適切なクレジット表示なしに Perplexity AI のプラットフォームで使用されていたと報告している。これらの指摘を受けて、同社は引用方法を改善し、パブリッシャーとの収益共有モデルを導入した。

AI 支援検索の台頭は、Google など既存の検索エンジン大手にとって大きな脅威となっている。OpenAI も SearchGPT という検索エンジンを立ち上げ、Google も “AI Overviews” 機能を導入するなど、各社が AI 検索の分野で競争を繰り広げている。今後、AI 技術がさらに進化し、自然言語処理能力が向上するにつれ、検索エンジンはより直感的で対話的なインターフェースへと進化していくことが予想される。これは、デジタルリテラシーの低い層にとっても、より容易に情報にアクセスできる環境を提供する可能性がある。

今日の資金調達、AI関連銘柄は5社

さて、今日斜め読みしたグローバルスタートアップの資金調達についても共有したい。ちなみにほぼAI関連銘柄になっている。

最初は HRTech などコーポレート系の話題から。ケニアの Workpay はアフリカ全域で利用可能な HR および給与計算ソリューションを提供しており、最近 Visa を含む投資家から500万ドルの資金調達に成功した。Workpay は20カ国以上で1,000社以上の顧客を抱え、特に中小企業向けに包括的な HR ソリューションを提供している。アフリカ市場特有の複雑な規制や多様な通貨に対応する同社のサービスは、グローバル展開を目指す企業にとって重要なツールとなっている。

HR 繋がりでアメリカの Thera は、国際的な従業員の雇用と支払いを容易にするプラットフォームを開発し、400万ドルのシード資金を調達した。VentureBeat の記事によれば、Thera は150以上の国での請負業者管理や、複数の通貨での支払いに対応しており、グローバルな人材獲得競争が激化する中で、中小企業の国際展開を支援している。

続いて AI 関連銘柄に進もう。

国内では Autify が成長株になっているテスト自動化サービス

ERP(企業資源計画)の分野では、Opkey が AI を活用したテストプラットフォームを開発し、4,700万ドルのシリーズ B 資金調達に成功した。TechCrunch の報道によると、Opkey のシステムは、財務、HR、その他の ERP ソフトウェアの継続的なテストを自動化し、ソフトウェアの更新や統合によるシステム全体への影響を最小限に抑えるという。この技術は、企業の IT システムの安定性と効率性を大幅に向上させる可能性を秘めている。

ソフトウェア開発の効率化を目指す Depot はコンテナイメージのビルドと GitHub アクションワークフローを最大40倍高速化するプラットフォームを開発し、410万ドルのシード資金を調達した。Depot の技術は、特に AI 企業や大規模言語モデル(LLM)を構築・パッケージングする企業に人気があり、開発サイクルの短縮と品質向上に貢献している。

生産性向上ツールの分野では、Dropbox が AI パワードのスケジューリングツール Reclaim.ai を買収した。TechCrunch の報道によると、Reclaim.ai は、ユーザーの時間管理を支援し、会議やタスクの最適なスロットを見つける AI を使用しているという。この買収により、Dropbox はクラウドストレージサービスから総合的な生産性プラットフォームへの進化を加速させている。

フィンテック分野では、ブラジルの Magie が AI を活用した金融アシスタントを開発し、400万ドルのシード資金を調達した。Magie は WhatsApp を通じて送金や支払いを可能にするサービスを提供しており、金融サービスへのアクセスが限られている層にも、便利で安全な金融サービスを提供することを目指している。

ライブコマース分野では、英国の Tilt が1,800万ドルのシリーズ A 資金調達に成功した。TechCrunch の報道によると、Tilt は特にファッション商品のライブセールに焦点を当てたアプリを開発し、わずか半年で50万人以上のユーザーを獲得している。AI を活用した商品推薦や、インタラクティブな購買体験の提供により、従来の e コマースとは一線を画すサービスを展開している。

また来週もグローバルのテックトレンド斜め読みを共有する。よい週末を。

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