ByteDanceで動き、仏富豪グザビエ・ニール氏の取締役就任や「Pico 4 Ultra」発売など——中国スタートアップシーン週間振り返り(9月2~8日)

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自身が設立したパリにある学費無料のソフトウェアエンジニア養成機関「42」で話す Xavier Niel(グザビエ・ニール)氏(右)(2017年6月16日撮影)
Image credit: Masaru Ikeda

本稿は、Technode(動点科技)が、9月2日~9月8日に配信した「News Feed」記事の中から主要ニュースを翻訳したものです。

Tencent(騰訊)、次世代大規模モデル「Hunyuan Turbo(混元 Turbo)」を発表——性能は「GPT-4」相当との評価(9月5日)

Tencent(騰訊)は5日、新しい大規模言語モデル「Hunyuan Turbo(混元 Turbo)」を発表した。前世代モデルと比較して、Hunyuan Turbo は性能が大幅に向上し、トレーニング効率が108%向上、推論効率が100%改善され、推論コストは50%削減された。また、デコード速度は20%速くなり、複数の基準テストで「GPT-4」に匹敵する成果を示している。第三者による評価では国内トップの位置を占めている。

Tencent 副社長 Qiu Yuepeng(邱躍鵬)氏は、同モデルが Tencent Cloud(騰訊雲)上で利用可能となり、前世代モデルの半額で使用できると発表した。企業や開発者は Tencent Cloud を通じて API や専用モデル、ファインチューニングモデルなどで利用可能である。Hunyuan には Turbo、Pro、Standard、Lite などのバージョンがあり、コード生成やファンクションコール(関数呼び出し)などにの機能も提供している。

さらに、2024年8月の SuperCLUE レポートでは、Hunyuan Turboが国内大規模モデルで1位を獲得した。特に理系・文系の両分野で高評価を得ており、複雑なタスクにも強い性能を発揮している。Tencent 内部でも、約700のサービスが Hunyuan モデルを活用しており、QQ や WeChat(微博)などの主要製品に組み込まれている。動点科技

Stripe の役員が語る、急成長する越境取引と中国企業のグローバル展開(9月4日)

フィンテック大手 Stripe はアジアでのプレゼンス拡大を目指している。特に中国において、越境 EC は収益源としての可能性が大きい。2023年、中国の越境 EC の総輸出入額は2.38兆人民元(約48兆円)で、前年から15.6%増加した。Stripeも近年強い成長を見せており、地域責任者の Sarita Singh 氏は、Stripe の成長がデジタル経済の拡大を反映していると述べた。デジタル経済は現在、世界の GDP の15%を占めている。

Singh 氏によると、Stripe は2023年に決済総額1兆米ドルを突破した。昨年、アジアでの越境決済額は30%以上増加し、100万米ドル以上の決済を処理するアジア企業も前年同期比で28%増加した。越境 EC だけでなく、さまざまな業界で成長が見られる。中国の企業はソフトウェア、ゲーム、デジタル資産、物理的資産など、新しい産業や顧客層を創出している。Stripe は、適切なローカル規制を遵守するのが難しい中国のビジネスをサポートし、企業が本業に集中できるよう支援しているという。動点科技

MiniMax、動画生成 AI「Video-1」を発表(9月3日)

中国の AI スタートアップ MiniMax は、テキストから動画に変換するモデル「Video-1」を発表し、国内の白熱した動画生成モデル競争に参加した。このツールは、簡単なテキストを入力すると最大6秒間の動画を生成することができる。

アメリカのスタートアップ OpenAI の「Sora」モデルが2月に世界を驚かせて以来、中国ではこのようなモデルが少なくとも12件以上出現しており、中国の AI 企業が新興分野のシェア獲得を急いでいることを示している。MiniMax の創業者 Yan Junjie(閻俊杰)氏によれば、Video-1 は現在、テキストを使って新しい動画を作成することしかできないが、将来の改良では画像から動画への変換も可能になるという。第一財経

ByteDance(字節跳動)、MR デバイス「Pico 4 Ultra」を中国国内で8.6万円で発売(9月3日)

TikTok の親会社 ByteDance(字節跳動)は2日、Apple Vision Pro に代わる費用対効果の高い VR ヘッドセットと見られる「Pico 4 Ultra」の中国での販売を4,299人民元(約86,000円)で開始した。オリジナル版の「Pico 4」は2022年に発売され、それ以来、バーチャルリアリティ部門は、ByteDance が Pico を買収した後、昨年末から人員削減を実施し、これまでで最大の大改革を行った。

WeChat(微信)アカウントに掲載された Pico のガジェットに関する投稿によると、このヘッドセットは4つの環境追跡カメラを搭載し、Android のエコシステムと互換性があるという。中国国外での発売はまだ確認されていない。テックメディア「The Information」が以前報じたところによると、Pico 4の売れ行きが「期待を大きく下回った」ため、ByteDance は「Pico 5」をキャンセルし、Pico 4の新バージョンの開発に力を注いだという。Pico

ByteDance(字節跳動)、グザビエ・ニール氏を新取締役に招聘(9月2日)

TikTok を所有する ByteDance(字節跳動)は、フランスの通信ビジネスの億万長者 Xavier Niel(グザビエ・ニール)氏を取締役に迎えた。彼の加入は、Coatue Management 創設者 Philippe Laffont 氏が ByteDance の取締役を退任したことに続くものだ。

新たに加わった Niel 氏のほか、Bytedance の取締役会は現在、Hongshan Capital(紅杉資本)の Neil Shen (沈南鵬)氏、General Atlantic の William E. Ford 氏、Susquehanna International Group(海納国際集団)の Arthur Dantchik 氏、そして Bytedance の CEO Liang Rubo(梁汝波)氏で構成されている。

テックメディア「The Information」によると、ByteDance の主要投資家を代表する他の取締役とは異なり、Niel 氏は Bytedance の株式を保有していない。The Information は以前、Coatue が IPO 停滞により、数十億米ドル相当の ByteDance の株式売却を検討していると報じた。The Information

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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