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スマートコンタクトレンズに必要な「ある技術」とはーーメニコンとMojo Visionの共創 vol.2

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本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 課題とチャンスのコーナーでは、毎回、コラボレーションした企業とスタートアップのケーススタディをお届けします。 スマートコンタクトレンズの開発を進める「Mojo Vision」と昨年に共同開発契約を締結したことで話題となったメニコン。前半ではMojo Visionがメディア向け説明会にて明かしてくれた開…

取材に応えてくれたMojo Visionとの協業を進めるメニコンチーム

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

課題とチャンスのコーナーでは、毎回、コラボレーションした企業とスタートアップのケーススタディをお届けします。

スマートコンタクトレンズの開発を進める「Mojo Vision」と昨年に共同開発契約を締結したことで話題となったメニコン。前半ではMojo Visionがメディア向け説明会にて明かしてくれた開発の状況についてまとめました。後半となる本稿では、共同開発研究のパートナーとして名乗りを上げたメニコン側のストーリーを紐解きます。

なぜメニコンだったのか

Mojo Visionとメニコンの提携で、この件に注目する多くの方が不思議に思ったのが「なぜメニコンだったのか」ではないでしょうか。確かに国内ではトップクラスのコンタクトレンズメーカーとして業界を牽引する同社ですが、グローバルサイズでみるとまだまだ大手の競合他社が存在しているのも確かです。

こちらの調査会社の昨年10月の発表概要によれば、世界のコンタクトレンズ市場は2020年に74億米ドル(2021年1月時点の日本円換算で約7,800億円)規模という試算がある一方、国内市場は2,889億円(※)で、ここにもジョンソン&ジョンソンやアルコン、ボシュロムといった外資メーカーが食い込んできているという状況があるようです。

日本コンタクトレンズ協会の公表データより

この点についてメニコンの担当チームに尋ねたところ、創業期から大切にしてきた技術開発へのこだわりが根底にあったとその経緯を教えてくれました。

「今から議論する段階にあるため、詳しいことはなかなかお話しできないのですが、例えば現在、コンタクトレンズといえば「使い捨て」がイメージされると思いますが、AR用途の場合、コストを考慮するとそういうわけにはいきません。些細なことと思われるかもしれませんが、コンタクトレンズをディスポーザブルではない(業界では、コンベンショナルと称する)使用形態を取りますと、ケアシステムへの対応が必要になります。

界面活性剤による洗浄・すすぎ、薬剤による滅菌等のケアシステムへの耐久性を甘く見ると、後々大きな問題となるんです。特に、スマートレンズは、電子デバイスを埋め込んだレンズですので、それらケア用品によるダメージがより深刻化することが懸念されます。

その点、弊社は、ディスポーザブル・リプレイスメントといった使い捨て対応のレンズと同時に、酸素透過性硬質レンズや従来のソフトコンタクトレンズといったコンベンショナルタイプのレンズも得意分野としており、またケア用品もグループ内で開発しておりますので、これらのマッチングを図るためのノウハウも持ち合わせております。

この長所を活かし、スマートレンズだからこそのケア用品並びにケアシステムを提案できることも、弊社の強みと考えています。このように、顕在化した課題から表面的には顕在化していない課題まで、今回タッグを組む2社であればかなり広い技術範囲をカバーしていけると考えております(メニコンチーム談)」。

コンタクトレンズには現在、大きく分けてソフトレンズとハードレンズという分類があります。歴史として古いのはハードレンズでその名の通り硬い素材でできており、元々は眼科医の間で強角膜レンズ(白目の部分まで覆う直径の大きなレンズ)の研究が最初にされていたそうです。

中でもメニコン創業者の田中恭一氏が1951年に独学で開発したのが角膜だけを覆うタイプのもので、これが現在のハードレンズの主流となる、国内における角膜レンズの始まりになりました。

一方、ハードレンズは高い安全性を誇るものの、使用感に劣ることから、「使い捨て」のソフトレンズに徐々に市場を押されていくことになります。メニコンもビジネス的な観点からソフトレンズの展開を進めるものの、決して祖業であるハードレンズの研究開発の手を止めることはありませんでした。

使い捨てレンズと同様に、酸素透過性の高いハードレンズの開発も継続してきたことが、ハードレンズの総合的な技術を必要とするMojo Visionとの協業につながった、というわけです。

田中氏はかつて眼科医の間で大きな直径のレンズが研究されていることを知らなかったそうです。それが今日まで続く「人真似をしない」というメニコンの独自の研究開発精神に繋がっているそうで、このこだわりもまた、共創につながったエピソードのひとつとお話されていました。

話をMojo Visionに戻します。

昨年、2020年のCESでメニコンは衝撃的なMojo Visionの極小ディスプレイ技術に出会います。その時の衝撃をこうお話されていました。

「弊社研究開発のトップが展示会でMojo Vision社のコンタクトを手に取らせていただいたのがきっかけです。とにかくディスプレイのインパクトがすごかった。このトップが強い思い入れを持ち、一方、本件とは関係なくそもそもコンタクトレンズの応用技術として、スマートレンズの開発を志していた研究員の思いが繋がったのが非常に大きかったと思います。

通常、外部とのアライアンスを検討する際は、慎重な意見が出てなかなか結論にたどり着かないのが常ですが、本プロジェクトについては現場から経営トップにいたるまで、なんのストレスもハードルもなく、極めてスピーディに共創することを決定いたしました(メニコンチーム談)」。

スマートコンタクトレンズの研究は、Googleが2012年頃に血糖値を測定できるコンタクトレンズの研究コンセプトを発表したのが大きな話題になりました。メニコンの説明によると、企業スローガンである『より良い視力の提供を通じて、広く社会に貢献する』という見ることへのサポートに活用することを第一に考えており、ユースケースとしてはARコンテンツの表示といったエンターテインメント要素のある使い道には大きな期待があるものの、視力矯正や老眼などの改善を最初に考えたいというお話です。

例えば遠近両用の眼鏡はありますが、これをコンタクトレンズで光学的に再現しようとすると技術的にハードルが高くなるそうです。もしここにデジタルの力を使うことができたら解決の幅は広がります。また、Mojo Visionのユースケースでも示されていた通り、生体情報を常に取得するにはコンタクトレンズは最適な方法です。基礎疾患を持った患者の情報をいち早くデータ化できれば、今、大きな話題になりつつある予防医療の可能性も広がります。

越えるべきハードル

Mojo Visionとメニコンの共創はまだ始まったばかりです。当然ながらMojo Vision側も乗り越えるべきハードルの多さをこう説明していました。

「As you can imagine, there are several challenging aspects of developing the world’s first smart contact lens, and it’s difficult to pinpoint one specific hurdle that outweighs the others. Many of the components in Mojo Lens had to be custom-designed and built. We’ve had to optimize for both power efficiency and size, so the opportunity to find and use off-the-shelf components was rare. Successfully integrating all of these components together into a system small enough to fit inside a contact lens has been one of the biggest technical challenges and really required close design and coordination across many different engineering disciplines.

(ご想像の通り、世界初のスマートコンタクトレンズの開発にはいくつかの困難な面があります。Mojo Lensのコンポーネントの多くは、カスタム設計して作らなければなりませんでした。電力効率とサイズの両方を最適化しなければならなかったので、既製品の部品を見つけて使用する機会はほとんどありませんでした。これらすべてのコンポーネントを、コンタクトレンズの中に収まるほど小さなシステムに統合することに成功したことは、最大の技術的挑戦の一つであり、多くの異なるエンジニアリング分野の緊密な設計と調整を必要としました)」(Mojo Vision)。

特にバッテリー問題はやはり課題の最たるもので、メニコン側もMojo Vision側と更なる協議が必要と断った上で「給電については一層の技術向上が必要。世界的にも極小サイズのバッテリーに関する分野の研究者は少なく、大手企業のこれに特化した開発は少数です。このような状況から、独創的なアイデアをもったスタートアップも探索する必要があるかもしれません」と新たな技術の必要性を語っていました。

今回の共創は「大手とスタートアップ」という矮小化されたタッグではなく、技術と技術のぶつかり合いに醍醐味があります。

「弊社も創業者から脈々と受け継がれている「創造」、「独創」、「挑戦」を企業理念とし、Mojo社に負けず劣らず、意欲的に研究開発を行っており、スマートコンタクトレンズの分野についても、これまでに様々な取り組みを行って参りました。ARのみならずVRやセンシング等を含めると将来、巨大な市場が予想されており、ゴーグル等では得られないユーザー価値を生み出していくことが、約70年の長きにわたりコンタクトレンズに向き合ってきた我々の使命であると思いから、Mojo社との共創は「必然」ともいうべきものだと感じています(メニコンチーム談)」。

メニコンにはハードレンズにおける材料、レンズケア、フィッティングといったプロダクトノウハウがあるだけでなく、会員制のメルスプランをはじめとするビジネスにおける膨大なユーザーデータも保有しています。そもそもコンタクトレンズは医療機器のため、医師の診断が必要になります。この点、もし両社の共同開発が成功し、実際の販売となればこのルートが活かせることになります。

Mojo Visionによると今回の契約で一連のフィジビリティ・スタディを共同で実施し、これが成功した際にはより広範囲な協力関係を検討するとしています。国産の技術とグローバルサイズでのエッジの効いたテクノロジーが融合するのかどうか。両社の話を伺って、次世代のデバイスをめぐる開発共創の行く末がさらに楽しみになりました。

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世界を拡張する「スマートコンタクトレンズ」とは何者かーーメニコンとMojo Visionの共創 vol.1

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本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 課題とチャンスのコーナーでは、毎回、コラボレーションした企業とスタートアップのケーススタディをお届けします。 ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する情報をお届けします! Sign Up 昨年のCESで大きな話題となったスマートコンタ…

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

課題とチャンスのコーナーでは、毎回、コラボレーションした企業とスタートアップのケーススタディをお届けします。

昨年のCESで大きな話題となったスマートコンタクトレンズ企業の「Mojo Vision」は、砂粒程度のディスプレイを実際のコンタクトレンズに埋め込んで装着を目指す意欲的なプロダクトです。コンセプトとしては2010年の半ばあたりからSamsungやGoogle、Sonyなどが取り組みを公表しているもので、Mojo Visionもその最中の2015年に創業されています。

彼らはコンタクトレンズに装着できるほどの極小で密度の高いダイナミックディスプレイ技術を保有しており、コンピュータービジョン用に開発された超省電力のイメージセンサー、高帯域幅の低電力無線通信器、高精度のアイトラッキングおよびぶれ補正用モーションセンサーなどの研究を進めてこのプロダクトの実現に向かっています。

日本との関わりではKDDIが運営するKDDI Open Innovation Fundからの出資(2020年)があったのですが、それに続いて昨年12月には国内大手コンタクトレンズ事業のメニコンとスマートコンタクトレンズに関する共同開発契約を締結したと公表しました。今回の契約により両社は、スマートコンタクトレンズの商用化に向けたフィジビリティ・スタディを開始するとしています。

国内大手と新進気鋭のグローバル・スタートアップがどのような経緯で共創に至り、協力してどのようなハードルを越えようとしているのでしょうか。その裏側を両社にお伺いします。前半ではMojo Vision社のプロダクトや目指すビジョンについてまとめ、後半はメニコンでこの共創に取り組むチームのお話を共有したいと思います。

スマートコンタクトレンズとは何か

現実世界に仮想のコンテンツを重ね合わせるAR(拡張現実)の世界観は、映画「レディ・プレイヤー1」にあるように古くからサイエンスフィクションの文脈で語られてきました。一方、スマートデバイスの登場で、例えばポケモンGOや、SnapなどのサービスでARコンテンツは身近になりつつあるのも事実です。

ではスマートコンタクトレンズは現在、どのような目的で、どこまでが実現しているのでしょうか。

Mojo Visionが目指すのは、極めてシームレスに現実世界に仮想コンテンツを重ね合わせる世界観です。スマートコンタクトレンズを装着していれば、視線をスマホに落とすことなく、対象になる人の情報を示すことができます。また、コンタクトという特性上、常に装着していることからバイタル情報を取得しやすい性質があります。

スマートコンタクトレンズ全般にいえる事業可能性として、例えば基礎疾患を持った方が装着した場合、血糖値などの情報をいちはやく他人に伝えて適切な処置を依頼することが可能になる、といった具合です。つまり装着している本人だけでなく、それを見ている側に対してもすばやく情報提供ができるのです。

Mojo Visionはこの世界観を「インビジブル コンピューティング」と表現していました。どの場所にいってもまるで地元にいるかのような体験を提供し、現実世界の「見た目」を変えることなく世界と関わることができます。

創業者のDrew Perkins氏は、かつて自身の目に発生した健康問題をきっかけにこのプロジェクトを考えついたそうです。その後、サンマイクロシステムで3Dグラフィックの研究をしていたMichael Deering博士と出会い、人間の目と同じ生物学的解像度を保ちつつ、必要とする演算能力や消費電力を大幅に抑えることができる技術の開発に成功します。

人類が60年かけて歩んできたコンピューティング、インターネットのデジタル世界はスマートフォンの登場によるモバイルシフトを経て、新しい世界観を求めるようになりました。多くの研究者、企業、消費者はその先にある世界が仮想現実であると予想しており、没入の具合によってVR・AR・MRのいずれかの体験がいずれ必要になると各種開発を続けています。

アニメの世界だったユビキタスの世界観は、今年のCES2021で多くのARグラスが登場してきたように、もう一般消費者の手元に届きつつあるのです。

一方、VRやAR、MRといったxRデバイスの多くは大きな「被り物」を必要とします。そこでMojo Visonはその課題をコンタクトレンズという手法で解決しようとしました。データを表示させるだけでなく、普段は普通のコンタクトレンズとして視界を遮らず、消費者や小売、政府、視覚障害者など幅広い人たちをターゲットにした新しい情報体験を提供しようというのです。

ただ、最初から全てを対象にするのではなく、初期のユースケースには「アンメットニーズ」を想定しているそうです。例えば火災現場に突入する消防士に適切な情報を提供したり、緊急医療の現場や両手が塞がるネットワーク技師、アスリート選手の競技中や練習でのパフォーマンス情報など、これまで満たされていなかった情報提供の現場を想定してこの未知のデバイスを検証するとしていました。

また、機能をオフにした状態でも通常のコンタクトレンズとして使えることを目指すため、グローバルで数億人いるという「コンタクトレンズ利用者」もターゲットになります。ゆくゆく、一般消費者が利用できるような汎用ナビゲーションサービスが実装されれば、まずはこれらのコンタクトレンズ利用ユーザーが対象になる、という考えです。

スマートコンタクトレンズはどうやって動くのか

ではここからMojo Visionが開発中のスマートコンタクトレンズの仕組みについて、今、わかっている範囲の情報を共有します。

企業として創業してから5年、構想はそれ以上前から技術調査を行っていたこのスタートアップは、現在、100名を超える従業員を抱え、これまでに1.59億ドルを調達しています。従業員の大半は博士号を持つ研究者や開発者であり、これまでに110以上の特許を取得しています。

Mojo Visonの開発するスマートコンタクトレンズはディスプレイ、無線通信、センサー、材料、すべてにおいて研究開発を進める必要があり、このようにして開発した極小のディスプレイやセンサー、バッテリーを強角膜レンズ(※)に収める必要がありました。ディスプレイは角膜には触れない仕組みになっていて、強角膜レンズの強敵である酸素供給についても最大化する特許を取得しています。

※強角膜レンズは角膜(黒目)から、強膜(白目)まで覆うレンズ。スマートコンタクトレンズでは眼球をより大きくカバーする必要があり、この世界有数の技術を保有している日本のメニコンと昨年末に提携している

強角膜レンズに配置されているバッテリーは省電力で、現時点ではワイヤレス充電を想定しているそうです。またセンサーは眼球の動きを捉えるモーションセンサーと、イメージ検出に使われるコンピュータービジョンが埋め込まれます。

そしてこの中央には0.5mm未満のサイズでテキスト、写真、ビデオを再生できるディスプレイが設置され、この上に薄い1枚のプラスティック膜を光学系として置くことで、ディスプレイから直接網膜に映像を映し出すことができる仕組みになっています。

ディスプレイは極めて網膜に近く、装着する人の視界を遮らないそうです。また現在は緑色のみのディスプレイですが、カラーバージョンも開発中とのことで、両眼に設置できるため立体視ができるというお話でした。

さて、気になるのはどうやって操作するのか、という点です。

この方法についてMojo Visionはポインティングデバイスとしてアイ・トラッキング、つまり目の動きを採用したそうです。Mojoのスマートコンタクトレンズは最初、「中継装置」と彼らが呼ぶ、ウェアラブルのデバイスと連動して動くことが想定されています。

この中継装置に対してレンズが捕捉した眼球の動きを送信し、10ミリ秒以内にレンズに送り返します。これにより、眼球の動きは常にレンズが把握するため、見ている位置が動いてもコンテンツは正しい位置に配置されるほか、この目の動きそのものがポインタデバイスとして使えることを考えているそうです。またこの中継装置は他のスマートフォンやクラウドなどと通信も可能で、ここを通じて最初はさまざまなサービスと連動するというお話でした。

ここまではMojo Visionが開発したスマートコンタクトレンズの現在地について、同社の説明を元に解説してきました。後半は昨年、衝撃的な提携発表をした国内コンタクトレンズ大手のメニコンのチームになぜ彼らだったのか、その共創の背景を伺います。

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スマートコンタクト「Mojo Vision」 :砂粒よりも小さいディスプレイ、さらに進んだプロトタイプを開発中(2/2)

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(前回からのつづき)Mojo Visionは、同社が初の真のスマートコンタクトレンズと呼ぶ「Mojo Lens」を開発している。日本の名古屋に本社を置くメニコンは、素材開発、レンズ設計、硬質ガス透過性レンズ技術、レンズ製造、ケアソリューションなど、コンタクトレンズ関連のすべての分野に特化した唯一の企業であると謳っている。 彼らはコンタクトレンズの素材や洗浄、フィッティングなどを中心に連携を模索する…

上の写真。Mojo Visionのコンタクトレンズの画素と比較した砂粒。Image Credit: Mojo Vision

(前回からのつづき)Mojo Visionは、同社が初の真のスマートコンタクトレンズと呼ぶ「Mojo Lens」を開発している。日本の名古屋に本社を置くメニコンは、素材開発、レンズ設計、硬質ガス透過性レンズ技術、レンズ製造、ケアソリューションなど、コンタクトレンズ関連のすべての分野に特化した唯一の企業であると謳っている。

彼らはコンタクトレンズの素材や洗浄、フィッティングなどを中心に連携を模索する。メニコンは田中秀成氏が代表執行役社長としてコンタクトレンズを製造して70年、1400人以上の従業員が在籍している。Wiemer氏によると、メニコンはコンタクトレンズのコーティングや、デバイスが人体とどのように相互作用するかなど、多くの研究を行っているという。またWiemer氏は「チームを団結させることが目下の課題」とも語っていた。

Mojo Lensはユーザーの視界を妨げたり、移動性を制限したり、社会的な交流を妨げたりすることなく、ユーザーの自然な視野にモノクロの画像、記号、テキストをオーバーレイすることができる。

Mojoは不可抗力的に衰弱する病気などを治療するのに役立つ医療機器に、安全かつ素早く提供するために設計されたプログラム「ブレイクスルーデバイスプログラム」を通じて、米国食品医薬品局(FDA)とも協力している。

2020年4月、Mojoは5,100万ドル以上の資金調達を発表し、現在までに1億5,900万ドルの資金調達を行っている。同社は100人以上の従業員を抱えているが、財務的な状況はそれ以上明らかにされていない。Wiemer氏によると、同社は大手コンタクトレンズ企業のほとんどと関係を結んでおり、2020年1月にお披露目したものよりもさらに進化した新しいプロトタイプに取り組んでいるという。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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スマートコンタクト「Mojo Vision」 :名古屋のメニコンと開発提携、AR世界を現実に(1/2)

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Mojo Visionは、現実世界に重ね合わせた拡張現実(AR)の映像を見ることができるコンタクトレンズの試作品を開発しているスタートアップだ。彼らは日本の大手(そして伝統的な)コンタクトレンズメーカー、メニコンと提携し、さらなる開発を進めるとしている。 カリフォルニア州サラトガを拠点とするMojo Visionは、眼球の上に置いたスクリーンで拡張現実の画像を見ることができる、小さなディスプレイを…

Mojo Visionが開発する拡張現実スマートコンタクト:Image Credit: Mojo Vision

Mojo Visionは、現実世界に重ね合わせた拡張現実(AR)の映像を見ることができるコンタクトレンズの試作品を開発しているスタートアップだ。彼らは日本の大手(そして伝統的な)コンタクトレンズメーカー、メニコンと提携し、さらなる開発を進めるとしている。

カリフォルニア州サラトガを拠点とするMojo Visionは、眼球の上に置いたスクリーンで拡張現実の画像を見ることができる、小さなディスプレイを内蔵したスマートコンタクトレンズを開発中だ。かなり驚くべき技術革新ではあるものの、同社は何十年にもわたって作られてきたコンタクトレンズとの互換性を確認する必要があった。

Mojo Visionの最高技術責任者であるMike Wiemer氏は、本誌VentureBeatとのインタビューで「本件は開発契約で、かつ、商業契約に発展する可能性があります。彼らと一緒に仕事ができることをとても楽しみにしています」と、Meniconとのパートナーシップがこれを実現するのに役立つと語っている。

両社は共同開発契約の下、生産・製造に関する様々なフィージビリティスタディを実施し、長期的な協力関係を模索しながら、技術の事業化を目指すそうだ。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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ARを目に入れられるコンタクトレンズ開発Mojo Vision、5,100万米ドル超を調達——日本からはKOIFが出資、アプリストア構築で用途は未知数か

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シリコンバレー・サラトガに本拠を置く Mojo Vision はシリーズ B1 ラウンドの一部として5,100万米ドル超を調達したことを明らかにした。この調達を受けて、同社の創業以来の累積調達金額は、1億5,900万米ドルとなった。 このラウンドに参加した投資家は次の通り。 New Enterprise Associates(NEA) …… リードインベスター Gradient Ventures …

Image credit: Mojo Vision

シリコンバレー・サラトガに本拠を置く Mojo Vision はシリーズ B1 ラウンドの一部として5,100万米ドル超を調達したことを明らかにした。この調達を受けて、同社の創業以来の累積調達金額は、1億5,900万米ドルとなった。

このラウンドに参加した投資家は次の通り。

  • New Enterprise Associates(NEA) …… リードインベスター
  • Gradient Ventures
  • Liberty Global Ventures
  • Struck Capital
  • Dolby Family Ventures
  • Motorola Solutions Venture Capital
  • Fusion Fund
  • Intellectus Partners
  • KDDI Open Innovation Fund(KOIF)
  • Numbase Group
  • InFocus Capital Partners …… ほか

今回の調達に伴い、NEA のパートナー Greg Papadopoulos 氏が Mojo の取締役会に加わった。昨年3月に実施した1度目のシリーズ B1 ラウンドでは、Google の Gradient Ventures、LG 電子、Kakao Ventures、スタンフォード大学のアクセラレータ兼ファンド StartX らも参加していた。次のシリーズ B2 ラウンドの可能性に関する BRIDGE の質問に対し、Mojo Vision は「将来の調達の可能性について言えることはない」とした。

2015年に設立された Movo Vision は、その後、約3年間はステルスモードにあった。どのようなプロダクトを開発しているのかが明らかになり始めたのは、2018年11月に実施したシリーズ A ラウンド以降のことだ。Mojo Vision の CEO Drew Perkins 氏は Mojo Vision 以前、光通信機器メーカー Infinera、通信量向上技術開発の Gainspeed を創業した人物として知られる(Infinera は2007年に上場、Gainspeed は2016年に Nokia により買収)。

Mojo Vision が開発するのは、簡単に言えば、AR を実現するスマートコンタクトレンズ。AR と言えば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)か、AR グラスを使うものと相場が決まっている中で、究極的なウエアラブルデバイスというわけだ。身につけるというより、身体の中に入れる装着方法を取る以上、FDA(アメリカ食品医薬品局)の認証を取る必要があり、市場アクセスを簡素化する「Breakthrough Devices Program」に参加しているが、まだ認証を得ていない段階だ。

インタビューは Zoom で実施。上部左から:筆者、広報担当 Brian Mast 氏、プロダクト&マーケティング担当 SVP の Steve Sinclair 氏、CEO の Drew Perkins 氏。「Mojo Lens」開発のタイムラインについて、Sinclair 氏が説明してくれた。

今年の CES 2020 で公開された開発中プロトタイプでも話題を呼んだように、公の場でも次第にその姿を明らかにしつつあるが、商品化され市場に投入されるまでの道のりはまだ程遠い。プロダクト&マーケティング担当 SVP の Steve Sinclair 氏が示してくれたタイムラインにあるように、画素数 14,000ppi の LED ディスプレイに加え、視点捕捉や電源供給など数々の機能課題を解決する途上にある。

Mojo Vision は、シリコンバレーにある視覚障害者の QoL 向上を目指す非営利組織 Vista Center for the Blind and Visually Impaired とも提携関係を結んでいるが、このデバイスのユースケースは視力を補うなどの医学的用途に閉じたものではない。すべての消費者にとってのデバイスにするため、「競争力があり、許容可能な(competitive and affordable)」価格を目指すという。さまざまなユースケースに対応すべく、Mojo Lens 上で動くアプリのマーケットプレイスも構築予定だ。

Vista Center は、我々が向かうべき方向を目定めるのを手助けてくれる。今後も、世界中の似たような組織と手を組む可能性はある。(Sinclair 氏)

Sinclair 氏はまた、KOIF からの戦略的出資については、具体的にどのような PoC などを実施するかを語るのには時期尚早とした。

Image credit: Mojo Vision

Mojo Lens はその商品性格上、日本でも市場投入においては、アメリカの FDA に相当する PMDA(医薬品医療機器総合機構)からの認証が前提になると見られるが、KDDI ∞ Labo のパートナー連合に参加する企業の力を借りて、これを実現するかもしれない。また、自由視点映像システム開発の韓国 ESM Lab への出資に見られるように、来るべき 5G 時代を担うスタートアップとの協業にも積極的で、Mojo Lens と 5G の掛け合わせについても可能性を感じ取ることができる。

tech savvy な日本の消費者に、将来、我々のプロダクトを届けられることを楽しみにしている。(Sinclair 氏)

Mojo Vision が市場で流通する商品を出荷開始する時期は未だ不透明だ。Perkins 氏のこれまでの事業実績に裏打ちされる形で資金調達を実現した戦略投資家とは、長期にわたる関係性を重視したものが多い、とのことだった。

この分野では、Samsung が特許を申請していることが2016年に確認されているが、実現に向けて開発が進んでいるかどうかは定かではない。3月には、ロサンゼルス郊外に本拠をおく InWith がコンタクトレンズメーカー大手ボシュロムと技術実装において協業していることが明らかになった

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