世界をにぎわす2つの仮想通貨、BitcoinとRippleを比べてみる

ゲストライター by ゲストライター on 2013.5.26

wamda_logo_ar※本稿は、中東・北アフリカの起業家向けメディア「ワンダ(ومضة)」からの転載である。転載にあたっては、原著者グライ・オズカンからの許諾を得た。 彼女の過去の寄稿はこちらから。Sd Japan has reproduced this under the approval from the story’s author Gülay Özkan.


bitcoin_large先月のデジタル通貨 Bitcoin に対する見事なまでの評価の上昇と下落は、革新的な世界金融システムとは何かについて、世界中の関心をさらった。

デジタル通貨は、いくつかのハイテク企業にも見受けられるように、既に多くのEコマースサイトで受け入れられ、ウェブ標準になる最初の関門は通過したように思われる。しかし、Bitcoin の評価の乱高下を見る限り、Bitcoin が今後も生き残れるかどうかは懐疑的だ。Bitcoin の価値は、2013年の初め1単位あたり13ドルだったところから、先月には266ドルにまで上昇した。急上昇した同日に100ドルまで急落、その数時間後には160ドルになった。

いかなる政府とも関係を持たず、規制も受けず、アメリカの反マネーロンダリング法の遵守も求められられ無い通貨には、懸念材料も多い。

しかし、ベンチャーキャピタリストは、Bitcoin に対して真剣に向き合っている。2013年の4月11日にエンジェル・ラウンドを完了した、アメリカのオンライン通貨プラットフォーム Ripple(XRP)は、Andreessen Horowitz、FF Angel TV、Lightspeed Venture Partners、Vast Ventures、Bitcoin Opportunity Fund など、主要な金融プレーヤーを魅了した、OpenCoin は Ripple プロトコルを開発している企業で、資金調達した資金は同プロトコルを広めるために使われることになる。

Bitcoin、Ripple の機能比較

Ripple にとっては古くからのライバルである Bitcoin は2009年に開発された。正体不明の中本哲史氏の名のもと、個人やグループが考案した Bitcoin は、大変複雑なコンピュータ・プログラムの上に成り立っている。言うまでもなく、商品やサービスへの支払に、利用を認めた人々の間同士、オンラインで交換ができる仮想通貨だ。現在のところ、Bitcoin が利用可能なサイトは概ね1,000サイトほどである。

Bitcoin はゆるやかにデジタルマイニング、すなわち、今ある Bitcoin の通貨供給に新しい Bitcoin が追加される形で増えて行き、複雑なアルゴリズムによって決定される。現実社会では、政府は経済の安定を図るため、市場で取引される商品の量に基づいてレートを決定し、新しい通貨を発行する。Bitcoin 経済では、自分のコンピュータでマイニング・プログラムを起動することを了承した個人ユーザに、新しい Bitcoin が進呈される。(マイニングについてはこのビデオを見て、通貨供給量が制御されるしくみについて考えてほしい。)


 

決済取引は、中央集約されていないピア・ツー・ピアのネットワークで管理されている。これは Bitcoin を制御する銀行や監督官庁が存在しないことを意味し、ここで生じる大きな問題は、政府が課税をできないことだ。Open Transactions と呼ばれる「利用のしやすい金融暗号化、デジタルキャッシュ、決済ライブラリ」などからなる取引プラットフォームは、Bitcoin を完全に追跡できない決済手段にしてしまい、これまでの法律システムには挑戦的と見られてしまうのだ。

これまでに、約1,005万個の Bitcoin が流通しており、それらは1億もの小さな単位に分けられて、マイニング・プロセスにより決定されている。市場には最大で 2,100万個の Bitcoin が存在することができる。Bitcoin を買うには、東京にある Bitcoin の最大交換業者 Mt. Gox のような企業に、リアルな通貨を送金し。携帯電話やコンピュータ上に、Bitcoin を貯めるためのウォレットを作成する。(この点については、以下に PandoDaily のビデオで概要を紹介されている。)


 

一方、Ripple は、E-LOAN や Prosper の創業者である金融技術のパイオニア Chris Larsen(関連記事)と、ベテラン開発者の Jed  McCalebが率いるシリコンバレー・スタートアップ OpenCoin が開発した。Jed McCaleb は、もともと東京の Bitcoin 交換業者 Mt.Gox を作った人物だ。

Ripple が Bitcoin と大きく違う点は、単一のオンライン通貨ではないということだ。1Rippleの料金を支払えば、ドル、ユーロ、円、さらに Bitcoin でさえ、金銭を送受できる。今年の4月現在、1Rippleの価値は1セントの千分の一だ。1,000億Ripple が流通した後は、新たな Ripple は作られない。つまり、Ripple は金銭取引サービスのためのトークンなのだ。

Ripple のように単一通貨からは距離を置いた方法をとれば、Mt. Gox のような中央集約的な取引市場ができてしまうリスクを回避できるかもしれない。しかし、これは同時にハッカーにアタックされやすくなることを意味する。Ripple が Bitcoin に勝るもう一つの点は、取引に10秒しかかからないことだ。Bitcoin は複雑なコンピュータ処理を介するため、これよりかなり長い時間を必要とする。今のところ、Ripple は Bitcoin に対してよい市場を提供しているが、Ripple の通貨の都合次第で、Bitcoin を潰しにかかるかもしれない。

(仮想通貨に関する詳細は、以下のビデオクリップや、New York Magazine に掲載された、Kevin Roose記事を参照されたい。)

ソフトウェア・ベースの通貨に対する信頼

新しい通貨が、世界的な金融システムに革命をもたらす可能性を提起する一方、解決されるべき難しい問題も存在する。例えば、ある通貨がソフトウェアやコンピュータ上にしか存在しない場合、技術的な障害が生じたときにどうなるのだろう。3月に起こったシステム障害の直後、Bitcoin のレートは1時間で23%下落した。すべての Bitcoin を集めると、現在の価値は15.5億ドルを超えているが、これは簡単に崩れ去る可能性をはらんでいる。

信用、制御、市場の流動性は、仮想通貨における重要な問題だ。Bloomberg の Paul Ford などは、仮想通貨のことを冗談ではないかと言っている。高名なエコノミスト Paul Krugman は、Bitcoin のことを、経済をよくするどころか、少数の金持ちを生み出し、混乱を引き起こすしくみだと批判している。彼は Bitcoin の価値が、取引滞留の結果下がったとも指摘している。

代替通貨の話は、Bitcoin と Ripple が最初のケースではない。これまでにも、Brixton Pound が2009年にロンドンでローンチ、Bavaria の Chiemgauer が2003年に、また、Credito 社はイタリアで Damanhur という名のコミューンを作った。

次のトレンドは?

P2P レンディング、Bitcoin、Ripple などは、新経済の堅固なソリューションにはならないが、エコノミスト達は特に及び腰だ。しかし、彼らの動きを見る限り、ウォール街は当初、新しい投機対象を生み出そうと、このような新しい金融ソリューションを支持していた。

それが電子通貨なのか、ハイテク企業なのかはともかく、少なくとも新しい仮想通貨の誕生により、テック起業家は、多くの昔ながらの経済プレーヤーの心を開けさせる方法を見出した。イノベーションの初めのうちから、安定したソリューションを創り出せる者など居ない。しかし、一つだけ確実なことがある。セキュリティ・リサーチャーの Dan Kaminsky が言った言葉だ。政府は Bitcoin を葬り去ることはできない。できるのは、ただ、見ていることだけ

仮想通貨市場は進化を続ける中、Eコマースが強い、もしくは、成長傾向にある市場では(アラブ社会やトルコがそうであるように)、起業家は新しい金融システムに注目する必要があるだろう。未来の通貨を理解し、これまでのしくみに変わる金融システムをサポートするために。

アメリカに比べると、中東では、仮想通貨が既存勢力から強い抵抗に合うことは免れないだろう。しかし、すばらしいのは、Bitcoin が大企業ではなく、ウェブ・コミュニティに認知される必要がある点だろう。新しい革命がもたらされるのなら、それが Bitcoin であるかどうかは問題ではない。

【原文】

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