#IVS 2013 Springラウンドアップ:国内ネット系トレンドで掴んでおきたい「4つのトピックス」と「ゲームの次」

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2013.5.26

国内の主要ネット系企業の経営者が集まる招待制カンファレンス「インフィニティ・ベンチャーズ・サミット2013 Spring(以下IVS)」では様々なテーマで国内ネットビジネスのトレンドが語られた。本稿では全体を通じて感じられたトピックスを取材記事と共に振り返りたい。(IVSの全レポートはこちら英語レポートはこちら

ゲームゲームゲーム!

これはインフィニティ・ベンチャーズLLP共同代表パートナーの小野裕史氏があるセッションで示したGooglePlay上での販売カテゴリに関するAppAnnieのデータだ。見ての通り、日本の売上は9割近くがゲームだ。

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スマートフォンとゲーム。このスライドはそのまま今年のIVS、国内ネットビジネスの話題を端的に表現している。

グローバルゲーム市場で勝つためにはーーGREE、DeNA、gumiの代表によるセッション

世界共通で売れてるのはブラウンとコニーのいちゃついてるスタンプーーLINE舛田氏が語る「マネタイズ」と「オープン化」

大きなテーマでゲームを扱っているセッションはこの二つだったが、参加者や登壇者も何らかの形で関わっている人が多く、全体的な「雰囲気」はやはりゲームが占めていた。セッションの中には専門性が高すぎて一緒に取材にあたっていたCNETJapanの岩本記者と「これどうやってまとめる?」と頭を抱えるものもあるほどだった。

ただ、このスライドは「別の一面」も持っている。これは後述のキーワードで説明する。

次世代成長産業と「新経済連盟」

新政権誕生で経済の話題が盛り上がっているが、当然バブル的な要素も感じられる。これを具体的な経済成長に繋げるためには「新しい成長産業」が必要になる。ネットビジネスはもちろんそのひとつ、そしてここに集まっていた起業家はその担い手となる。

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楽天 三木谷氏、LINE森川氏、GMO熊谷氏、フジテレビ亀山氏による対談「日本からイノベーションを産み出せ!」ライブブログ

「失敗に直面しても諦めない」ーーアジアで成功しているスタートアップたちが語る、世界での勝負の仕方

「日本の起業家意識は先進国に比較しても低い」ーーサイバーエージェント藤田氏が若手起業家に迫る起業の「今」

今は資金の流れや人の動きが活発だという話題をいくつか耳にした。起業家という人種はこういうトレンドに関しては敏感だ。

マネタイズ?それともスケール?

あるセッションでサイバーエージェント代表取締役の藤田晋氏が、ネットビジネスの考え方について、思いっきりスケールさせるか、マネタイズをしっかり考えるか、売却するかの三つだと話していたのが耳に残っている。

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IVS Launch pad 2013 Spring の優勝者はクラウド自動会計ソフト「freee」

IVSのLaunchPadで優勝したfreeeも、その他の出場社も現実的な「マネタイズをしっかり考える」ものが多数を占めており、圧倒的なスケールが必要な「なんちゃらソーシャルメディア」は数少なかった。

ネットビジネスにプレーヤーが増え続ける中、起業家が選ぶテーマはどんどんニッチになっていく傾向がある。パイが小さければ当然スケールの可能性は低い。つまり「ニッチなのにスケールしなければビジネスにならないサービス」というのは矛盾そのものなのだ。

あたらしい「ミクシィ」とベンチャー経営の未来

その昔、会社の生きながらえる単位が数十年と長かった時代、上場会社の経営陣は「重役」という言葉で表現されていた。道路や建物、車、家電は大きな資本と長い時間がなければ作れない。

ネット時代に移り、私たちはものすごく簡単に起業ができるようになった。サービスのライフタイムサイクルは数年ではなく数カ月、会社そのものの新陳代謝もそれに合わせなければ生き残れない。

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そういう意味でミクシィの若返りは多くのネット系企業にとって大きなトピックだった。このセッションで若き経営陣たちが語った言葉は熱く厳しい。

「すすきのには行かず深夜まで話してました」ーーグリー、サイバーエージェント、ミクシィが語る強い経営チームの作り方

ミクシィの印象は本当に変わった。

ゲームの次は教育?ーー「スマデバファースト」でどこを狙うべきか

今年のIVSを表現していると冒頭で示したスライドのもう一つの面、それが「ゲームの次」だ。ネットビジネスはサイクルがものすごく早い。次を考え、すぐに取り組まなければ死んでしまう。実は福岡で開催されたB Dash Campでもこんな記事に関心が集まっていた。

ソーシャルゲームのノウハウは使えるーー次に狙うは「教育アプリ」マーケット

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「ゲーム以外では儲からないのか」ーーこのセッションを担当したIVPの小野氏は切り出す。

表示された総務省のデータを見ると2011年からスマートフォンのコンテンツ市場が芽を出し始めている。過去を紐解けば、6,000億円規模の市場があった場所だ。

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「まだスマホは10%ほどでここにはチャンスがある」(小野氏)。LaunchPadで入賞したCocoPPaやチケット販売のtixee、このセッションに登壇していたタクシー配車のHAILOといったプレーヤーにチャンスが回ってきているのだ。

そしてさらに同じくこのセッションに登壇していたスタートアップが「スマートエデュケーション」だ。彼らもまた「Not Game」でスマホシフトを実践している。

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同社代表取締役の池谷大吾氏によれば、広告費をかけないで350万ダウンロードを達成、MAU(月間アクティブユーザー)も80万人と、こういったデバイスを持っているお母さんの二人に一人が持っている状況を作り出したのだという。

「スマートデバイスだから出来る教育を目指して、新しい市場を作っている」(池谷氏)。

課金についてはGoogle Playの方が月額課金が好調で、通信キャリアによる携帯電話決済が付いているのが大きくアンドロイドに注力していくと語っていた。この辺りにフィーチャーフォン時代のキャリアコンテンツビジネスモデル再来が感じられる。

またデバイスにもトレンドの動きがある。もうひとつの「スマートデバイス」、つまりタブレットの芽吹きだ。

かけ声を正式にスマホファーストではなく「スマデバ(スマートデバイス)ファースト」に変えた、というヤフー副社長兼最高執行責任者の川邊健太郎氏。

1月から急にタブレットからのアクセスが増えていて、今回のIVSの会場で他の事業者とデータの確認をしたところ、「PCの減りが激しくタブレットの普及期に入った」と流れに変化があったことを明かす。

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ヤフー副社長兼最高執行責任者の川邊健太郎氏

「パズドラやLINEなどの盛り上がりで、スマートフォンの可処分時間はどんどん減ってきている。タブレットはまだこれからなので、そこを早く取りにいく」(川邊氏)という考え方だ。

また川邊氏は米国でのトレンドとして、スマートフォンからタブレットへ広告費が流れているという話題を紹介。

スマートフォンだと表示面積が小さく、クライアントもほぼゲームアプリパブリッシャーとなる。当然単価は低く、魅力が薄い。一方タブレットだとPCと同様の広告展開が可能でナショナルクライアントが付いてくれるのだという。

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スマートエデュケーションで学習する幼稚園児たち。幼稚園8園に25台のタブレットを提供して実験中。iOS版は実に70%のユーザーがiPadでの利用になっているのだそうだ

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