スタートアップのオフィスで、生産性を劇的に向上させる5つの方法

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生産性が高く、集中できる職場はどんなものだろうか。そのようなオフィスで働いた経験がないという方も不安になる必要ははない。ほとんどの人が最高に生産性の高いオフィスで働いた経験はないだろう。

Gallupによって142ヶ国で行われた調査によると、世界中の87%の従業員が仕事に集中できていないようだ。特にアジアの各国の結果が悪い傾向にある。さらに東南アジアではその割合は73%と高く、東アジアでは、自分の仕事に熱中できている従業員は6%のみと、最も数値が低い不名誉な結果となっている。

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仕事にきちんと取り組めることと生産性は、スタートアップにおいては特に重要だ。チームメンバーが成果を果たすために、それぞれが力を発揮しなければいけないからだ。従業員の生産性を高めてより快適に仕事に取り組める職場環境を整えることが創業者には求められる。

心配しないでほしい。生産的な職場環境を作り上げるのにいきなりGoogleのオフィス並みの予算を投じる必要はない。工夫次第でそれを実現することも可能だ。より生産的で快適なオフィス環境を作る5つのコツを紹介しよう。

1. 適切な色を使う

色は一般的に様々な心の状態と関係している。例えば、赤は怒りや攻撃性、危険性を意味し、「to see red(激怒する)」いう熟語もあるほどだ。したがって色が心に与える効力を利用して、従業員を刺激したり、落ち着かせたりすることもできる。

著名な心理学者のAngela Wright氏によると、心理状態に影響するのは色の強さで、色そのものではないと指摘している。

同氏は「刺激的な印象を与えるか、それともリラックスさせるかを決めるのは、色そのものではなく色の強さです。強く濃い色は興奮感を与えて、薄い色は人を落ち着かせる」と解説する。

下図はこのコンセプトをうまく表している。

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A Year of Productivityとのインタビューで、従業員の仕事の種類にどの色が適しているかをWright氏は色ごとに分類している。まとめると次のようになる。

  • 青色ベースで、一部にオレンジ色が差し色となっているものは心の仕事に適している。
  • 黄色は創造力をかきたてるので、デザイナーに最適。
  • 赤色は肉体労働を伴う職業に最適。
  • 緑は会計士や金銭に関わる全ての職種に適している。

もちろん、これらは鉄則ではない。PapayaMobileのCEO兼設立者であるSi Shen氏は、オフィスの活性化という目的で彼女自身が個人的に色を選択したが、それぞれの色が与える影響については異なった見解を示している。

彼らのメインのミーティングルームである「AppFlood」ルームは、PapayaMobileに影響を与えるであろう取り引きが締結されたり、重大な決断が下される場のため、真剣さと機敏さを象徴する赤で統一されている。一方、「Papaya Reading」ルームは青でペイントされており、これは平静さと知恵を象徴するものとなっている。

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2. 自然光を十分に取り入れる

従業員が作業する場所に十分な自然光を取り込むのも大切だ。自然光が入らない職場だと、従業員は目を凝らしてコンピューター画面を見ることになり、快適な状況とは言えない。

「職場の昼光が睡眠、身体活動、生活の質に与える影響」と題した研究によると、人工的な光は従業員の睡眠、活動や生活の質に悪影響を与えることがあるという。また、同研究は、そうした環境にある従業員は「全体的な睡眠の質、睡眠効率、睡眠障害や昼間機能障害においても好ましくない結果」がみられたとも指摘する。

さらに、最近の研究では、科学者Mirjam Muench氏によって人工光が人々に睡眠を促す即効性があることも証明された。

「夕方の時点で、日光に当たった人の方が明らかに目がさえていました。深夜の時点では、人工光に当たった人の方が明らかに眠そうでした」(Mirjam Muench氏)。

簡単に言えば、窓が多い場所に従業員を配置することはとても有益である、ということになる。その他にも、Zopimにあるような大きな窓を数枚オフィスに設置することが可能なら、そういう方法もある。

Zopimのミーティングルームも会議中により自然な太陽光が差し込むよう、ガラスの壁で囲まれている。このちょっとした工夫でミーティング中に居眠りする人は確実に減るだろう。

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3. 一生懸命働いてもらうには、遊び心にも配慮しよう

遊ばずに働いてばかりだと従業員は駄目になる。実際、オフィスに娯楽環境があることが活気あるスタートアップの証にもなっており、Googleのオフィスにはバレーボールコートや温水プールが完備されている。同社がFortune誌の2014年度「働きたい企業ベスト100」で1位になったことは偶然ではないだろう。

もちろんアジアのスタートアップは怠け者だというわけでもない。シンガポールを拠点とするスタートアップのHope Technikは、オーナー自らがその手でロッククライミングウォールを完成させ、シリコンバレー企業にも同等に張り合える作業環境を提供している。全従業員はこのロックウォールを自由に利用することができ、従業員の家族や友人の利用も歓迎している。

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この背景にある根本的理由はシンプルだ。年齢に関係なく、遊びは人々の中に存在する生産性を促進する。National Institute for Playの創始者Dr. Stuart Brownは、実際遊びがストレスを減少させ、楽観性そして社内での出世に対するモチベーションを後押しすると明言している。また遊びは集中力と忍耐力も向上させるという。

同時に、必ずしも全てのスタートアップがオフィスにロッククライミングウォールを設置するという極端なことをする必要があるわけではない。Dr. Brownは遊びという概念について、クールな玩具やガジェットを使った遊びよりも、遊ぶという行為自体のこと指している。そして、目標を達成するためではなく「楽しい」と感じる行為でさえあればそれが単純に遊びという行為になり得るのだ。

「何かに熱中しているとしたら、それこそが『遊び』なのです」(Dr. Brown氏)。

4. 机に向かって仕事ばかりしてないで、他の選択肢も持とう

長時間の座り仕事は、身体に様々な悪影響を及ぼすことが科学的に明らかになっている。実際、ワシントン・ポスト紙は長い時間椅子に座り続けると起こり得る一連の問題をまとめている。例えば、心臓病、肩こり、筋肉の衰退、足の冷え性などだ。具体的には、長い間座り続けることで起こる痛みは、仕事の生産性を悪い方への悪循環に追い込んでしまうという。

ということは、やはり席について仕事をする代わりに何か他の方法を提案するということは理にかなっている。選択肢の1つは立ち作業である。Twitter、AOL、そしてFacebookでは従業員に立ち作業スペースを提供しており、ReadWriteチームがこの作業方法についてリサーチしたところ、より高いエネルギーレベル、作業に対するより高い集中力、そして頭痛の減少といったポジティブな結果が得られたとしている。

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中国を拠点とするWandoujiaもまた、従業員に社内で自由に移動し自分の最も適した場所で作業することを推奨している。Wandoujiaの国際PRスペシャリストであるTyler Cotton氏は、従業員の多くが調整式デスクトッププラットフォームによって可能となった立ち作業を好んでいると述べている。

その他にもいくつかのオプションがある。

「弊社では通常の作業場以外にも従来とは違った環境として、ソファとフロアクッション、ブース、2つのスペースチェア、そして人々が立ち作業をしたり、ちょっとしたミーティングをすることができる作業カウンター壁に取り付けた『立ち作業スペース』があるラウンジルームなどの作業スペース、および作業座席をたくさん用意しているんです」(Tyler Cotton氏)。

5. 食べ物と飲み物を簡単に入手できるようにする

お腹がすくと作業中の仕事に集中することはできない。なんといっても食べ物は体を動かす燃料なのだ。従業員が必要と感じた時に食べ物と飲み物を提供することで、彼らの集中力とやる気を確実に持続させることができる。

ほとんどのオフィスにはパントリーがあるが、品揃えが豊富なオフィスは少数だ。例えばZopimは、従業員が何でも好きなものを食べられるように毎週「買い物リスト」を送信している。

Wandoujiaも、いつでも従業員の胃袋を満足させると決めている。

「全てのフロアにはたくさんのスナック菓子や、コーヒーマシン、様々なソフトドリンク、紅茶やジュース、個別包装のおつまみ、果物など、従業員が暇な時に手に取ることができる軽食が取り揃えられています。朝食と昼食もオフィスで提供されます。さらに、一部のエンジニアが夕食を注文することができる社内システムを開発しました。もちろん費用は会社もちです」(Cotton氏)。

オフィスの生産性を向上させるために、皆さんの会社ではどんな工夫を行っているだろうか?

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