Eコマース事業者向け写真補正ツールのZenFotomaticがスタンプ機能をリリース、サイト運営の効率化を加速

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ZenFotomatic は、ファッションEコマース向けの写真補正ツールだ。大阪・堺に拠点を置くグラムスが昨年9月にベータローンチ、これまでに国内で1,200アカウント、海外から600アカウントを集めている。

写真を撮る人ならわかるだろうが、どれだけ撮影時にカメラの解像度やホワイトバランスを調整してみても、その写真をウェブサイトにアップロードする際には、色調補正やトリミングなどの手間が発生する。写真が数枚であれば苦にならないが、アパレルEコマースなど商品点数の多いサイトでは、この写真編集の作業が相当な手間となり、毎日のサイト運営を圧迫している。

グラムスも、楽天の中で Clotho というEコマース店舗を運営しているが、彼らは忙しい日常のサイト運営業務の中から ZenFotomatic のアイデアを思いついた。

三浦大助氏
三浦大助氏

大手ファッションサイトと違って、モール内のEコマース店舗は新しい商品が入ったら、すぐにサイトに掲出して販売を開始するのが競争に勝つための方法です。そうすることで、自店舗の商品が検索上位に表示されるようになり、結果的により多くのお客さんを呼び込めるようになるからです。

しかし、この写真をアップする作業が大変。我々のような5人程度のチームでは、商品写真の加工で徹夜になることもしばしば。同じ悩みを持つEコマース事業者は少なくないはずで、この問題を解決すべく、我々のチームに居たニュージーランド人のエンジニア Blain Hosford に「何とか自動化できないか」と半ば冗談っぽく話していたところ、ZenFotomatic が出来上がってきました。(CEO 三浦大助氏)

ZenFotomatic はクラウドベースで動作し、一定のしきい値を設定することで、独自のアルゴリズムにより被写体と背景の境目を正確に自動検出できるのが、彼らのコアテクノロジーだ。ユーザの好みを自己学習する機能は無いが、自動検出を失敗した写真はユーザがグラムスに戻すことができ、これを受け取ったグラムスが失敗理由を追究し、アルゴリズムを最適化する。

料金は100枚の写真の自動編集につき2,500円から。もともとは人手の少ない小規模なEコマース事業者向けに開発したサービスだったが、コストダウンを図りたい大手Eコマース事業者らの目にも止まり、大量の利用には月極料金のメニューも存在するようだ。

当面は国内市場向けのサービス供給に注力するが、三浦氏によれば、現在模索している資金調達が成功し、オペレーションの適任者を採用したり、エンジニアチームが増強したりできれば、海外展開にも本格的に着手したいと語ってくれた。

日本のEC化率は3%ですが、アメリカは5〜7%、イギリスは9%など、海外の方が市場の可能性は高いと考えています。また、我々のサービスは言語に依存しないので、将来的には、いろんな国に出て行ってサービスを売りたいですね。

画像合成機能のローンチ

ブラムスは今日、ZenFotomatic に無料の画像合成機能(スタンプツール)を追加した。これにより、Eコマースサイトなどが写真に埋め込みたいPOPやロゴなどを、複数の写真ファイルに一括して合成/オーバーラップすることができる。

当初、筆者はこの機能が追加される理由がよくわからなかった。筆者がこれまでにかかわってきたシステム開発の世界では、この手の文字合成などは Eコマースのプラットフォーム側で動的に処理してしまうことが多かったからだ。この点について、三浦氏に聞いたところ、次のような答が返ってきた。

我々の想定ユーザはあくまで中小のEコマース事業者です。モール内のEコマース店舗の場合もあるわけで、動的に画像生成するような芸当はできません。あくまで必要な画像合成はパソコンで事前に行って、サイトには静的な画像ファイルをアップロードするやり方。そのための画像合成を、ZenFotomatic のクラウド上で一括処理できるようにしたわけです。

Eコマース向けのソリューションと言うと、とかく大規模事業者向けの大それたしくみを想像してしまいがちだが、モール内で商売を営む店舗向けに利便性を追求したところ、このような機能を追加することになった、ということだろう。

トルコ、インド、インドネシアなどの決済事業者や流通事業者に積極的な投資を行っている NetPrice.com の CEO 佐藤輝英氏は、どの国の市場でもEコマースが流行る上で一定のパターンがあることをしばしば語っている。発展途上国でも、より顧客満足度の高いサービスを提供するEコマース向けのフルフィルメント・サービスなどが姿を表す中で、ZenFotomatic が世界のEコマース事業者のデファクト・スタンダードになる日は、意外に近いのかもしれない。

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