起業家たちが自らの失敗談を語る「Failcon Japan」。午後のセッションで Moneytree(マネーツリー)CEOのPaul Chapman氏が登壇した。Moneytree(マネーツリー)は賢いお金のアシスタントアプリ。iPhoneやiPadのアプリから、預金残高やカード使用額を自動で一括管理できるようになっている。
Paul氏はMoneytree(マネーツリー)を始める前にもスタートアップを立ち上げており、イグジットもチームの解散も経験している。そんなPaul氏から「スタートアップの解散を避ける方法」というテーマでトークセッションが行われた。
解散を避けるために重視する4つのポイント
Paul氏はチームが解散してしまうことを避けるために、大切だと考えていることとして4つのポイントを紹介した。
- 起業する目標はわかっていますか?
- スタートアップは文化がすべて
- 文書で契約を明確にする
- 人間関係が重要
この4つのポイントについて、順番に紹介していく。
起業する目標はわかっていますか?
まず重要なことは起業する目的が明確になっているかどうかだ。社会に貢献することか、人気者になることか、刺激がほしいのか、お金持ちになりたいのか。この目標を自覚しておくことが重要だ。
Paul氏は、最初スタートアップを立ち上げた際、目標設定は抽象的なものだった。
Paul氏「2〜3年でいい会社を作ってお金をゲットしたい!という思いで起業しました。結果的には7年かかり、とてもハードなものだった。」
そこからPaul氏が学んだのは自分の限界を知ること。最大で何年挑戦するのか、給料は最低いくらなのか、残業はどのくらいするのか、家族にはどれくらい会うのか、友達とはいつ遊ぶのか、成功のために何を犠牲にするのか、などどこまで自分が目標のために行動できるのか。目標を自覚した上で、自分の限界を知ることも重要だ。
スタートアップは文化がすべて
Paul氏は「文化が戦略を食う」というピーター・ドラッカーの言葉を引用し、共同創業者を選ぶことによって会社の文化と成果が大幅に変わる、とコメント。
会社の文化は上の人間から下へと流れ、新しく入る人間はすでにできている文化になれていく。そのため共に文化を作っていく存在である共同創業者は非常に重要な存在だ。さらに、信頼関係のある人間とスタートアップを始めるべきだとPaul氏は語る。
Paul氏「以前のスタートアップでは、関係が希薄な人と起業したため、仕事がハードになったらチームの構成が崩れてしまいました。そのため、次のスタートアップでは信頼できる人間と始めました。」
文書で契約を明確にする
株主間契約によるいろいろな問題を避けるために、文書で契約を明確にすることが重要だとPaul氏は語る。以前、スタートアップをしていたときには株主間契約がなかったことで、会社をスムーズに経営できず、創業者の権利も不明確になってしまった、と当時のことをPaul氏は振り返る。
Paul氏「契約をすることで、給料の設定や、利潤の還元、最終决定者を明確にすることや、論争の解決、株はいつ誰にどうやって売ることができるのかといたことが解決することができます。契約とは期待管理です。自分の権利、義務、期待すべきことを知ることにつながります。」
人間関係が重要
スタートアップをする人にとって、
- 弁護士、司法書士
- エンジェルやメンター
- 実力、実績のある支援者
- ファンドレイジングの支援者
- ファンディングの仲介者
といった人々との人間関係が重要になる。
Paul氏による最後の教訓は、スタートアップには適切なアドバイザーが不可欠だということだ。以前、スタートアップをしていたときにアドバイザーとなった人物は中立的な立場ではなく、自分の利益のためになる行動をとっていたという。
Paul氏「このような事態を防ぐためには、アドバイザーを幅広く募集すること。積極的にネットワーク作りを行い、アドバイザーとしてメンターを募集することが重要です。」
Paul氏はこれらの教訓を活かし、現在は順著にMoneytree(マネーツリー)を成長させているという。これからスタートアップを始めようという人々は参考にしてみてはいかがだろうか。
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