KDDI∞Labo第9期Demo Day、最優秀賞はインテリアアートのマーケットプレイス「UUSIA」が獲得——プログラムはアーリー対象のアクセラレータに移行へ

Masaru IKEDA by Masaru IKEDA on 2016.2.22

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今日、KDDI ∞ Labo(ムゲンラボ)が、第9回インキュベーション・プログラムに参加したスタートアップのデモデイを開催した。デモデイでは、渋谷のヒカリエにあるイベントホールでオリジナルプログラム参加4チーム、ハードウェアプログラム参加2チームがピッチし、この数ヶ月に成し遂げた進歩を聴衆に披露した。

アーティストがインテリアアートを販売できるマーケットプレイス「UUSIA(ウーシア)」と、購入したアートを部屋に飾れる電子ペーパー IoT フォトフレーム「UUSIA PICTURE」を開発した CAMELORS が優勝した。

UUSIA by CAMELORS【最優秀賞】

副賞:Monoco 提供:おしゃれ小物セット

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街中にはおしゃれなカフェが増え、次第にリビングルームでもインテリアアートを楽しむ文化が浸透してきた。一方で、以前としてアートは手軽に買えない、楽しめないなどの問題を抱える。アートを提供する側のアーティストにヒアリングしてみると、彼らは自身の作品をお披露目する機会が不足していることに不満を感じている。

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UUSIA は、アーティストがインテリアアートを販売できるマーケットプレイスだ。ユーザは LINE のスタンプを購入する感覚でアートを購入できる。プラットフォームは未ローンチだが、これまでに1日で539名のアーティストに賛同を得ることができた。2016年3月にはベータ版をリリースする予定で、購入したアートを表示する電子ペーパー IoT フォトフレーム「UUSIA PICTURE」を5月にアメリカでクラウドファンディング開始する予定だ。電子ペーパーを使っているため、表示のためには常時給電が不要である。

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メンタリングを担当した KDDI では、コンセプト・サービスを具現化するために、消費電力の測定、電子パーツの技術調査、販路開拓などの支援を提供した。

電玉 by 電玉【オーディエンス賞】

副賞:Monoco 提供:気になるガジェット3種

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au 未来ハッカソンで出会った6人によるチーム。けん玉が世界的なゲームとして認知される中(けん玉2.0)、IoT によってけん玉を進化させ、新プロダクト「電玉」でけん玉3.0 を実現しようとする試み。けん玉内部にセンサー、スマートフォンとの通信機能、アクチュエイターを内蔵しており、2人やチームで対戦し、玉が入ったかどうかを競うことで相手にダメージを与え体感させることができる。

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既存のけん玉市場は20億円だが、けん玉を IoT 化することにより、体感ゲーム市場127億円、ダーツ市場1,190億円などを取り込み、グローバルな市場展開を行うことで、これらの市場総和の5倍の市場規模をターゲットにしている。2月29日から Makuake でクラウドファンディングを開始予定。B2C では、Makuake や Kickstarter を使った販売、B2B2C ではダーツバー、遊戯施設、老人ホームなどへの進出を模索している。

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メンタリングを担当した KDDI では、ユカイ工学、Jenesis、クレアらの協力を得て、部品選定、認証取得、量産体制の確立などを支援、また、クラウドファンディング展開後の販路拡大のため au ショップでの店頭体験機会の提供を検討している。

HRDatabank by HRDatabank

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HRDatabank は、韓国人とチュニジア人の起業家によるスタートアップだ。もともと外国人留学生向けのサポートサービス「Study in Japan」を運営していたが、メンバーだった50カ国600人以上のメンバーにヒアリングしたところ、留学生らは留学そのものよりも、そのあとの就職活動に興味があることがわかった。そこで、発展途上国の人材調達モデルを確立し、HRDatabank を開発した。

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発展途上国からのエンジニア採用に特化し、履歴書を24個の条件フィルターで絞り込みできるようにすることで、通常なら100分かかる履歴書のレビューを10秒で済ませられるとのこと。テキストチャット、面接日時設定、ビデオチャットができ、必要に応じて、履歴書情報をもとに入国管理局に提出する労働ビザの申請フォームを作成したり、行政書士にビザ申請を依頼したりすることができる。

Google と KDDI がメンタリングを提供し、Google は主に海外進出に向けたマーケティング手法や、各技術分野におけるマンツーマンサポートを提供した。

AppMotor by Revode

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プログラミングにおいては、開発中のバグやエラーが起きたときには、まわりの知見のある人やインターネットを通じて調べて解決を試みることが一般的だ。しかし、これからプログラミングを始めようとする人には、知見者は近くにいないし、インターネットで情報を調べるにも要点を得ていないと多大な時間がかかってしまう。

AppMotor は現役プログラマや、プログラマを目指す人のためのバグ修正支援プラットフォームだ。ユーザは自身が抱える問題を投稿することで、プラットフォーム上にいるその問題を解決できそうな技術者とつながることができ、ユーザのパソコンの画面やキーボードの入力、マウスの動作を共有し、ユーザは指導してくれる技術者から問題点について教えを乞うことができる。音声動画通話もサポートしている。

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TECH::CAMP での試験運用を予定しており、本日、クローズドでのユーザ募集を開始した。メンタリングを担当する住友不動産は、ビジネスモデルの検討、クライアントの紹介、タッチアンドトライ機会の提供を実施した。

ViC by AG

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Eコマースにおける課題点は、商品のサイズや質感などが写真だけでは伝わりにくいことだ。このため、特にファッションやインテリア用品を扱うEコマースにおいては、顧客が一度購入した商品を試した後、返品するケースは少なくない。質感、着心地、風合いなど、文章や写真では商品に関する情報が十分に伝わっていないためだ。

ViC は動画を使ったEコマース向けの商品紹介ソリューションで、商品そのもののみならずユースケースを動画にし、動画の上からクリックすることで商品を選択、後に購入することができる。画面上をポインタでスライドすることで、より細かい質感をクローズアップして参照することもできる。

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メンタリングを提供した三菱UFJニコスが AG をパルコに紹介し、現在パルコの EC サイト「Meetscal ストア」上に ViC が導入されている。動画作成に要する制作コストが業界最安値水準であることが売りで、今後は、映画やドラマ、料理番組からの、プロダクト・リプレイスメントによるEコマースへの販売誘導などにも導入する進める模様だ。

Buildy by クロードテック

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日本では、飲食や小売業の中小店舗の24%は2年半で廃業に追い込まれているという統計がある。これらの店舗にとって、事業の継続性を占うのはリピート客の確保だ。しかし、チラシ、クーポン、ウェブサイトなどを作っても、情報飽和により見てもらえなかったり、持ってきてもらえなかったりする。大手チェーン店舗は、プッシュ通知ができる、オウンドメディアが使える、スマホの中に入るなどのメリットから、こぞってモバイルアプリを作り始めたが、開発コストが高いため個人経営の中小店舗には手の届かない代物だ。

Buildy は中小店舗向けのモバイルアプリ作成プラットフォームで、基本機能は無料で使え、アプリも最短3分間で作れるのが特徴だ。アプリが作れると同時に、ウェブサイトも作ることができる。現在、美容院、アパレルショップ、飲食店舗などを中心に導入を進めている。将来的には、日本全国200万軒の中小店舗が、モバイルアプリを通じてリピート客を確保できるようにしたいとのこと。現在は、店舗とリピート客間のコミュニケーション機能が中心だが、今後、予約ポイント機能、決済EC機能などを追加していく予定。

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メンタリングを担当した大日本印刷は、O2Oビジネスモデルのブラッシュアップ、顧客候補や協業候補とのコンタクトを支援した。クロードテックはこれまでに PayPal が主催した東京でのハッカソン・イベントで優勝(サービス名:Talk’nPick)しており、本日ベータ版をリリースした。

第10期を前に、KDDI∞Laboはインキュベータからアクセラレータへ

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第9期から卒業スタートアップによるピッチの終了後、KDDI 代表取締役執行役員専務の高橋誠氏が登壇し、2011年からの5年間で KDDI∞Labo から輩出されたスタートアップの総数が45チームに上っていることを強調。次回第10期を迎えるにあたり、プログラムをシードステージを対象としたインキュベータから、アーリーステージを対象としたアクセラレータに転換を図ることを明らかにした。

具体的には、応募するチームがプロダクト未リリースであることが応募条件から削除され、プロダクトのローンチよりも事業性や KDDI∞Labo パートナー連合各社との事業連携に軸足を移すことになる。また、これまで18社だったパートナー連合各社に加えて、アクセラレーションを支援する企業として新たに12社が加わり、KDDI∞Labo と何らかの形で連携する企業は30社となった。関係会社も加えると、結果として NHK や在京の民放全社が参加しているのは興味深い。

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最近では、パートナー連合各社にスタートアップとの連携を深めてもらうことを意図して、クレディセゾン、凸版印刷、三井不動産、大日本印刷へは、各社の社員を対象とした出張ピッチを実施、大阪市・石巻市・広島県・福岡市の各地方自治体とも連携し、地方出身スタートアップの発掘にも力を入れている。

第9期のデモデイ終了と同時に、KDDI∞Labo では今日から第10期への参加スタートアップの募集を開始した。第9期と同じくオリジナルプログラムとハードウェアプログラムが用意されており、金融・決済、ヘルスケア、メディア・広告、エンタメ、ライフイベント、ビジネスソリューション、観光・農業、ロボット・移動、VR/AR/AI など、多岐にわたる分野が募集対象となる。

締切は3月22日まででプログラムは4月下旬から開始されるが、3月22日までに募集予定件数に達した場合、締切日を待たずに募集が締め切られる可能性があるとのことなので、応募を検討しているスタートアップには早めのエントリをお勧めしたい。KDDI では、3月1日、2日、9日、10日の18時〜20時に、渋谷ヒカリエにある KDDI∞Labo スペースでの対面か、 Skype での説明会の実施を予定している。

Masaru IKEDA

Masaru IKEDA

1973年大阪生まれ。インターネット黎明期から、シンクタンクの依頼を受けて、シリコンバレーやアジアでIT企業の調査を開始。各種システム構築、ニッポン放送のラジオ・ネット連動番組の技術アドバイザー、VCのデューデリジェンスに従事。SI、コンサルティング会社などを設立。Startup Digest(東京版)キュレータ。

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