岩手県八幡平市と提携したNOWALL、エンジニア育成「スパルタキャンプ」を通じて目指す地方のあり方

Eguchi Shintaro by Eguchi Shintaro on 2016.2.9

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写真:起業志民プロジェクト

2013年に、家入一真氏が「スパルタPHP教室」を始めたのを覚えているだろうか。受講料無料で沖縄で開催される、と宣言したスパルタ教室。そこに主催者・講師で参加していたのが柏木祥太氏だ。

中学生の頃からプログラミングを学び、フリーランスのエンジニアとして活動していた柏木氏。スパルタ教室の講師として参加していた柏木氏は2014年にNOWALLを創業。家入氏が始めたスパルタ教室を引き継ぎ、自身の課題としてもエンジニアの育成に力を入れていきたいと考え、教育事業として6ヶ月間の中長期プログラミング学習スクール「ELITES」を2015年にリリース。プログラミングを学ぶだけでなく、仕事として活用できるための実践経験もカリキュラムに組み込んでいるのが特徴だ。

「エンジニアとして独立や転職したい人たち向けにさまざまなカリキュラムを提供しています。オンラインの動画でコンテンツを提供し、面談やメンタリングをオフラインで行いながら、マンツーマンで細かいところをサポートし、技術力をもったエンジニアをしっかりと育てていく環境をつくっています」(柏木氏)

また、当初に取り組んでいたスパルタ教室の流れを組んだ、プログラミングを短期間で学べる一ヶ月間の合宿プログラムである「ELITES CAMP(旧名:スパルタキャンプ)」を各地で実施。土日を使って講師とマンツーマンで細かなところを指導し、平日はオンラインでのコミュニケーションや与えられた課題に取り組む時間となっている。講師も、柏木氏だけでなくフリーランス時代のつながりから複数のエンジニアに講師として参加してもらっているという。

そんなNOWALLに岩手県八幡平市がスパルタキャンプの打診があった。八幡平市は、もともと「起業志民プロジェクト」という起業のためのサポートプログラムを行っていた。そのなかで、市としてプログラミング教室を開催したいという考えがあり、共同でスパルタキャンプを開催することとなった。すでに2回ほどスパルタキャンプが開催され、22名の卒業生がうまれ、エンジニアとしての即戦力として活動しているという。2016年2月下旬にも第3回目が開催される。

「1ヵ月という期間ですが、岩手という現地で参加する人はプログラミングを学びたい意識が高く、参加のモチベーションがあって離脱はほぼゼロです。これまで、地方でこうした本格的なプログラミング学習の機会がなかったから、というのもあるかもしれません。オンラインだけでなく、実際に講師が現地でマンツーマンで教えることの重要性を感じます」(柏木氏)

こうした取り組みを通じて、「起業する人やサービスを作る人を増やしたい」と話す柏木氏。さらに、スパルタキャンプを通じて転職した人もでてきている。こうした活動は業界全体の技術者不足の解消にもつながる。また、地方でこうした本格的な教育が行われることで、東京から地方へ拠点を移したり地元や住みたい場所で暮らしながら仕事をする人も増えてくるかもしれない。

また、教育だけでなく職場経験や転職先の斡旋も柏木氏は見据えている。NOWALLは、教育事業だけでなくシステムインテグレーションや制作案件にも取り組んでおり、実際の制作現場を持っていることによって最先端の現場が抱える課題なども把握できているのが特徴だ。

「現場の技術をダイレクトにフォーカスし、いま制作現場でなにが必要かといったシステム開発のノウハウがある。そこからダイレクトカリキュラムを作っています。即戦力を育成し、教育から仕事や職場の斡旋などをワンストップで行えるような取り組みを行っていきたい」(柏木氏)

(左)八幡平市市長と柏木氏

(左)八幡平市市長と柏木氏

スパルタキャンプを通じて地方でエンジニア育成の可能性を感じたNOWALLは、岩手県八幡平市と包括的業務提携を行い、この春からNOWALL岩手支所の開設。教育事業だけでなくNOWALLの制作の現場を提供し、雇用も生み出す取り組みに力をいれていく。

「地方で子会社をつくり、教育を現場の両輪を走らせることができれば、他の地域へ拠点をつくり、展開していくことも可能。岩手県での実績とロールモデルを確立し、横展開していきたい。スケールするのに時間はかかるかもしれませんが、クオリティの重視と着実な形でひろげていきたい」(柏木氏)

地方のおけるエンジニア育成や雇用の創出などが、一朝一夕でできるものではない。しかし、こうした地道で着実な取り組みを通じて、地方のあり方やエンジニアのあり方も変わっていくかもしれない。

“summercamp"/

Eguchi Shintaro

Eguchi Shintaro

ヒト、コト、モノをつなぐ編集者。ビジネスからデザイン、法律関係など分野を横断して動いています。THE BRIDGEでは、地方の起業家の取材や、ベンチャーに関わる法案や行政の動きなどを追いかけています。

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