「ただ困っている子を助けたかった」ー #Studygift は何が問題だったのか

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livertyが5月17日に公開した学費支援サービス「Studygift」が議論を巻き起こしている。やっていることは正しい、でもなにかもやっとする。ーー大量に拡散し、好意的な内容から徐々に批判的な口調に染まっていくTwitter、facebookのコメント群。批判の理由は至極ごもっとも、単なる説明不足だ。この件について家入一真氏も「言葉足らず」と本誌にコメントをくれた。

家入一真という人物の考え方は至ってシンプルだ。Studygiftの発想は、同氏が運営するCAMPFIREやクラウドファンディングに共通する”支援”の考え方から始まっている。「僕らはほんとにただ困ってる子を助けたかっただけで、なんでこうも叩かれなきゃいけないのか、と、でも言葉足らずなんだろうね。坂口さんも僕らもこれが出来ればもっと多くの学生が救える、とただそれだけの想いでやっただけなんだ。合宿もしたし徹夜もしたし。見返りなく」。(家入氏)

Studygift

主にTwitter上で巻き起こっている賛否の対象はこの仕組みそのものではなく、支援対象となる坂口綾優さんに集中している。多く目についたのはいわゆる奨学金が止まったのはそれ相応の理由があるからじゃないか、というものだ。確かに私も”違和感”を感じた一人でもある。本誌では坂口さんに取材し、不足している説明についてコメントを貰った。

まず、現在の状況については「学部事務所に休学の相談をしましたが、授業料が納入できず『退学』という扱いになっています。学費の目処が立ち次第復学できる」ということで、休学に近い状況になっているそうだ。また、大学に復学したい理由については、「勉強したいこと、履修したい授業がたくさんあって模索している最中にお金の問題が出てしまった」とコメント。さらに詳しい話は追ってプロジェクトから説明されるはずだ。

議論が起こることは大切だ。一方、説明が少し足りないだけで、ここまで一方的な解釈が生まれるという状況は少し考えたほうがいいだろう。

こうやって一般から資金を集めるという場合、通常のクラウドファンディング(kickstarterや国内であればCAMPFIREなど)であれば、支援する気持ちに加え、実際にモノが手に入る、という形式が取られることが多い。しかし今回の場合は”ほぼ”気持ちだけで支援する「無償の奉仕」が必要になる。寄付に近いかもしれない。

それだけに客観的に誰もが理解できる理由が必要だった。例えば時間割でもいい。一日の生活を見せて、働きに出てしまえば当然勉強する時間が削られる。自分にはやりたいことがあって、それにはこれだけの時間が必要だ。なので、支援が欲しい。そういう説明があればよかったのかもしれない。

でも、ただそれだけだ。説明すればいいだけの話で、クソミソに罵倒することじゃない。彼らはあくまで選択肢の一つを提示したに過ぎない。

引き続きlivertyの活動を追いかける。

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