名古屋からもチャレンジが増えて欲しいーー隠れたキーマンを調べるお・クラウド請求「Misoca」奥村氏

by OshibaTakanori OshibaTakanori on 2016.5.30

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編集部注:「隠れたキーマンを調べるお」は、国内スタートアップ界隈を影で支える「知る人ぞ知る」人物をインタビューする不定期連載。毎回おひとりずつ、East Venturesフェローの大柴貴紀氏がみつけた「影の立役者」の素顔に迫ります。

周囲のスタートアップでの利用も多いクラウド請求管理サービス「Misoca」。その「Misoca」を運営している名古屋のスタートアップがMisocaです。今年会計ソフト大手の弥生の子会社化になったというニュースがあり、話題になりました。そんなMisoca社でM&Aの窓口などを担当した執行役員の奥村健太氏にお話を伺ってきました。

大柴:名古屋までやって参りました。今日はMisoca執行役員の奥村さんにお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

奥村:よろしくお願いします。

大柴:いきなりですが、先日Misocaは弥生の子会社となりました。そこからまずはお聞きしたいなと。

奥村:はい。去年2015年夏くらいから資金調達をしようと動きだしていました。RISING EXPOに出たりしたのもその一貫です。

大柴:RISING EXPO、見に行ってました。賞貰ってましたよね。

奥村:「Google賞」と「SMBC日興証券賞」を受賞しました。そんなこともありいくつかのお話をいただいたりしてました。資金調達だけでなく、資本提携や場合によってはM&Aなど幅広い選択肢を持とうと思っていました。そんな中、サービス連携をしていた弥生とも話をしてたんです。最初は普通に業界についての情報交換という感じで話していました。その頃から互いの目指す方向性が似ているなとは感じていました。

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大柴:なるほど。

奥村:いくつかの資金調達の話も進めるうちに、弥生とのやりとりも、単なるサービス連携の打ち合わせから、資本提携やM&Aなども見据えた話になっていました。

そこで、社内で話しあったんです。自分たちはどうしたいのかを。そこでやはり自分たちは「Misocaというプロダクトを伸ばしたい」「ミッションを実現したい」という気持ちが強いことを改めて認識しました。弥生の岡本(浩一郎)社長とも話して、自分たちのミッションと弥生のミッションが合致することを改めて感じ、また自分たちの弱みを弥生と組むことによって解決し、Misocaをもっともっと早く広めることができるのではないかと思いました。それで今回の決断をするに至ったというわけです。

大柴:なるほど。奥村さんはMisoca側の窓口としてもろもろの交渉をされた感じですかね。

奥村:そうですね。それが一番良いのではないかと思い、引受けて調整しました。

大柴:奥村さんはいつMisocaに入られたのですか?

奥村:2014年です。その前は名古屋の会計事務所で働いていました。京都大学時代にベンチャーみたいのをやってたんです。休学して真剣にやっていたのですが、このままでも上手くいかないなぁと感じ、大学卒業後はいろいろな仕事にチャレンジしました。27歳の時に名古屋に戻り、会計事務所に入りました。

大柴:会計事務所に入った理由は何かあるのでしょうか?

奥村:ベンチャービジネスにはずっと興味あったのですが、自分自身の力不足を感じることもあり、バックオフィス業務を中心に会社運営全般に関して網羅的に勉強しようと。あとは中小企業をたくさん見てみたいという願いもあり、その2点で会計事務所を選びました。

大柴:なるほど。何年くらいそこにはいらしたのですか?

奥村:3年くらいです。Misoca創業者の豊吉(隆一郎氏、代表取締役)と松本(哲氏、取締役)に最初に会ったのは会計事務所にいた時なんです。もう4年前くらいだと思います。

大柴:そうなんですね!

奥村:Misocaをリリースした直後くらいだったと思うのですが、2人がいろんな会計事務所にヒアリングに回っていたんです。たまたま当時働いていた事務所にもヒアリングに2人がやってきて。最初自分は出席する予定ではなかったのですが、なんか面白そうなので同席したんです。

大柴:(笑

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奥村:彼らからサービスを見せてもらって「幅広い経理業務の一部だけが便利になっても、利用者はそれほど嬉しくないですよ」とかなり辛辣な意見を言ったみたいなんですよ。自分はあまり覚えてないのですが、彼らは「すごく酷評されたので印象に残ってる」と言ってました(笑。

大柴:豊吉さんも松本さんも相当ヘコんだんでしょうね(笑。

奥村:そうですね…。それから2年くらい経ってそろそろ自分も何か新たなチャレンジをしようと思い始めてました。その頃Misocaは最初の資金調達を終えていて、サービスを伸ばしていっていました。名古屋にスタートアップは少ないし、久しぶりに話を聞きたいなと思ってたら、ちょうど人員募集してたので会いに行ってみたんです。

大柴:なるほど。Misocaのお二人としては「あの時の!」って思ったかもしれませんね。

奥村:そうですね(笑。まぁそれで豊吉とも話してみて、ビジョンがしっかりしてるなぁと感じました。何のために取り組んでいるのかや、仕事と人生のバランスなど共感できることが多かったんです。経営者としての懐がかなり深いことを実感しました。松本とのバランスもすごく良くて。それでMisocaで一緒にやることに決めました。

misoca
クラウド請求書サービス「MISOCA」

大柴:その時は何人くらいのチームだったのですか?

奥村:チームとしては5、6人くらいでしたね。フルタイムの社員としては事実上1人目みたいな感じでした。自分以外は全員エンジニアで、雑談もほとんどが技術の話。たまにみんなで笑ってるんですけど、自分には何が面白いのかわからない。そんな状況でした。実際入社時には「奥村さんもプログラミングをやって欲しい」って言われてました。

大柴:そうなんですね。

奥村:はい。僕も工学部でしたのでプログラムの基本的なことは知っていましたが、開発に関わること以外の業務も増えていきそうでしたので、そっちを豊吉などから巻き取っていきました。バックオフィス的な業務は全て担当しました。途中で社名変更もあったので、そのあたりとかも。意外と社名変更に関するタスクって多いんですよね。

大柴:そうですよね。

奥村:あとは電話ですね。豊吉も松本も他のメンバーも基本的に電話が苦手で。なので自然と電話担当になりました。電話するだけで尊敬してもらえるので得な職場だなと思いました。

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大柴:わかります。僕も電話嫌です(笑。少し話を変えて豊吉さん、松本さんという二人の創業者についてお伺いさせてください。入社時の話をお伺いしましたが、豊吉さんの印象って入社後に変わったところとかありますか?

奥村:今も全く変わらないですね。ビジョンを信じてやり続ける。それは変わりません。人生における仕事の位置づけと言いますか、そういう部分が非常に共感できます。印象が変わった部分というか、先ほどお話したRISING EXPOの時ですが、出場すると決まってからの豊吉はめちゃくちゃプレゼンの練習をしていました。そして壇上でプレゼンする豊吉を見て「さすがだな」って思いました。基本的に外とのコミュニケーションは苦手だと本人も言ってはいますが、やるときはやるんですよね。その点で期待を裏切られたことはないです。

大柴:なるほど。松本さんは?

奥村:彼もやはりブレない人ですね。豊吉とのコンビは絶妙だと思います。意見はもちろん言いますが、最後は豊吉の意見を尊重する。物事を前に進めることを重視してるんですよね。そういう関係性です。豊吉と松本がMisoca起業前から名古屋でエンジニア向けの勉強会などをやっていたおかげで、初期の採用は上手くいきました。松本は今でもいろんな勉強会を企画して運営してるので、引き続き信頼してお任せしています。

大柴:なるほど。ありがとうございます。では最後に奥村さんの今後の展開をお聞かせください。

奥村:M&Aを終えて一息ついた感も正直あったのですが、やっぱりMisocaはまだまだ不完全でやることは多い。経理作業の現場レベルでもっと使いやすいサービスに変えていきたいし、弥生とのシナジーを活かしてもっとサービスを広めていき、ビジョンを達成できるように頑張っていきたいです。

大柴:道半ばですね。

奥村:はい。そうですね。あとは名古屋にUターンで戻ってきたし、名古屋で腰を据えて頑張りたいです。名古屋で生まれたアイデアを名古屋で実現し、世の中に影響を与えるようなサービスを作り出す。それができるような環境を作っていきたいです。名古屋はスタートアップが少ないと言われていますが、豊吉や松本、僕にも出来たので、名古屋でももっと多くのチャレンジが増えてくるといいですね。

大柴:なるほど。いろいろお話伺えました。ありがとうございました!

 

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