セレクトショップ向けAmazonが登場ーー商品が60日間売れなかったら卸へ返品できるAIマーケットプレイス「Indigo Fair」 の強さとは?

by Takashi Fuke Takashi Fuke on 2018.4.17

Indigo Fair_001

<ピックアップ : INDIGO FAIR RAISES $12 MILLION TO HELP INDEPENDENT RETAILERS SOURCE PRODUCTS FROM CREATORS>

セレクトショップのバイヤーは、見本市へ出向き、自店舗の雰囲気や商品ラインナップに合致するかを慎重に見極めながら、他ではり手に入らないユニークな商品を買い付けます。時には海外にまで仕入れに出向くバイヤーも少なくないでしょう。

しかし従来のバイヤーが行ってきた仕入れ方法には、課題が大きく2つあります。

1つはコストの問題。海外にまで買い付けに行くバイヤーは、多額の交通費を支払う必要があります。また、大規模見本市だけでなく、小さな市場にも出向く強いこだわりを持つバイヤーほど、理想の品を見つけ出すまでの時間コストが高まります。

もう1つは、仕入れリスクの問題。せっかく海外にまで出向き、お気に入りの品を買い付けたとしても、売れなければ元手すら回収できません。先行投資型のビジネスモデルに高いリスクが伴う形です。

こうした課題に対し、AIを用いたマーケットプレイスの解決策を提案する企業が「Indigo Fair」です。

画像認識を用いたマーケットプレイス

Indigo Fair_002

Indigo Fairは小規模セレクトショッップのバイヤーが、卸売業者から商品を手軽に仕入れることが出来るオンラインプラットフォームを運営(Eコマースのみで販売するセレクトショップは対象外。必ず実店舗を持っている必要がある)。

登録セレクトショップ数は1万7000店舗、卸売業者数は500社を超えます。2018年2月には、著名VC、Sequoia Capitalを筆頭に、1,200万ドルの資金調達を行いました。

初めて同マーケットを利用するセレクトショッップは、Indigo Fairの画像認識解析サービスを受ける必要があります。画像認識ソフトを通じて、ウェブサイトやFacebook、Instagramページに掲載されている商品、ウェブデザイン性を解析。

各セレクトショップが持つ独特の雰囲気や、商品ラインナップを解析することで、卸売業者が販売するユニークなデザイン商品との高精度マッチングを実現させます。

仕入れてから60日以内に商品が売れなかった場合、卸売業者へと返品できます(初めて利用する卸業者への返品に限る。2回目以降の利用では返品不可)。

Indigo Fair_003

筆者がIndigo Fairのサービスを初めて耳にした際、どうやって収益化を行っているのか疑問に持ちましたし、ビジネスモデルに脆弱性を感じました。

単なる返品可能なマーケットプレイスを運営するだけの事業に、長期戦略や競合優位性を感じませんでしたが、AIの活用事例を聞いた時、ビジネスモデルの強さを容易に想像することができたのです。

具体的に同社の強みは大きく3つ。1つは返品制度を設けたマーケットプレイスを運営することで、冒頭で説明したバイヤーの持つコストと仕入れリスクの問題を的確に解決している点。

明確なバリュープロポジションを持っていれば、投資家への説得力も増します。加えて、米国の見本市は128億ドルの市場規模を誇ります。しかし、見本市市場への参入やディスラプトを起こそうとしているスタートアップは聞いたことがなく、急成長することができれば市場を寡占できる可能性を秘めていると感じます。

2つ目は、AI企業として市場ポジションを確立している点です。画像認識を通じてセレクトショップが醸し出す雰囲気やテイストを解析する技術は、バイヤーが商品を選別するプロセスを自動化しているともいえます。

単に返品制度を設けたマーケットプレイスを運営していては、返品時に発生する手数料や多少傷ついた商品が返品された場合の減価償却費の埋め合わせを運営側が負担する必要が出てくることでしょう。

しかし、仮に返品プロセスを行う中でいくらか運営側が金銭負担を強いられたとしても、返品データは機械学習を用いてマッチング精度を高まる重要なデータ源となるためIndigo Fairにとって失うものはありません。つまり、データ精度を上げるための開発コストだと認識すれば、健全なAIマーケット運営戦略を立てることができるのです。

事実、AI精度の高さを裏付ける数値として、招待企業限定のβ版にも関わらず、1,000万ドルの流通総額を達成させた実績を残しています。

3つ目は在庫を持たないビジネスモデル。AIを使った商品レコメンド機能を使って、セレクトショップの仕入れプロセスを自動化させたIndigo Fairのモデルは「セレクトショップ向けAmazon」の地位を確立しつつあります。

Amazonとの違いは、在庫を一切持たないマッチングプラットフォームのモデルを確立している点です。スタートアップが生き残る上で重要な要素でもある、なるべく在庫・先行投資を必要としないモデルを確立しています。調達した資金をAI開発へ充分に費やせる点が、非常に秀逸なアイデアであると考えられます。

在庫を持たないゆえに、世界中のバイヤーと卸売業者を繋げるプラットフォームとして、アジア圏での展開も期待できるでしょう。特に日本の服飾系セレクトショップからの引き合いが強いかもしれません。

via betakit

ニュースレターの購読について

毎日掲載される記事の更新情報やイベントに関する情報をお届けします!

----------[AD]----------