起業家と共にー2012年のStartupDating

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メディアの運営に携わって気がつけばもう3年ほどになる。最初は前職時代に出会ったTechCrunch日本語版だ。今も活躍する翻訳チームが昼夜問わず北米の情報を届ける翻訳メディアで、途中参加の私はそこで多くを学んだ。しかし時が激しく流れ、運営は次の手に渡る。私も時を同じくしてフリーに戻り、起業家を書き始めたのはそのころからだ。

思い出深い出来事がある。ある起業家との出会いだ。彼は名刺も持たず、私に話をしたいと声をかけてきてくれた。自分には経験がある。技術もある。仲間もいる。でもどうやって世の中にサービスを送り出せばいいかわからない。テクとかスタートアップとかいってるメディアで書いてるオマエなら分かるだろうー

ーそういわれてるような気がして私は取材で知り合った様々な人を紹介した。もちろんそれまでそんなことやったことなんてない。

起業とは不思議なものだ。起業家はチーム、資金、技術、アイデア、どれひとつとっても欠けてはならないピースを集め、さらに自分でなければ決して掴むことのできない「何か」を加えなければ船は前に進まない。多分私は彼にとって必要なピースの一つだったのだろう。彼は今、起業の最前線で格闘している。

そんな話はそれ以降どんどん増えていった。ある時は投資家、ある時はパートナー、事業提携に首を突っ込んだこともある。あるときふと私はブロガーの可能性を一つ見つけることができた。それは「書くことで人を繋げる」ということだ。

「起業家とパートナーの出会いをつくる」ーStartupDatingは私、池田将、前田紘典の三人で2010年に始めたミートアップだ。集う場所をつくり、掴んだ情報とネットワークを共有し、起業家にとって必要なピースをみんなで集める。

起業家は日本が次に進むために必要な力だ。別にStartupDatingでなくてもいい。いろんな場所で多くの機会がつくられ、私が出会った彼のように、次に進む起業家が一人でも出てくれば、それでいい。

起業の現場は戦場だ。私もブロガーである前に、一人の起業家として彼らと共に戦いたい。みんなと出会い、そう思えるようになった。

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StartupDatingは昨年末に法人化して、2012年、新しいスタートを切ることになった。新たにメンバーも加え、起業家と共に新しい時代を作っていきたいと考えている。ここに自分達が考えているいくつかの話題を共有したいと思う。

起業家とパートナーの出会いをつくる

書くことは目的ではない。私がそうであったように、書くことを通じて起業家に新しい出会いを提供することが使命だ。だからこそ、起業家にとって大切な情報は何か、書くべきことは何かを追求していきたい。

2012年から新しい仲間が加わる。TechWaveや私たちのパートナーブログPennOlsonで執筆中の三橋ゆか里、元自衛官という逞しい経歴を持ち、現在はCNETJAPANなどでも執筆中の江口晋太朗、greenzなどで活躍している若手ブロガー森惇哉の三名だ。私たちは新たな仲間の力を得て、この目的を達成し続けたいと願っている。

三つの約束

ここに具体的にやるべきことを書こう。

1、オンラインとオフラインで出会う場所をつくる

昨年12回開催したStartupDatingはのべで800人の参加者を迎え、新しい出会いをつくることができた。今年も毎月の開催は変わらず、さらにもっと深いコミュニケーションがとれるような企画を用意している。こちらについては近々に発表するのでぜひまた参加してほしい。

また今年からオンラインでの場所作りに力を入れていこうと考えている。800人ほどが集まっているfacebookグループでの情報コミュニティに加え、新たにスタートアップのためのデータベースを開始する。現在仮登録中で、こちらも1月中には正式に公開予定だ。

2、テク系ブロガーの育成

取材の現場で実感するのが書き手の少なさだ。特に10代、20代のテク系ブロガーがもっと活躍してほしい。数年前にTechCrunchにマークヘンドリクソンというブロガーがいた。当時19歳の彼はザックが作り出すfacebookのインターフェースについて、同世代らしい視線で考察を書いていた。もっと若いのでは高校生なんてのもいたし、女性ブロガーも数多い。

なぜ若手や女性が必要か。それは同世代や同性にしかわからないことがあるからだ。20代には20代、女性には女性、複雑な起業家の内面を書き出すには共に時代を共感しあえる人の力が必要なのだ。特に若い起業家が増えている今、彼らを書くべきブロガーは必ず存在する。

StartupDatingに力強い書き手が集まるよう、仕掛けをつくりたい。

3、アジアを中心とした情報の受信と発信

特にここ数年、東、東南アジアのテクノロジー系サービスが発展著しい。パートナーブログであるシンガポール拠点のPennOlson、上海拠点のTechNodeから送られてくる情報は日々進化を実感できるものばかりだ。来るべきアジアの時代に備え、彼らの動向をウォッチし翻訳した情報をお届けしたい。

同時に発信は最も日本のテク系が不得手とするところではないだろうか。特に汎用言語である英語での発信はマーケットを広く取る必要のあるサービスならなおさら必要なことだ。私たちはこれまでPennOlsonに英語での取材記事を提供し、それを翻訳でサイトに戻すという少々変わった掲載方法を取ってきた。今年はこの方法をさらに強化し、グローバルへの発信に力を入れていきたい。

また引き続き、取得したMashableのライセンスについてもさらに充実を目指すつもりだ。

最後に

起業にキレイごとなんかない。自分に与えられた時間、場所、状況をブロックのように組み合わせ、最も美しい形を作り出すことができるまで、地道に、一歩ずつ、何度も何度も諦めないでトライし続けるだけだ。私もフリーになって約10年近く、地道にやってきた。

起業の現場はいうまでもなく厳しい。近年数多くのスタートアップが生まれたが、同時にそれはここから退場していく人間が多くなることも示唆している。私たちができることは、評論家にならず、彼らと同じ目線で、同じ現場に立ち、書くことを通じて一つでも多くの出会いを作り出すことだけだ。

このプロジェクトは多くのアドバイザー、スポンサー、先輩起業家の支援を得て動き出すことができた。改めてここに御礼を申し上げたい。支援者の期待に応えられるよう、2012年を猛ダッシュで駆け抜けたいと思う。

今年から始まる新しいStartupDatingをどうぞよろしくお願いいたします。

StartupDatingメンバー一同/執筆:kigoyama