中国におけるNFC、モバイル決済の次の大きな一手となるか

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【翻訳 by Conyac】 【原文】

この記事はゲスト編集者として、Vaibhav Puri氏が執筆したものである。彼はNFCに特化したモバイルスタートアップ、TaggitoのCEO兼創立者で、メールアドレスは[email protected]だ。

NFC(近距離無線通信) は非接触無線通信技術のことだ。使用周波数は13.56Mhz。スマートフォン、NFCタグ、非接触POSなど2つのNFCデバイスを使用することで相互通信することができる。接触あるいは、ごく近距離(数cmでの距離)で使用可能だ。この2つのデバイスでURLやvCardなどの決済やデータ通信の処理が瞬時にでき、データの交換も可能である。

世界の中でも、中国はNFCを使ったモバイル決済が勢いを増している。アメリカのNFCを使った決済のエコシステムを見ると、Androidを搭載したGalaxy Nexusがスマートフォン向けGoogleウォレットを導入しており、ユーザはMacy’sなどのデパートでGoogleウォレットアプリで支払いができる。しかし、Verizonなどの携帯キャリアがそのネットワークで動作するNexusのスマートフォンアプリをブロックした。なぜだろうか。

モバイル決済は安全な構成部品のサポートにより構築されており、ユーザの機密データは携帯内部(あるいはSIMやデータカード)に安全に保存されている。そのため安全で確実な取引が保証されているのだ。

Galaxy Nexusスマートフォンでは、この構成部品をハードウェア内部に組み込んでおり、携帯キャリアなどのサードパーティーが安全な構成部品へのアクセスを制限している。こうすることで、携帯キャリアが自由に自社のモバイルウォレットを搭載することを防止している。

モバイル決済はテクノロジー企業と携帯キャリアの双方にとって収益性が高いため、NFC決済システムにおいては安全性の確保が常に問題の中心にある。

これはVerizon、AT&T、T-Mobileなどの携帯キャリアへとつながる問題で、これら企業はISISというジョイントベンチャーを立ち上げて独自のモバイルウォレットのサービスの提供を開始している。

同ISISベンチャーは、Verifone、Ingenico、Vivotech、EquinoxといったPOSメーカー大手とともにアメリカは勢いをつけており、ISISモバイル決済サービスのサポート提供を予定している。

最近では、WalmartやTargetなどアメリカの小売業大手が独自のモバイルウォレットの導入を発表している。携帯キャリア、銀行、決済業務企業による同様の開発が世界中で起こっているのだ。

中国でも非接触決済システムに関する摩擦と競争がかなりの割合で発生している。2010年、China Mobileは、無線周波数帯域(RF)のSIMカードを使って非接触決済システムの開発と事業化を強く推進していた。SIMカードは従来のNFCの基準周波数(13.56 Mhz)とは異なった周波数(2.4 Ghz)で動作する。

その際China Mobileは、Walmartなどの小売企業と提携しており、このテクノロジーの事業化を進めていた。だが、技術とコストの問題により現在では中国の携帯キャリア第2位であるChina Unicomの計画と同じSIMベースのNFC技術の搭載に注力している。両社とも世界規模の携帯キャリア45社に入り、SIMをベースにしたNFCソリューションの共同開発に同意している。

China Telecomは、SIMpassを使ったNFCサービスを中国で正式に開始した。SIMpassというデバイスはNFCとは異なる形のもので、デュアルインターフェイスSIMとアンテナソリューションを備えている。SIMpassデバイスを使用するユーザは、Yikatongのプリペイド式運賃カードのバーチャルバージョンとして携帯を使うことができるのだ。

SIMpassソリューションを開発した企業Watchdataのように、200万人以上のユーザーがSIMpassを利用しており、ユーザの97パーセントが日々この技術の恩恵を受けている。SIMpassの開発が成功したことは、いかに中国人ユーザが世界中のどの国よりもNFCを積極的に開発してきたかを表す良い事例だと言える。

加えて、ABIリサーチのレポートによると、中国でNFC搭載携帯を使ったモバイル決済システムは2014年までには80億ドルに届くとのことだ。中国の巨大な携帯ユーザ層を考慮すると、中国でNFCの使用が基準になればそれは他国のNFCへの見方に大きな影響を及ぼすだろう。

【via Technode】 @technodechina

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