企業にとってBYOT(Bring Your Own Technology)とは—その現状と課題について

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【翻訳 by Conyac】 【原文】

国際的な調査会社であるForresterは最近、「Bring-Your-Own Technology(BYOT)の流行をグラフ化する」という名のレポートを発表した。このレポートは、従業員が仕事用に自前の機器を利用する傾向とその影響に焦点を当てている。確かに、BYOTが流行すれば、大企業の情報システム担当者が企業システムやインフラを保護し、統一性を保つために何らかの対応をしなければならなくなる。

Blackberryが流行の絶頂にあった頃、多くの企業は従業員にBlackberry端末を配布した。皆がそれを欲しがった。ステータスシンボルであったからだ。特にBlackberry Boldはそうであった。だがその後、iPhoneが登場し、ビジネスマンのそれまでのコミュニケーションの有り方というものを完全に揺るがした。もはや仕事用と私用のコミュニケーションが区別されなくなり、二つの境界は曖昧になり、みるみるうちに一緒になってしまった。現在では、これが人々の求めるコミュニケーションや仕事のスタイルだ。自前の機器やソフトウェアを持ち込み、仕事の能率を上げようとする従業員が増えつつあるのも、こうした理由からだ。人々はもはや仕事のためにデスクに縛られることはない。むしろ個々人の仕事のスタイルに合わせて、デスク以外の場所で自由に仕事をすることもできるし、そうすべき場合も多い。必要なのはモバイル機器とネット環境だけだ。

Forresterが行ったIT関連の仕事に就く17ヶ国9,912人を対象にした2011年第4四半期の調査によると、53%の人が仕事用に自前の機器を持ち込んでおり、これは2011年第1四半期から5%上昇しているという。また61%の人が自前の機器を仕事用と私用の両方に用いているという。ここでいう機器とは、タブレットやスマートフォンのことで、ウェブサイトやネット・サービスを見るための個人用のものをいう。オフィスやコーヒーショップを見て回れば、仕事をする人たちがスマートフォンやタブレットを使って情報を発信・収集しているのを簡単に目にすることができる。ネット・サービスについては、クラウドストレージのDropboxや文書管理のEvernoteのようなクラウドサービスが急増したことで、どんな場所でもどんな時間でも仕事をすることが容易になった。

さて、従業員が仕事用に自前の機器を使う場合、それは会社の経費ということになるのだろうか。Forresterによると「仕事用と私用の両方のために自分で機器を購入し、仕事用として、さらに会社に新しい機器の購入を求める従業員が増えている」という。このような傾向から、企業がテクノロジー関連の費用の会計処理をしたり、従業員へ費用を払い戻したりすることが厄介な問題になってきている。人々が自前の機器を仕事に使うようになる前は、どれが経費で、どれが経費でないかの線引きは明らかであった。しかし今日、企業はどのようにして、ビジネス利用の費用のうち、いくら返金し、いくら企業負担とするのか、客観的に判断すればよいのだろうか?

Forresterの調査によれば、IT関連の従業員は、コンピュータ・ソフトウェア、デスクトップ、ノートPC、周辺機器、スマートフォン、オンライン・サービス、有料サイトの登録、タブレット、モバイルアプリ、ネット接続、固定電話回線については、会社側が経費として負担するよう、会社を説得できたようである。ただそのような機器を私用で使っているケースも少なくないので、63%は自前でスマートフォンの代金を支払っており、51%は自前でネットブックやタブレットの代金を支払っている。

個人用の機器を仕事用に使う場合の大きな問題点の一つは、セキュリティとプライバシーだ。財務報告、予算、新製品の機能などの企業機密を含んだ情報を、従業員が容易に転送できる個人用の機器に保存しているとしよう。USBドライブ1つさえあれば簡単にデータ転送を行うことができる。個人用機器の使用が拡大する傾向を受けて、会社としては企業機密を保護する方法を考えていかなければならない。

もう一つの主要な問題は、ITサポートやその管理だ。企業にはもともとIT部署が設けられており、企業が提供するソフトウェアとハードウェアの問題にのみ対処している。しかしForresterがまさに指摘するように、従業員がiOS、Android、Windowsなどの異なるオペレーティングシステムが搭載された個人利用の機器を使用したとき、IT部署では彼らの力量でこれら異なるシステムに対処していくことはできるのだろうか? あるいは、そういう機器が私的にも頻繁に使われることを前提にすると、そもそもIT部門が責任を持つべきなのだろうか。

Forresterによると「やはり多くのCIOは未だBYOTにはタッチしておらず、IT関連の最終決定権をもっているのが48%、IT関連製品の購入に関して決定権をもっているのは46%にすぎない」。しかし、BYOTが広がる傾向は勢いを増しており、CIOは新しい決断を迫られる段階にいる。例えば、フレキシブルなBYOTポリシーを18カ月以内に定めることなどだ。さらにこれら2つの大きな問題(セキュリティとプライバシー)に対処していくため、増加し続ける機器やアプリをサポートするスキルを身につけるだけでなく、クラウドを活用して、情報のストレージやセキュリティに関して方向性を探っていかなければならない。

【via Technode】 @technodechina

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