Grow!のリニューアル、そして「BoxToYou」をリリースしたGrow! Inc.が考えるクリエイター支援のプラットフォーム戦略

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8月22日、クリエイターの支援プラットフォームサービス「Grow!」がリニューアルをおこなった。そして本日8月30日、日本初の定期販売プラットフォーム「BoxToYou」の正式リリースをおこなった。

これまで、Grow!ボタンを通じファンとクリエイターとの新しい関係を築いていたGrow!がそれまでのあり方を一新し、クリエイターのコミュニティをつくり、継続的にサポートしていくサービスへと転換した。同時に「BoxToYou」という、定期販売プラットフォームという新しい形をつくりはじめた。

Grow!が目指すこれからのクリエイター支援のためのプラットフォーム戦略について、Grow!CEOの一ツ木崇之氏に話を伺った。

クリエイターとファンとの関係性を継続していく仕組みを

「個人がソーシャルメディアなどによって自己表現をおこない、そしてファンを獲得しかつそれが継続的におこなえる仕組みをおこなう」ことをもとにGrow!は2011年に誕生し、Grow!ボタンを開発した。クリエーターは任意のサイト上にて「Grow!ボタン」を設置し、ユーザはボタンを押すことで、1ドルと変換したGrow!ポイントがクリエーターに付与できる仕組みだ。

これにより、それまでサイト上にてブログ記事や音楽、デジタルのコンテンツを発信していたクリエーターへの投げ銭が可能となり、よいコンテンツを作成するクリエーターに対する支援の仕組みをつくることができた。

しかしGrow!ボタンの登場以降、Ustreamチップや投げ銭がネット上で行える仕組みが次第に誕生してきたと同時に、継続的に支援をおこなう環境として、大きく形を変える必要性があったと語る。

「コミュニティの継続性と収益の対価性という2つの点を重視し、良いコンテンツをつくるクリエーターをサポートできることを意識した」と、一ツ木氏は語った。そのために、これまでのボタンによるコミュニケーションから、クリエーターとファンによるサポートコミュニティを形成し、より近い関係でクリエーターとファンとの関係をつくるプラットフォームへとGrow!は一新した。

サポートコミュニティは、コミュニティをつくりたいクリエーターがオーナーとなり、サポート会員の月額の会費を払ってもらうことで、クローズの掲示板などをもとに、メルマガ、画像、動画などの電子コンテンツを掲載し、ファンとコミュニケーションをとれる仕組みになっている。それにより、クリエーターとファンによる密なコミュニケーションをおこなうことができ、そして、収益とコミュニケーションの継続性という2つの面を強化した形となった。

個人によってキュレーションされたモノを届ける仕組みを

Grow!は、新しいクリエーターとファンとの関係性を構築するコミュニティへとリニューアルをはかると同時に、新サービス「BoxToYou」を正式リリースした。

「BoxToYou」は、Facebookアカウントによる実名制の定期販売のプラットフォームだ。ユーザは、出品したい商品などを定期的に販売する場をもつことができる。このサービスを開発した背景には、ECや定期購入をおこなうために必要な初期費用や月額利用などによるコスト、PayPalなどの決済問題などによる参入障壁の高さから、多くのクリエーターがウェブを通じて商品を販売することの難しさを解消することが目的と一ツ木氏は語った。「BoxToYou」は、そうした日本の現状の問題を解決し、誰しもが思い思いの品や独自の切り口によってキュレーションされた商品を届けるプラットフォームを目指している。

また、日本にここ近年盛り上がりを見せつつある定期購入サービスを研究する中で感じたものは、多くがソーシャルメディアやイベントなどを通じたユーザとのコミュニケーションによってサービスのファンを獲得しているスタートアップなど、単純な商品力だけではなく、購入者との密なやりとりを通じた付加価値を提供するサービスが多いと一ツ木氏は語る。そうした現状を支援するために「BoxToYou」は、出品者と購入者によるFacebookアカウントを通じたクローズのグループ内にてコミュニケーションをおこない、継続的な関係性をつくっていく。

出品者は、12ヶ月内での販売回数の設定、1000円から1000万円以内による値段の設定、届ける商品、配送予定日、最大販売数などの在庫設定などを記載して申請をおこない、申請が許可された出品者は出品をおこなうことができる。購入したい人は、オーナーのページより購入画面にいき決済をおこなう。決済として、PayPalではなく、stripeというクレジット決済機能を簡単に埋め込めるサービスを使い決済をおこなっている。BoxToYouとしての手数料は、出品者の設定した値段の10%だ。

リリース直後には7人の出品者が登録されており、今後オーナー申請を受け付けながら出品者を増やしていく。また、個人のみならず企業とのOEM提携によるプラットフォーム提供もおこなう。すでに、いくつかのスタートアップや企業との話が進んでおり、出品者を増やし、サービスとしてより使いやすいように改善していく。

定期販売サービス協議会の設置で健全な定期販売市場の活性化をはかる

また、Grow!一ツ木氏はBox To Youを踏まえた数社による「日本定期販売サービス協議会(JSCA : Japan Subscription Commerce Association )」の設置をおこない、設置日の8月20日には関係者を集めたリリース発表イベントもおこなった。

イベントは、秋田の農家支援のプラットフォーム「トラ男 一家」の武田氏や、日本酒の定期購入サービス「SAKELIFE」の生駒氏、厳選したキュレーターによる洋服やコーヒー豆などのライフアイテムの定期販売をおこなう「HATCH」の三浦氏、そして「Box To You」といった国内の定期販売サービスをおこなっているスタートアップによるプレゼン、そして4社も参加企業として名を連ねているJSCAのリリースプレゼンをおこなった。

JSCA会長にGrow!の一ツ木氏、副会長にSAKELIFEを提供する有限会社油忠の生駒氏、HATCHを提供するlap&co,Inc.の三浦氏が就任している。

「今年にかけて、国内だけでも10社近いスタートアップが定期販売サービスをリリースした。取り扱う商品も、嗜好品からファッション、ときに古物商など様々な分野を横断したサービスが誕生していくるだろう。そうしたときに、特定の免許や資格、法的な問題や関税の取り扱いなどについての知識やノウハウをシェアし、業界全体をポジティブな方向にしていく必要性がある。フラッシュマーケやコンプガチャ騒動など、問題発生してから対応するのではなく、盛り上がりがでてくるときだからこそ、企業同士が手を組み、連携していくことは、互いにとってメリットになる」。

JSCA発足の理由について、一ツ木氏は語った。

業界としての健全化やポジティブなイメージを作ることは、サービス提供者だけではなくそのサービスをうけるユーザやファンにとっても意味がある。日本の多くの定期販売サービスは、ソーシャルメディアなどを使い、ユーザとコミュニケーションをとりながらユーザとの顔の見える関係を築くサービスや、クリエーターなどによってキュレーションされた良質な商品や嗜好品などを届けるサービスに注目が浴びている。そのため、一度サービスとしてのネガティブな風潮が広まることは、業界としてのサービスの信頼を失うことにつながる。

定期販売という市場を、共に手を組み業界全体としての方向性や守るべきルールなどを作成し、相互に高め合うことで質の高いサービスをユーザに届けることで業界全体も成長する。企業側、ユーザ側を双方を意識できているからこそ、こうして早期に業界団体設立へと動きだせたのだろう。

Grow!そしてBoxToYouによってクリエーターとファンとのよりよい関係を築いていく

クリエーターとファンとのコミュニティサービスGrow!、そして、定期販売のプラットフォームBox To You。一見、同じようなサービスにも捉えかねないこの2つについて、筆者は、一ツ木氏にどうサービスとして分けているのか質問した。

「そこは明確に分けています。Grow!は電子コンテンツを通じたコミュニティ、そしてBox To Youはクリエーターによってキュレーションされた商品、つまりモノを届けることです。クリエーターと言っても様々な人がいます。情報を届けたり写真や動画を提供できる人もいれば、自分の独自の視点や目利きなどによって編集されたモノや商品を提供できる人もいる。そうした、様々なクリエーターのタイプに対応するためにGrow!とBox To Youは誕生しました」。

つまり、Grow!はクリエーターとファンとでコミュニケーションしながら情報のやりとりをおこなうメディア的存在に、そして、BoxToYouは出品者とユーザとの間に、顔の見える関係の中で商品を届け、ユーザとコミュニケーションしていく”顔の見えるeコマース”という区分けだ。

こうしたGrow!の一新、そしてBoxToYouの誕生の裏には、起業してから変わらない思いがそこにはある。

「ソーシャルネットワークの発展にともない、個人がメディアとして発信力や影響力をもてる時代になってきた。これは今までの時代にはなかった時代の変化がおきている。もちろん、大きく売るためには従来と同じような広告などの方法ととらないといけないと思う。しかし、小さくても個人の思いや尖った発信ができ、そしてそれに対する熱狂的なファンができやすくなったのは確かです。そうした人たちの自己表現の場を提供しつつ、しっかりと継続できるためのマネタイズの方法を提案することによって、ファンとの関係性を良い方向への築いていくことがGrow!がもつ変わらない理念です」。

良いコンテンツを世界に発信すると同時に、そうした良質なコンテンツを継続的に発信していけるための支援のプラットフォームをつくる。その形として、Grow!、BoxToYouが誕生した。最近では、Gumroadなどの登場などによって手軽にそして個人が様々な方法でマネタイズができるサービスも登場している。ソーシャルメディアの発展と同時に、こうした良いサービスや良質なコンテンツをだす人が世界に注目を浴びやすい時代となり、これまでとは違ったクリエーターのあり方がでてくるだろう。

そうした時代の流れの中で、Grow!はいかにクリエーターが活きる環境を作るか、ということを模索している。

BoxToYouも、出品者と定期的なイベントをおこなうなどして販売に対するノウハウの共有など、あくまで出品者であるクリエーターへの支援の体制を整えていく。ユーザとの対話だけでなく、クリエーターへの支援を重視しているGrow!だからこその動きと言える。

いままでになかったプラットフォームをつくり、そこから成功事例と呼べるような素晴らしいクリエーターをどう誕生させるか。そのためのプラットフォーマーとして今後のGrow!は事業戦略を練っている。今回のリニューアル、そして新サービスのリリースはそうしたGrow!の今後の新しいプラットフォーム戦略の大きな出来事になるかもしれない。

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