モブキャストがオンラインゲーム開発のエンタークルーズを株式交換で完全子会社化ーー約6億円規模

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2013年最初の話題もやはり「ゲーム」だった。

ソーシャルゲームを展開するモブキャストは1月7日、オンラインゲーム開発を手がけるエンタークルーズとの間で株式交換による完全子会社化の契約締結を発表した。(リンク先はPDF)1月30日開催予定のエンタークルーズ臨時株主総会の承認を経て2月1日より効力を発生するとしている。

株式交換の内容については、エンタークルーズの普通株式1株に対してモブキャスト11.88株、同じくA主優先株式1株に対して41.72株を割当交換するとし、これによって279,404株を新たに新株発行することとなる。1月4日時点での株価で約6億円規模となる。

エンタークルーズは2009年9月に創業。リリースによると現在の資本金は1億6800万円(資本準備金を含めると2億5800万円)で、日本、韓国とインドネシアにアジア拠点を構える。

自社プラットフォーム「エンタークルーズ」上で三国志マスターズやブラウザ銀河大戦など数タイトルを運営。国内の会員数は30万人で、特にアジア圏の展開に力をいれており、韓国で開始したサービスは開始後半年で17万人に成長しているという。また、2012年12月にはGooglePlayに対応したスマートフォン向けのタイトルも発表している。

なお、エンタークルーズの筆頭株主はB Dash Fund 1号投資事業有限責任組合となっており、関係者への取材によると「同組合のGPであるB Dash Venturesの渡辺洋行氏が事業の立ち上げ時から支援してきた関係」にあるそうだ。また、エンタークルーズの50名ほどの社員は7割が韓国、中国、インドネシア、英国、カナダなど外国人で構成されているのだという。

一方のモブキャストは昨年の2012年6月に東証マザーズへの上場を実施したモバイルゲームプラットフォームだ。モバプロなどのスポーツ系タイトルに力を入れており、その名前をテレビCMで認知している人も多いかもしれない。

2012年度第三四半期の決算資料によると10月末時点のモブキャストユーザー数は270万人、売上高は2011年の約20億円に対して、2012年の第三四半期時点で約35億円となっている。

売上で1000億円ラインを超えているGREE、Mobageという二大プラットフォームにはまだ及ばないものの、昨年やはり上場を果たした位置系プラットフォームのコロプラ同様、モバイルゲーム市場でその次を狙うプレーヤーとして存在感を示しつつある。

さて、今回の買収の狙いはどこにあるのだろうか。

モブキャストは第三四半期決算発表時に海外展開に言及していたので、やはりポイントはそこにありそうだ。前出の関係者によると、海外進出の第一弾が韓国になるのだという。エンタークルーズが韓国で躍進していることを考えると自然な成り行きといえるだろう。

既に韓国で開発体制と実績のあるエンタークルーズを取り込むことで、韓国でのビジネス展開を一気に押し進めるそうだ。モブキャストはスポーツに特化した自社ゲームの海外展開に自信を持っているそうで、「日本と同規模の売上レベルまで韓国でのビジネスを拡大させたい」(関係者談)と今回の買収に大きな期待を寄せているという。

モブキャストが推し進めるスポーツ系のタイトルがアジア圏でどのように受け入れられるのか。新たなゲームプラットフォーム戦争の始まりとなるのだろうか。

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