中国南部の広東省で行われている性犯罪者の裁判で、犯人が未成年の少年を誘い出す方法として、大人気のメッセージアプリWeChatを使ったことがほのめかされた。被告人・李軍(同省民政局の元職員)は、WeChat(微信、中国語のアプリ名はWeixin)を使って近所に住む160人の少年(13才以下の少年もいた)と知り合い、「仲良く」したと言われている。
今日のChina Dailyによると、LiはWeChatにある位置情報機能である「Drift Bottle(写真右)」や「Look Around」を利用し、近くに住む他人 —特に少年— を見つけていた。裁判では、Liがどのようにして知り合った少年のうち、少なくとも3人に性行為をするよう説得したのかが明らかとなった。この男に有罪が言い渡されれば「最大5年」の禁固刑が課せられる。
この裁判を受け、China Dailyはそのようなスマートフォンアプリの危険性を呼びかけている。が、私達は今年すでに同じようなことを中国で耳にしている。犯罪者は、位置情報追跡機能のあるそれらのソーシャルアプリを使って近くのターゲットを見つけ、窃盗や詐欺、もしくは違法のサービスを売り込もうとすることができる。同紙は次のように言い添えている。
「浙江省杭州の警察は、ハイテクガジェットに備わったそのようなアプリの人気に伴って、窃盗と性犯罪の事件が増えていると述べている。(中略)杭州警察は昨年の12月以降、Weixinを使った窃盗・詐欺事件が約20件起きていると語った。北京警察は、今は具体的なデータがないものの、同様の事件が増えていることを認めている。」
WeChatの「Drift Bottle」と「Look Around」は初期設定でオフになっている機能で、知らない人と出会ったり、メッセージを受け取るためには、ユーザがその機能をオンにしなければならない。この2つの機能はともにプラグイン(ブラウザのアドオンのようなもの)なので、ユーザ次第でアンインストールすることができる。
ほとんどの人がWeChatと、LineやKakao Talkなどのその他のアプリを利用して、友達や家族と話をしている。WeChatのメーカーTencent(騰訊、HKG:0700)は、モバイル専用の同アプリのユーザ数が来月に3億人を超えると予測している。
どんな方法であれ、他人と接触することにはもちろん危険が潜んでいる。だから、これらのメッセージアプリのほとんどは安全だ(Momo=陌陌などの出会い系アプリでも)。セーフガードを構築するのはデベロッパー次第だが、ユーザは用心して常識に従うように。そして、親は自分の子供がどんなアプリやサービスを使っているかは知っておくべきだろう。
Liの裁判はまだ判決には至っていない。
【via Tech in Asia】 @TechinAsia
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