年が明けてまだ3週目に突入したばかりだが(原文掲載日1月24日)、インドネシアのインターネット・シーンをわくわくさせることには事欠かない。資金調達から提携まで、発表の内容はさまざまだ。インドネシアのインターネット業界にとって、2013年は面白い年になるに違いない。
2010年から2011年は、多くの人がネット企業を作り、面白いプロダクトを開発し、出資してくれる投資家を求めていて、ネット業界はブームだったと言ってよいだろう。しかし2012年は、財務的に立ち行かなくなった企業が平手打ちを食らう年となった。
現実を目の当たりにさせられたわけだ。
2013年はどうなるだろう。どのようなビジネスが面白いのだろう。DailySocial は MindTalk の共同創業者 Danny Wirianto 氏にインタビューする機会を得た。彼は、今年注意を払うべき7つのビジネス分野について話してくれた。
物流
特にインドネシアでは、今年Eコマースが投資家に最も歓迎されるビジネス成長をもたらすと考えられている。しかし、Danny 氏はEコマースの違った側面にチャンスを見出している。物流だ。インドネシアの都市部では、お金はあっても時間がないという人々のトレンドが多く生まれている。人々は多忙になり仕事が増えたことで時間が無くなり、その忙しいスケジュールにさらに輪をかけて、都市部の渋滞に悩まされている。
比較的順調な経済成長に助けられ、インドネシア人の多く、特に、中間層は収入が増えている。都市部では、個人向けの自動車や金融商品(保険、投資、貯金など)の売上が増加しているとのデータもある。
こういった中間層は、少しくらい上乗せ料金を払っても時間を節約したいと考えるので、物流サービスへの需要を生み出す。Eコマースサイトは、品物を配達するという体験を最良のものにするためにも、物流サービスを活用することができるだろう。
モバイル・コマース
インドネシアのモバイル・トレンドは、ここ数年顕著なものになっている。毎年急速な成長を続ける、インドネシアのモバイル市場を獲得すべく、数十社の外国企業がインドネシアに拠点を置くようになった。Wirianto 氏は、モバイルも今年ポジティブな状態を保つトレンドの一つだろうと予想する。成長率は既に高い状態にあるが、インドネシア人の根強いモバイル文化に助けられて、さらなる成長を遂げることができるだろうと、彼は考えている。
このトレンドは、単なるモバイルコンテンツの消費から、ショッピングなどの他の習慣へと変化していくだろう。すばらしいモバイル・ショッピング経験を構築できれば、信じられないほどユーザを獲得できるだろう。
オンライン動画
WIrianto 氏が予想するもう一つのトレンドは、エンターテイメントや情報に対するインドネシア人のニーズだ。この種のコンテンツは文字で提供できるものではなく、動画にこそ成功できる余地がある。
「教育情報などのコンテンツ配信は、インドネシアでは大変役に立つでしょう。」
既に数社のインドネシアの会社がこのアイデアの実現を試みているが、まだ目立ったユーザ獲得には至っていない。
デジタル・ミュージック
Apple は、ただ理由もなくインドネシアに進出して iTunes Store をローンチしたのではなく、合法的な音楽コンテンツの流通がまだ現実的ではなく、市場ニーズがあると判断したためだ。Wirianto 氏は、Kincir、Importmusic、Langit Musik、Melon などのインドネシア企業が、強い基盤と大きな市場を創り出すと信じている。しかし問題は、彼らがどうすれば、それを実現できるかということだ。
Wirianto 氏は、Apple や Spotify のような国際プレーヤーが激しい競争を繰り広げる市場は、今後、ローカルな企業との結びつきを強めていくものと考えている。
デジタル・カスタマーサービス
インドネシア人の間では、地元デジタル文化とソーシャルメディアがその影響力を強めており、デジタル・サービスやソーシャルメディアに特化したカスタマーサービスに、大きなビジネスチャンスがあると考えている。トレンドを見る限り、消費者は今後、コールセンターに電話するのではなく、Twitter や Facebook などのオンラインサービスを通じて、企業に連絡をとるようになるだろう。
「モバイルキャリアやEコマースなど多くの企業は、このような分野から大きな価値を得ることになるでしょう。」
リアルタイム
渋滞の問題ととインドネシア人のネット文化に話を戻すと、明らかにリアルタイム情報には大きな需要がある。Waze、Lewatmana、Infoll のような、リアルタイムで交通情報を伝えるサービスは、消費者にとって大変価値があるものだ。
鉄道や航空機に関する同様のサービス、銀行のサービスなども、リアルタイムでなければならない。Wirianto 氏は、再びインドネシア人が時間不足に悩んでいることを上げ、彼らは時間に価値を見出し、より最新の情報を手にしていたいと常に考えていると語った。
興味ベースのサービス
インドネシアで急速に成長している企業を見てみると、現在のインドネシアのコンテンツは、ローカル適合していないもので溢れている、と Wirianto 氏は語る。そのため、適合性や興味をベースにコンテンツを整理してくれるサービスが、インドネシアでは人気を得る可能性がある。
Wirianto 氏は現在、特にこの分野のニーズに集中して MindTalk というスタートアップを経営している。Path、KakakoTalk、WhatsApp、BlackBerry Messenger のようなサービスは、既に整理された情報にリーチするための需要から始まったサービスなので、MindTalk とは一線を画した存在である。
<情報開示> MindTalk、Kincir、DailySocial は、同じ企業グループ傘下に所属している。
【via DailySocial】 @DailySocial
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