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SXSW 2019番外編: 日本のフードテックは、これからの食文化伝承のカギとなるか?【ゲスト寄稿】

本稿は、岡本侑子氏による寄稿。同氏は宮城県石巻市生まれ。高校では建築、大学ではプロダクトデザインを専攻し、新卒から広告業界に身を置いている。 現在は、広告会社に在籍する一方、他社でもフリーランスとして仕事も受けているパラレルワーカーでもある。 最近は中国や、他国のカンファレンス情報を複数のメディアにて発信もしている。 SXSW(サウスバイサウスウエスト)2019 期間中の3月13日(アメリカ中部標…

本稿は、岡本侑子氏による寄稿。同氏は宮城県石巻市生まれ。高校では建築、大学ではプロダクトデザインを専攻し、新卒から広告業界に身を置いている。

現在は、広告会社に在籍する一方、他社でもフリーランスとして仕事も受けているパラレルワーカーでもある。

最近は中国や、他国のカンファレンス情報を複数のメディアにて発信もしている。


SXSW(サウスバイサウスウエスト)2019 期間中の3月13日(アメリカ中部標準時夏時間)、非公式イベントとして「The Kitchen Hacker’s Guide to the Food Galaxy in SXSW」がアメリカ・オースティン郊外で開催された。

主催したのは、ウマミラボ、立命館大学、シェフの杉浦仁志氏、東洋ガラス。イベントには日本人を含む約70名が参加した。

立命館大学が進める「江戸未来フードシステムデザインラボ」

今回特にフードテックを活用で目立ったのは、立命館大学 食マネジメント学部で研究を行なっている「江戸未来フードシステムデザインラボ」だ。

立命館大学は、食科学の深い知見を培うとともに、高度なマネジメント能力と実践的な行動力をそなえた、食の人類的な課題解決に寄与できる人材育成を目指し、18年4月に食マネジメント学部を創設した。野中朋美さん(食マネジメント学部 准教授)、鎌谷かおるさん(食マネジメント学部 准教授)の研究室プロジェクトとして、江戸フードサステイナビリティの研究を行なっている。

なぜ京都や滋賀に拠点を構える立命館大学が、〝江戸〟未来フードサスティナビリティの研究をスタートさせたのか。

江戸には、「都市」としての江戸、「時代」としての江戸の2つの意味を含んでいる。

江戸は、江戸時代の全国各地の流通、文化、技術、情報が、交差しあいながら完成したもの。 そして、その文脈は、江戸時代の大規模輸送や、樽の開発、海路や加工技術の発展によって成長した日本酒にあてはまることから、日本酒をテーマに選んでいる。

鎌谷かおるさんによると、江戸時代に入り、本格的に大規模な造酒が、各地で可能になり、特に摂津国の伊丹や池田で作られた酒は、美味しくて有名になった。江戸時代半ばになると、摂津国の灘の酒造業が多く出回るようになった。そして、灘の酒は、日本の人々に知られるところとなり、灘を含めた摂津国で製造された酒は、江戸の町の酒の消費量の7割を担っていたとされている。

<参考文献>

日本酒100%ゼリーを使った料理

そして、今回イベント内でシェフを担当したのは杉浦仁志シェフ。

2017年5月にミラノで開催された The Vegetarian Chance で世界中から集まった多数のシェフの中からトップ8に選出されるなどの経歴を持つ。

そのシェフが今回の提供料理で使用していたのは、日本酒100%ゼリーである。

現状国内などで販売されている日本酒ゼリーは、食べやすくするために清酒の他に砂糖や果汁が含まれている。しかし、このゼリーは粉末の寒天と日本酒のみから作られているため、事実上の〝100%日本酒ゼリー〟なのである。

ユキオーの技術によって、100%の日本酒ゼリーを作ることに成功している。

技術内容の詳細は非公開。現状はまだプロトタイプであるため、販売はしていない。

現在、どの国でも旅行の際の土産として酒類の国外持ち出し量は制限されていて、もちろん日本酒も制限対象となる。他国での日本食ブームに加えて、日本酒は日本料理と切っては切れない関係もあるため、もっと多くの人に日本酒を楽しんでほしいところだが、どうしても法令による制限が絡んでしまう。

そんな課題の打開策の一つとして、ゼリーによる持ち出しは大きな可能性を秘めている。

日本酒100%だからこそ、料理などにも使うことができるし、ゼリーの寒天成分は煮出せば無くなるので、再び日本酒に戻す(完全な清酒の状態ではなく、ゼリー状では無くなるという意味)ことも可能だ。それは新たな食感を作り出し、料理の幅が広がる可能性もあると杉浦シェフは話した。

イベントでは、立命館大学 食マネジメント学部の長谷川千尋さん、黒坂ヒカルさん、立石綾さんがプレゼンテーションを行った他、ウマミラボの出汁出展、日本酒が振舞われていた。

ウマミラボは、出汁と日本酒を紹介

ウマミラボは、出汁を引く全ての機材を1つのスーツケースに収め、日本の伝統的な出汁の素材と現地の食材/調味料/お酒をブレンドすることでその土地ならではの「旨み」を発見する、移動式のポップアップ出汁ラボラトリー。発起人は望月重太朗さん(REDD)

ウマミラボは、5種類の異なる出汁を提供していた。
イベントでは18種類の全国各地の日本酒も振舞われた。
ウマミラボパートナーである山寺純さん。外国人にも大人気だった。

東洋ガラスの「Alchemist bar -taste is who you are-」

東洋ガラスが出展したこの作品は、味覚共有というもので、ドライフルーツやハーブ、スパイスなどを組み合わせて自分好みのお酒を作り、シェアするというもの。容器は、人のクリエイティビティとコミュニケーションを促進するものでありたい、という願いを込めて展示を行ったという。

東洋ガラスの「Alchemist bar -taste is who you are-」

SXSW 2019でもフードテックは重要なトピックになっており、センションカテゴリにフードが設けられているほどだった。

フードロスなどの分かりやすいソーシャルインパクトもフードテックのサービスとして注目を集めていくだろうが、自国の産業や文化をどのようにハックして多くの人に伝え、喜んでもらえるかという観点でのフードテックがあっても良いのかもしれない。

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SXSW 2019 Interactive現地レポート——落合陽一氏プロデュースの「New Japan Islands」がオープンなど

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本稿は、SXSW 2019(サウスバイサウスウエスト 2019)の取材の一部である。 SXSW Interactive がテキサス州オースティンで始まった。SXSW については、ここ数年連続して取り上げているので、詳細については省略するが、イベントと呼ぶには物足りない、街をあげた世界で最もクリエイティブな祭典の一つと言ってよいだろう。 SXSW Interactive のほぼ前半、ここまでで目に止…

本稿は、SXSW 2019(サウスバイサウスウエスト 2019)の取材の一部である。

SXSW Interactive がテキサス州オースティンで始まった。SXSW については、ここ数年連続して取り上げているので、詳細については省略するが、イベントと呼ぶには物足りない、街をあげた世界で最もクリエイティブな祭典の一つと言ってよいだろう。

SXSW Interactive のほぼ前半、ここまでで目に止まった、いくつかのハイライトをランダムに書いてみる。

The New Japan Islands(NJI)

経済産業省の主催、ソフトバンクらの協賛、メディアアーティストの落合陽一氏プロデュースで開設された「The New Japan Islands(NJI)」。その名の通り、「デジタル発酵する風景」をコンセプトに近未来の日本を、食やデジタル文化、サブカルチャーなどの分野にスポットライトを当て表現している。

NJI 開設初日となった10日には、落合氏のほか、経済産業省の宇留賀敬一氏ら関係者が神式で NJI の成功を祈った。この施設では、日本酒メーカー、印刷会社有志、福井県の永平寺などがプロダクトや宗教・文化などを紹介しているほか、夜には J-POP を扱ったディスコイベントやカラオケ大会が行われる。12日には、東北大震災犠牲者を忌って黙祷が捧げられた。

LG

モルト、ホップ、イースト菌、フレイバーなどをカートリッジ投入するだけで、好みのビールを自宅で醸造できる「LG HomeBrew」。マシンがカートリッジ表面に印刷された QR コードを読み取り、発行・熟成・加熱・冷却などを最適化されたタイミングで自動的に行ってくれる。

せっかくなのでこのマシンで醸造されたビールを味わってみたかったのだが、実際に来訪者に提供されたのはヒューガルテンだった。このほか、アイスクリームのホームメイドマシン、スワロフスキーとコラボして制作されたモバイルデバイスなどが展示されていたが、いずれもコンセプトモデルということで現時点では販売の予定は無い模様。

Todai to Texas(TTT)

例年、東大から学生チームを SXSW に派遣する「Today to Texas(TTT)」。TTT が出展する日本パビリオン周辺では、世界各国のスタートアップブースがしのぎを削っているが、特にユニークさと見た目の奇抜さで TTT のチームは群を抜いていたように思う。

JellySurf は、加速度センサーと LED を内蔵したサーフボードだ。透明なボードに LED が埋め込まれており、ユーザの動きに同期してイルミネーションが彩りを見せる。サーフィンの上達を意図して制作されており、ユーザは光の動きを狙って身体の重心を変えるなどしトレーニングができるほか、集積されたデータによって、さらに良いトレーニングプラグラムを作り出せる可能性もある。

Mantra は、マンガをスキャンするだけで翻訳版を作り出せるプラットフォーム。すでに原語のほか、複数原語で出版済のマンガを使って教師データとして用い AI に学習させている。回を重ねるごとに、より的確な翻訳結果が導き出され、吹き出しには翻訳されたセリフが入った状態で印刷される。翻訳版が出ていないマンガタイトルの翻訳、翻訳出版までに時間を要する問題の解決を狙う。

金属棒にドローンが4つ備えられた「浮遊棒」は、バーチャルリアリティ(VR)と捕まっている棒の重さに変化をつけることで、ユーザがあたかも宙を舞っているかのような体験を仮想的にもたらすことができるデバイスだ。

電通

昨年の電通の出展からは「Sushi Teleportation」を取り上げたが、それをもう一歩進めた形の未来型寿司レストランとして「Sushi Singularity」が出展されていた。オンラインで CGM 的に編集・想像された新たな寿司の誕生、ヘルスデータに基づいた栄養素の個人最適化、フード製造 3D プリンタを使った距離や場所にとらわれない寿司体験の実現が目標。2020年には Sushi Singularity の開店を目指している。

女性の乳房の形を模した IoT デバイス「Father Nursing Assistant」は、母親がいない時にも、父親が代わって、赤ちゃんの授乳や寝かしつけができるようにすることを狙ったものだ。男性が胸に装着することを想定しており、一方の胸には乳首が、もう一方の胸にはミルクタンクが備わっている。アプリと連携し授乳や入眠タイミングを検知、視覚的に赤ちゃんの状態を把握できる。

新たな移動手段

SXSW の間では、Uber、Lyft、Ride Austin といった配車アプリが多用されているのは言うまでもなく、今年から導入されて注目を集めるのは e スクーターだ。電動スクーター専業の Lime はもとより、Uber が運営する「Jump」、Lyft は昨年 Motivate を買収して誕生させた「Lyft Bikes」などを市内中心部で展開。

オースティン市内は SXSW 期間中、交通規制が敷かれていてクルマは入域できないのに加え、会場から会場(Austin Convention Center や付近のホテル)の移動は、クルマを使うには近いけど歩くには少し遠いかもしれないという、まさに「帯に短く襷に長い」状態。このラストマイルアクセスを埋めるのが電動スクーターというわけだ。これは興味深い試みである。

<関連記事>

第一弾はここまで。追って、セッションやピッチコンペティション、サイドイベントの様子を続編をお伝えする。

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懸賞財団XPRIZEと全日空、賞金総額1,000万米ドルを懸けたアバター開発コンペティションを発表——SXSWでは、発表を記念しクラブイベントを開催

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国際宇宙開発レース「Google Lunar XPRIZE」の運営などで知られる懸賞財団 XPRIZE は12日(アメリカ東部夏時間)、テキサス州オースティンで開催されている SXSW(サウスバイサウスウエスト)で、全日空との提携により4年間におよぶグローバル・コンペティション「ANA Avatar XPRIZE」を開催すると発表した。 このプログラムで応募者は、統合ロボットデバイスを使って遠隔で…

国際宇宙開発レース「Google Lunar XPRIZE」の運営などで知られる懸賞財団 XPRIZE は12日(アメリカ東部夏時間)、テキサス州オースティンで開催されている SXSW(サウスバイサウスウエスト)で、全日空との提携により4年間におよぶグローバル・コンペティション「ANA Avatar XPRIZE」を開催すると発表した

このプログラムで応募者は、統合ロボットデバイスを使って遠隔で視覚・聴覚・触覚を通じて周りの環境や人々と応対ができる多目的アバターを開発することが求められる。応募は同日開始され、締切は今年の10月31日まで。優勝作品には800万米ドルが贈呈され、それに至るまでに中間賞100万米ドルが2つ用意されている。

全日空の親会社 ANAホールディングス CEO の片野坂真哉氏は、声明で次のようにコメントした。

グローバルな長距離交通機関の唯一のプロバイダーとして、航空業界はグローバルな関係、ビジネス、外交、相互理解の触媒として長い間役立ってきました。このサービスを世界中に提供する私たちの能力には、物理的なインフラや現在の技術によって、まだ制限があります。

「ANA Avatar XPRIZE」を立ち上げることにより、全日空は残る障壁を打ち破り、かつてないほど物理的なつながり、リソースの共有、より明るい未来のためのコラボレーションの時代をもたらしたいと考えています。

この日、SXSW が開かれるオースティン市内では、目抜き通りにあるクラブラウンジ「Speakeasy」を借り切っての記念イベント「FFWD」が開催された。SXSW の夜では、SXSW の生い立ちもあって比較的アコースティックよりの音楽イベントが多い中、ANA Avatar XPRIZE のイベントは最も未来感あふれるイベントに仕上がっていたかもしれない。

ANA Avar XPRIZE を記念するイベント「FFWD」は、オースティン市内のクラブラウンジ「Speakeasy」で開催された。
Image credit: Masaru Ikeda
航空会社らしく、イベント入場者全員にはプラスティック製の搭乗券が配られた。行き先は「未来」となっている。
Image credit: Masaru Ikeda
スナック菓子を配るコンパニオンも、この日はキャビンアテンダント仕様。
Image credit: Masaru Ikeda
ラウンジ2階には、ボウリングレーンが2つ。ブラックライトで照らされていて、面白い演出。
Image credit: Masaru Ikeda
フロアで思い思いに談笑したり、踊ったりする人々。日系企業ということもあり、日本人入場者も多かった。
Image credit: Masaru Ikeda
筆者はルーフトップでジントニックをいただき、早々に失礼。ごちそうさまでした。
Image credit: Masaru Ikeda
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SXSW 2018 Interactive現地レポート——ドイツのプレゼンス強し、イーロン・マスク兄弟が登場、井口尊仁氏が新製品「Transparent」を披露

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 本稿は、SXSW 2018(サウスバイサウスウエスト 2018)の取材の一部である。 SXSW Interactive がテキサス州オースティンで始まった。この街に来るのは、もはや帰って来た感さえある(そして、イベント半ばでこの街を後にするときには、後ろ髪を引かれる思いを禁じ得ない)。バンコクで別の仕事があったので、現地入りできたのは SXSW Interactive の2日目だったのだが、こ…

本稿は、SXSW 2018(サウスバイサウスウエスト 2018)の取材の一部である。

SXSW Interactive がテキサス州オースティンで始まった。この街に来るのは、もはや帰って来た感さえある(そして、イベント半ばでこの街を後にするときには、後ろ髪を引かれる思いを禁じ得ない)。バンコクで別の仕事があったので、現地入りできたのは SXSW Interactive の2日目だったのだが、これまでに見聞きできた内容の一部をまとめてみた(文中の日付はすべて現地時間)。

Panasonic House

Sylphid

目抜き通り 6th St. にあるバー Parkside を例年借り切って開かれる Panasonic House では、同社の新規事業「Game Changer Catapult」から、歯に関する製品がいくつか展示されていた。水と二酸化炭素を使った歯をホワイトニングできる「Sylphid」という歯ブラシは、好みのフレーバーのついたカートリッジをセットして使う。化学物質を使っていないので生体にかかる負担が無い。機能としては即効性があることも確認できているが、商品化はまだ少し先のことになりそう。

Sylphid

こちらは同じく、Panasonic が開発しているペットのための IoT 歯ブラシ「Pecoral」。将来的には、Pecoralや他のペット用 IoT デバイスから集めたライフログデータを活用して、消耗品の自動配達、ペット保険の紹介、しつけ教室の紹介など、飼い主やペットに最適な商品やサービスを提供していく予定だという。

Pecoral

Ofo(小黄車)のソーシャルバイクシェアリング?

Ofo(小黄車)の〝動くバー〟

昨年アメリカに進出したバイクシェアリングの Ofo(小黄車)は、移動式のバーを街中で走らせていた。各席を見ると、ペダルがついているがわかる。どうやらペダルを漕ぐと発電され、皆の力でこの車を動かすことができるらしい。Ofo ではこの移動方法をソーシャルバイクシェアリングと呼んでいた。プロモーションとしては最高だが、実用性はよくわからない。

ドイツのプレゼンス

トレードショーに出展されたドイツパビリオン

Austin Convention Center の中で開催されているトレードショーで、今回最も目立っている国はドイツではないだろうか。スタートアップのみならず、ドイツの中小企業のブースが数多くひしめき合う。ダウンタウンにある BARRACUDA というバーは、イベント期間中「GERMAN HAUS」と名を変え、連日朝から夜までドイツのピッチイベントやトークセッションが開催されている。

GERMAN HAUS @ BARRACUDA。ドイツのイベント会場だが、振舞われるのは地元テキサスのビール「ローンスター」

朝の9時台から無料でビールが振舞われているのは、オースティン広しと言えど、ここだけではないだろうか。GERMAN HAUS の最終日には、ドイツではなくオーストリアのスタートアップや政府の企業支援組織 Advantage Austria がイベントを広く模様。もはや、ドイツがオーストリアを侵食している感じ。

日本パビリオン

日本パビリオン

日本のブースも見てみよう。日本パビリオンで、最も目立つ場所にブースを確保するのは電通である。今年は、4つほどのコンセプトプロダクトが展示されていたが、中でも目立っていたのは「Sushi Teleportation」と「Lunavity」だ。

Sushi Teleportation

Sushi Teleportation は食べ物の構成要素を分析し、それをデータベース化し、そのデータを送信することで、場所を問わずに食べたいものが食べられるというコンセプトだ。フードレプリケーターが実現すれば、名店の寿司屋の板前が握った寿司を、科学的に再現することは可能になる。TEX-MEX 料理が幅を利かせるオースティンで、ミシュランの五つ星の寿司屋の寿司が食べられる日も近いかもしれない。

Lunavity

Lunavity は、重力を無効化する(Luna という接頭語がついているところから想像すると、地球の6分の1の重力である月の状態を再現しようということかもしれない)パワードスーツだ。コンピュータ制御の16個のローターによって、驚くほどの跳躍力を手に入れられるというもの。こちらもコンセプト展示なので、実際に商品化された製品を試せるのは、まだ先のことになりそう。

AI SILK

シルクそのものを染色の技法で導電性繊維にする「AI SILK」。着衣そのものがセンサーになるので、医療用電極をつけたときの不快感や炎症の問題が解消できる。そのまま洗濯することもでき、洗濯を繰り返しても機能性がほとんど劣化しないのが特徴。リハビリやエクササイズにおけるバイタルデータ取得などでの用途が期待できる。東北大学工学研究科のバイオロボティクス分野からのスピンオフスタートアップだ。

DOKI DOKI の井口尊仁氏(右)と、Transparent の開発を支援する ISID アメリカの藤森一矢氏(左)

Doki Doki の井口尊仁氏は、SXSW にあわせて新プロダクト「Transparent」を出展した。Doki Doki はかねてから、音声をコミュニケーションの媒介として使う「Ball」を提供しているが、Ball が音声の入力側の表現方法であるとすれば、Transparent は音声の出力側の表現方法と考えればわかりやすいかも。コミュニケーションをする上では、音声でのやりとりが最もストレスがかからずラクだ(事実、こうして文章を書くのは大変で、忙しい物書きは口述筆記に頼ったりする)。

しかし、音声ではディテールやリファレンス情報を伝えることができない。メッセンジャーやメールでのやり取りでは、リファレンス情報として URL を付記することが常態化しつつある昨今、会話の中に同じようなエクスペリエンスを取り込もうというのが Transparent の試みだ。話している言葉を音声認識し、そのコンテキストに見合った情報を画像などのわかりやすい形で画面に表示されるもの。相手が言ったことがわからず、スマートフォンで調べ物をする必要性はへらせられるかもしれない。現在はプロトタイプだが、数ヶ月後にはβ版を試すことができそうだ。

SXSW Accelerator

SXSW ACCELERATOR 表彰式

11日(日)の夜には、パネルセッションなどと並行して、バーティカル別に予選が開かれていた SXSW Accelerator のデモデイと優勝者の表彰が開かれた。イーサネット発明者にして、現在テキサス大学オースティン校でイノベーション分野の教鞭をとる Bob Metcalfe 氏と、彼の妻で、自身も同大学同校で食品分野のイノベーションイニシアティブ「Food+City」のディレクターを務める Robyn Metcalfe 氏がプレゼンターに招かれた。

AR & VR、Health & Wearable、Payment & FinTech、Social & Culture、Enterprise & Smart Data、Entertainment & Content、Hyper-Connected Communities、Security & Privacy、Sports & Performance、Transportation の10部門について、それぞれの優勝者、また、ベストブートストラップ、ベストショー、スピードピッチの優勝者に、それぞれ賞金4,000ドルが送られた。部門別優勝者の詳細については、このページで閲覧することができる。

Elon Musk & Kimbal Musk

左から:Elon Musk、Kimbal Musk
Image credit: SXSW Media

Elon Musk は、10日(土)に開かれたパネルセッションに登壇したが、急遽、11日(日)に参加者の質問に答えるカジュアルなトークセッションが組まれ、お昼過ぎの開演にも関わらず、参加者は朝早くからチケット待ちの長い列を作った。

SpaceX、Tesla、Neuralink など複数の企業の業務の優先順位はどのようにつけているのか、日常は何時間くらい寝ているのか、火星に行けたら何がしたいか、など多様な質問が寄せられた。一連の内容については録画が公開されているので、そちらを参照してほしい。

セッションの最後には、Elon Musk の弟で自身も起業家の Kimbal Musk が登場。映画 Three Amigos(邦題:サボテン・ブラザーズ)の挿入歌 My Little Buttercup を Kimbal が演奏、観客が歌をうたい、それにあわせて Elon が踊るという一幕で会場は大きな拍手と歓声に包まれた。

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SXSW 2017 Interactive現地レポート〜Cyber Teleportation Tokyoなど

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本稿は、SXSW 2017(サウスバイサウスウエスト 2017)の取材の一部である。 10日間にわたって続いた宴もようやく終了。年に一度の熱狂に湧いたオースティンにも再び静寂が戻る。SXSW Interactive も3日目を過ぎたあたりから、街には次の SXSW Music に参加する音楽関係者が増えてきて面白い。 この時期に町の随所で繰り広げられるミートアップに出向いてみると、アーティストやミ…

オースティンの街を歩いていた goPuff 3人娘。青いヘアーウィグが一際鮮やかだったので、写真を撮らせてもらった。goPuff は、モバイルアプリで欲しいものをお願いすると、30分以内に届けてくれるオンデマンドサービス。全米17都市でサービス展開中とのこと。

本稿は、SXSW 2017(サウスバイサウスウエスト 2017)の取材の一部である。

10日間にわたって続いた宴もようやく終了。年に一度の熱狂に湧いたオースティンにも再び静寂が戻る。SXSW Interactive も3日目を過ぎたあたりから、街には次の SXSW Music に参加する音楽関係者が増えてきて面白い。

この時期に町の随所で繰り広げられるミートアップに出向いてみると、アーティストやミュージシャンはもちろん、世界中から集まったプロモーターやエージェントなどから、さまざまなことを教えてもらえる。スタートアップ業界に身を置くと、「革新的な差別化要素」とか「指数関数的な成長」みたいな用語をよく耳にするが、世界の音楽業界には、また違った形での進化や成長の苦悩があるようで、アメリカ南部の心地いい気候の中、オープンエアでビールを片手に彼らの吐露する言葉に耳を傾けるのも新鮮である。

さて、1日目のスナップショットの記事SXSW Interactive Innovation Awards の記事を上げてから、その後のアップデートを書いていなかったのでまとめてみた。

NTT の Japan Factory で深夜に開催された Cyber Teleportation Tokyo。通常、長距離を衛星回線やケーブル回線で接続するとレイテンシー(信号遅延)が発生するが、この日は、NTT が開発したイマーシブテレプレゼンス技術「Kirari!」と低遅延通信技術を使ってオースティンの Japan Factory と東京のスタジオを結び、オースティンにいる DJ starRo 氏の演奏にあわせて、東京で歌手やダンサーがパフォーマンスをし、その映像と音声をオースティンに戻して、あたかも Japan Factory の会場内にいるかのように再現するというデモンストレーションを行った。

会場のキャパシティで都合で50名しか入れず、遅い時間帯にもかかわらず多くの人々があふれた。別室に同時中継されたディスプレイの周りにも人だかりができ、参加者の関心の高さを伺い知ることができた。

コンベンションセンターだけでなく、街の随所に設けられた特設テントの中でもピッチが繰り広げられていた。アルゼンチン政府が開設した Argentina House ではアルゼンチンのスタートアップが切れ目なくピッチ。聴衆にはアルゼンチンワインが余すことなく振る舞われた。

Panasonic House では、パナソニックの家電領域を中心とした新規事業創出活動「Game Changer Catapult」のブースが展示、我々もよく日本で目にするランドロイドや Bento などが紹介されていた。

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SXSW Interactive Innovation Awards表彰式が開催——東大情報システム工学研究室発の次世代義足「BionicM」が学生部門賞を受賞

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本稿は、SXSW 2017(サウスバイサウスウエスト 2017)の取材の一部である。 14日(アメリカ現地時間)、テキサス州オースティン市内で SXSW Interactive Innovation Awards の表彰式が開催された。学生部門「Student Innovation」には、東京大学情報システム工学研究室から生まれた義足「BionicM」のチームが選ばれ、チームリーダーでメカニカルリ…

表彰を受ける BionicM のチーム

本稿は、SXSW 2017(サウスバイサウスウエスト 2017)の取材の一部である。

14日(アメリカ現地時間)、テキサス州オースティン市内で SXSW Interactive Innovation Awards の表彰式が開催された。学生部門「Student Innovation」には、東京大学情報システム工学研究室から生まれた義足「BionicM」のチームが選ばれ、チームリーダーでメカニカルリーダーの Xiaojun Sun(孫小軍)氏は、「技術の力を使って、身体障害者を含む人々のモビリティの問題を改善したい」と抱負を語り、会場からスタンディングオベーションを浴びた。

BionicM は、ロボットと人体を人の移動に融合させることを狙っている。Xiaojun 氏は骨肉腫のために9歳のときに右足を切断することになったが、義足は非常に高価であるため、彼が最初の義足を手に入れたのは、それから15年後になったとのこと。世界に1,000万人いる義足の潜在ユーザのうち、高価であったり機能が限定的であったりすることが理由で、実際に義足を利用できているのは40%程度の人々。チームでは、義足を必要とするすべての人々に高性能な義足を低価格で届けたいとしている。

SXSW Interactive Innovation Awards は今回で20回目を迎え、毎年、前年の1年間にわたり応募が受け付けられ、クリエイティビティ、フォルム、機能、エクスペリエンス全般の4つの条件に基づいて審査される。13のカテゴリのファイナリストには4大陸・13カ国から65チームが選ばれた。

各部門別の他の受賞チームはこちら。ファイナリストはこちら

また、SXSW の Hall of Fame & Special Honors(殿堂入り)は、テックニュースサイト「Recode」の共同設立者でエグゼクティブ・エディターの Kara Swisher 氏に贈られた。

Recode 共同設立者/エグゼクティブ・エディターの Kara Swisher 氏
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SXSW 2017 Interactive現地レポート〜Trade Showイベント、1日目のスナップショットから

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本稿は、SXSW 2017(サウスバイサウスウエスト 2017)の取材の一部である。 (日本時間3月15日6時更新:本稿初出時、8K:VR RIDE の展示社を AOI Pro. としましたが、正しくは NHK エンタープライズをはじめとする4社によるものでした。訂正してお詫びします。) オースティンで SXSW(サウスバイサウスウエスト)が始まった。イベント全体で約8万人、テックやスタートアップ…

本稿は、SXSW 2017(サウスバイサウスウエスト 2017)の取材の一部である。

日本時間3月15日6時更新:本稿初出時、8K:VR RIDE の展示社を AOI Pro. としましたが、正しくは NHK エンタープライズをはじめとする4社によるものでした。訂正してお詫びします。)

オースティンで SXSW(サウスバイサウスウエスト)が始まった。イベント全体で約8万人、テックやスタートアップを取り上げる SXSW Interactive だけでも3万人を超える参加者が集まるので、この街周辺のホテルが端から端まで SOLD OUT になるのも頷ける。

このうち、事前登録をして正規に参加を表明している人が日本からは800人弱。国別の登録者数で言えば、お隣のカナダをもしのぐ勢いだ。参加者のうち、20〜30人に一人が日本人ということになるので、会場のそこら中で日本語が飛び交っているのを耳にすることになる。東京の人口に占める外国人の割合よりも多いかもしれない。

まず、今回は現地時間で12日から始まった展示会 TradeShow から巡ってみた。TradeShow には大企業やスタートアップが所狭しとブースを並べ、International Pavilion のコーナーには、各国政府の支援を受けた国別のスタートアップ・ブースコーナーが開設されている。

オースティンに来てまで日本のスタートアップの追うのかと言われるかもしれないが、そこは、パリに行ってもベルリンに行ってもラーメン店を探してしまう筆者の性なのでご容赦願いたい。

とにかく目立つ、という点では、日本パビリオンエリアの目抜き通りに開設された、NHK エンタープライズ、NHK メディアテクノロジー、レコチョク・ラボ、WONDER VISION TECHNO LABORATORY の4社合同による作品「8K:VR RIDE」である。以前にこの記事でも書いた、富士急ハイランドのアトラクション「富士飛行社」を経験した者にとっては、ものすごく目新しいものでもないような気がするが、それでも、SXSW にインドネシアや韓国のスタートアップシーンから参加していた友人に、日本パビリオンでどれが興味あったかを聞いてみたところ、口々に 8K:VR RIDE を挙げていた。

XTREME DESIGN 代表の柴田直樹氏と大平かづみ氏。クラウドでスーパーコンピュータを実現するという技術自体、ビジュアルだけではなかなか説明がしづらいテーマだが、展示初日からプレゼンに力が入り過ぎたのか、柴田氏は声が出なくなってしまったとのこと。早々に回復することをお祈りしたい。

<関連記事>

つくばを拠点に事業を展開するナノルクスの祖父江基史氏。産総研(産業総合研究所)で開発されたベースをもとに、暗所でも色のついた状態で被写体を再現する映像技術を開発している。光量の低い所では赤外線カメラを使って撮影されることが多いが、その難点は映像に色がなく、濃淡だけで物体を見極めなければいけない点だ。ナノルクスの技術では赤外線カメラの映像から、まるで可視光でとらえたような映像の再現が可能である。車載カメラなど用途は多数。

Todai to Texas から出展の STACHA。EMS などと同じ要領で、首に巻いて喉にある声帯の周りの筋肉に微弱な電流を流し、意図的に正確な発声が困難な状態を再現する。世界的にも吃音で悩む人は少なくなく、周囲からの視線や差別から自殺を図る人がとどまるところを知らないという。吃音で悩む人の苦しみを疑似体験できる環境を提供することで、社会の理解を高めようとするデバイスである。

Peegar というデバイス。写真だけだと説明が難しいが、昔ながらのモデムやファクスにも似た「ピーガー」というデータ通信音(キャリア)に情報を載せることで、タブレットやスマートフォンのイヤフォンジャックから、音声で基盤などにプログラムをインストールできるというものだ。一見するとデジタルからアナログに逆行している気もするのだが、インターフェースがシンプルである分、コストは安く汎用性も高いのだそうだ。

Groove は、ダンサーが両手に装着するセンサーに、圧電素子や G センサーを備えたデバイスだ。色合いからや用途からも Orphe を連想してしまうのだが、Groove は音を元に光るアウトプット・インターフェースであるだけでなく、手の動きなどを元に音楽が生み出されるという点が特徴的。ダンサーは DJ が生み出す音楽にあわせて踊ることが多いが、Groove を使うことでダンサーが自ら音楽を生み出すことができる。

資生堂は TeleBeauty を展示。自宅からテレカンファレンスに参加する際に、女性が化粧をしなくてもテレカンに臨めるよう、拡張現実でメイクアップをオーバーラップしてくれるアプリだ。資生堂の社内では、その会社柄からも女性社員だけでなく男性社員の利用も多いのだとか。

神戸デジタル・ラボSeekAt という AR ナビゲーションアプリを出展。スマートフォンをかざすだけで、目的地がどちら方向にあるかを表示してくれるアプリだ。Twitter のつぶやきをもとに、付近で盛り上がっている場所を視覚的に示す機能なども備えている。

韓国のスタートアップ支援団体 Startup Alliance でマネージャーを務めていた June Hyuck Lee(이준혁)氏が昨年スタートした Lotte Accelerator に移籍したそうで、韓国パビリオンのところで呼び止められた。彼らは韓国からスタートアップを数チーム連れて来ていたが、中でも一押しがこの HumOn というアプリ。鼻歌を吹き込むだけでメロディを譜面化し、コードをつけてバラード調や R&B 調など好みの曲へとアレンジしてくれる。

身体に貼り付けることができるセンサー「Rotex」。生体情報などをより正確に補足し、BLE 経由でデータ転送することができる。標準的なものはミニ USB でバッテリー充電し24時間動作し続けるが、新たに開発しているものは Suica と同じ要領で、 NFC により基盤内で電流を発電することができる。

LED で効率的な野菜の発育を促す Local Roots はトラックで登場。

コンベンションセンター近くに設置された、ソニーの展示会場「THE WOW FACTORY」。ビデオゲームデザイナーの水口哲也氏が、Synesthia Suit を着用し Rez Infinite の実演を行なっていた。

会場近くに設置されていた、自動車の自動販売機スタートアップ CARVANA の展示コーナー。パンチングゲームと同じ要領でショックを与えてランキングを競い、成績優秀者には自動車がプレゼントされるとのこと。

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Rainey Street には、Twitter、Pinterest など有名テック企業のバースタンドやイベントスペースが軒を連ねる。これらの施設では、SXSW のバッジを身につけていれば、ほとんどのところで食べ物や飲み物が無料だ。イベントの合間のひととき、参加者たちは思い思いのカクテルを片手にミングルに興じていた。

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SXSW 2016で明らかになった、注目すべき5つのマーケティングトレンド

本稿の著者である Tom Eswards 氏は Epsilon の Agency Business の Chief Digital Officer である。過去15年間にわたり、デジタル、モバイル、ソーシャルメディアマーケティングに従事し、2014年の iMedia Agency Marketer of the Year のファイナリストに選出された。 Epsilon 以前は、The Market…

本稿の著者である Tom Eswards 氏は Epsilon の Agency Business の Chief Digital Officer である。過去15年間にわたり、デジタル、モバイル、ソーシャルメディアマーケティングに従事し、2014年の iMedia Agency Marketer of the Year のファイナリストに選出された。

Epsilon 以前は、The Marketing Armのデジタル戦略とイノベーション担当の EVP であった。それ以前は、DDB Worldwide 傘下の Red Urban において、デジタル戦略と新生テクノロジー担当 SVP であった。また、クラウドベースのソーシャルソリューションプロバイダー INgage  Networks の CMO も務めた経験もある。Twitterで彼をフォローしよう。


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SXSW Interactive 2016が今週開幕し、美味しいものや楽しいこと、そして顧客との関わりに大きく影響するであろう新生のテクノロジーをチェックしに、数千ものマーケターがテキサス州オースティンに押し寄せた。23年目にしてなおイノベーションにおけるSXSWインタラクティブの影響と役割は衰えていない。

今年明らかになったいくつかのトレンドはブランドと顧客の相互関係に大きく影響するだろう。次の5つに注目したい。

1. どこでもバーチャルリアリティ

バーチャルリアリティ(VR)は過去数年間、SXSW体験の重要な部分を担ってきた。特に Game of Thrones の VR 体験とSamsung Gear VR は卓越していた。今年は VR が最前線である。

Cinematic VR やバーチャルフットボール、VR ストーリーテリングからソーシャル VR を使った都市計画まであらゆるものについて議論された。そして、Samsung Gear VR のラウンジや McDonald’s Loft などさまざまなブランドによる展示も注目を浴びている。

McDonalds

McDonald’s Loft では、参加者をハッピーミールボックス内へ誘導し、創造性を刺激してくれる V-Artist バーチャルリアリティ体験が展示されている。これは非常に面白いもので、VR にどっぷりつかった体験が可能だ。

Samsungは、#VRonDemand キャンペーンを通して、カンファレンス参加者のいる場所どこへでもポータブル VR 体験を提供している。Gear VR は平均的な消費者にも VR 体験に手が届く良い例である。

#VRonDemand でツイートして DM経由で招待に答えると、Samsung Mobile US チームが Samsung Gear VR 体験をあなたの場所へ届けてくれるというものだ。

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私も試してみたが、1時間以内には Trinity 通りと3番通りの交差点で Gear VR のヘッドセットを装着することができた。Gear VR が消費者にとって最も手の届きやすいタイプの VR になることにマーケターは注目すべきだろう。

2. ソーシャルメディアからソーシャルメッセージングへ

2007年のSXSWで、Twitterはマイクロメッセージングアプリを初めて披露した。2016年、審査員らの議論の中心は消費者がソーシャルメディアからソーシャルメッセージングへシフトしているということである。これには対話型のユーザ体験が台頭してきたことの他にも、次の数十億ドル規模の商機であるメッセージングマーケティングがある。

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SXSW 2016 に至るまでに、個人間のシェアに対する消費者行動とナローキャストネットワークの台頭に大きな転換が起きている。Twitter などのプラットフォームは、さらにプライベートな Snapchat のプラットフォーム機能を統合しているし、Facebook は Messenger を主な進化形商品として押し出している。

この動きはマーケターたちに顧客との関わり方の見直しを迫るものである。機知に富んだ方法でブランドの擬人化をするソーシャルメディアマーケティングの品質云々ではなく、もっと対話を可能にすることである。マーケターは視覚的に、またはメッセージングチャネル経由で説得力のあるカスタマーエクスペリエンスを作り上げることによって、顧客との対話を有効にする重要な機会を見つけなければならない。

彼らが将来に向けて何に可能性を抱いているかということに応えてプラットフォームからもたらされるシグナルと相まったこの消費者行動に関する大きな転換を機に、より個人的なシェアリングとつながりを望む今日の消費者ニーズに見合った新しいプラットフォームがSXSWで紹介されるだろう。

3. 人工知能と感情を持つロボット

ここ1年、ロボット工学と人工知能はメディアと消費者から注目されている。そして今、SXSW 2016 ではロボット工学と人工知能に関する話題が多く聞こえてくる。暮らしの中のロボット、自律走行車の役割、感情を持つロボットが私たちの生活をより良くするのかといったことだ。

JiboSXSW 2015 で最も優秀なパネルの一人は、MITソーシャルロボット研究家のCynthia Breazeal 氏であった。Breazeal 氏は、人間行動を認識、解釈、処理、疑似することが可能なシステムとデバイスをベースにした感情的コンピューティングについて語った。彼女はまた、Jiboという感情的人工知能も紹介してくれた。そして今年、そのJiboが帰ってきた。今回はJiboがどのように進化したのか、そしてどのように私たちの生活をさらに豊かにしてくれるのかといったことが議論されている。

Jibo は今年の SXSW の展示の中でも最も進化したロボットの一つで、まるで人間同士で交流しているかのように感じさせてくれる双方向の対話と表現豊かな経験を提供している。

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デジタルマーケターにとって感情を持つロボットは、高度な文脈コンテンツのコミュニケーションに新たな可能性を開き、IoT ベースの行動データのアクセスポイントとしての機能を果たすことができる。感情を持つロボットの概念の鍵となるのは、消費者感情の反応を考慮し、これらのデバイスと消費者の対話をよりポジティブで個人的なものにする能力である。

4. ダークソーシャル

と言ってもこれは新しいスパイドラマの名前ではない。これは SXSW Interactive で浮上した実在するトレンドである。ダークソーシャルとは、従来の分析にはあまり見られないシェアリングアクティビティのことである。ソーシャルメッセージングへのシフトが起きるにつれ、次第にさらに重要になっている。

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これは、インスタントメッセージやリンク付きのeメール、そして最近では Snapchat、WeChat や WhatsApp のような簡易ソーシャルコミュニケーションアプリから生じるコンテンツ共有とお勧めの集大成である。

Radium One の最近の調査によると、全てのオンラインシェアリングのうち59%はダークソーシャル経由で、91%のアメリカ人は日常的にこれらの手段で情報のシェアを行っていることがわかった。72%は単にユーザが長いURLをメールやショートメッセージにコピペして送るスタイルのシェアである。

簡易ソーシャルコミュニケーションアプリの急激な台頭がダークソーシャルの謎解きをさらに重要にしている。ソーシャルとモバイルが集中したことで、2016年はシェアされたコンテンツの割合は急激に増加し続けていくだろう。

マーケターはダークソーシャルとカスタマーエクスペリエンスの一部としての役割について考え始める必要がある。

5. 全てとつながる

コネクテッドデバイスについて議論しているパネル陣から、新しいマーケットプレイスとしての車を展示しているイベント、カンファレンスフロアでこれからデモが予定されている無数のウエアラブルデバイスや IoT ベースのデバイスに至るまで、消費者がテクノロジーと相互につながることの重要性が展示を通して注目ポイントであることがわかる。

一つのキーとなる体験として、Sony の Future Lab Program で展示されているウエアラブルデバイス「N」がある。これは今回SXSWでローンチする最新のイノベーションだ。

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このデバイスは、Amazon のウエアラブルデバイス Echo のように動作し、動きを妨げないように首輪のような形をしている。あらかじめプログラムされたオーディオのコマンドに応答し、ハンズフリーの写真撮影が可能だ。

Sony は生のフィードバックを求めて、SXSW 参加者のユーザテストを基にプロトタイプの改良を目指していく予定だ。この透明性の高いテストによって参加者に当事者意識がもたらされ、SXSW でのイノベーションをテストする素晴らしいアプローチ方法となっている。

SXSW でフルに発揮されたブランドの体験は、ブランドと顧客の相互関係が近い将来どのようになっていくのかを強く示すものである。マーケターは、さらに便利で人を惹きつけるカスタマーエクスペリエンスを提供するために、テクノロジーとデジタルイノベーションを活用していかなければならない。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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ソニーのFuture Labが、ハンズフリーヘッドホン・プロトタイプ「Project N」をSXSW Interactiveで公開

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ソニーの Future Lab は、フィードバックを求めて多くのコンセプト・プロトタイプの第一弾を公開している。サウスバイサウスウエスト・インタラクティブ(以下、SXSW Interactive)では、ソニーがその最初のプロダクトになるとしている、「N」という名のハンズフリーフォンを公開した。LG の Tone Infinim Wireless を彷彿させるかもしれないが、その違いはボイスコントロ…

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ソニーのコンセプト・プロトタイプ「Project N」
Image Credit: Ken Yeung/VentureBeat

ソニーの Future Lab は、フィードバックを求めて多くのコンセプト・プロトタイプの第一弾を公開している。サウスバイサウスウエスト・インタラクティブ(以下、SXSW Interactive)では、ソニーがその最初のプロダクトになるとしている、「N」という名のハンズフリーフォンを公開した。LG の Tone Infinim Wireless を彷彿させるかもしれないが、その違いはボイスコントロールができる点だ。

このウエアラブルデバイスにはオープンスピーカーが備わっており音声の反応する。ソニーはこれまでオープンイアー・コンセプトを試してきたが、「N」は装着にあたりイアーピースを必要としない。カメラ、センサー、GPS機能が備わっており、現時点で Strava、AccuWeather、Yelp とコンテンツパートナーとして提携している。

近くで見てみると、そのデザインは、ソニーの高級デバイスという見栄えでチープさは感じられない。オーディオ品質はシャープで、ソニーが開発した音声テクノロジーは「Hey Arc Listen Up Arc(原文修正に伴い2016年3月25日に修正)」と呼びかけることで起動する。

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ソニーのコンセプト・プロトタイプ「Project N」
Image Credit: Ken Yeung/VentureBeat

ソニーが披露した他のプロトタイプには、Project N と連動し、耳の底部までしっかりとフィットするオープンイアー型イアーフォンもあった。同社によれば、この製品には特別に設計された音響管が使われている。重要な安全上の理由から、イアーフォンを使っている時でも外部の音を聴こえる状態にしておきたい、というアイデアによるものだ。

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ソニーのインタラクティブ・ディスプレイ・プロジェクターのコンセプト・プロトタイプ
Image Credit: Ken Yeung/VentureBeat

ソニーはイベント会場で、2つのコンセプト・プロジェクターも展示していた。一つは小さな Sonos(ワイヤレススピーカー)のような形をしていて、インタラクティブなテーブルトップ画面を投影できた。平らな場所にスクリーンを投影し、スマートフォンのように操作できる。もう一つは、さまざまな場所に映像を投影できる多軸ムービングプロジェクターで、どのような壁に投影してもコンテンツや音が曲がらない。任天堂ファミコンの光線銃「Zapper」に似た銃があり、それを使って宇宙エイリアンを見つけて射つゲームを体験させてもらった。

多軸ムービングプロジェクター

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プロトタイプのセンサー「wand」と多軸ムービングプロジェクター
Image Credit: Ken Yeung/VentureBeat

最後に、ソニーは、スクリーンにメタルボールを投影したゲームコンソールで、身体が触れた感覚を体験できる技術を披露していた。左右上下に動かすと、デバイスが振動し、音が出て、物体の感覚が感じられる。ソニーはこの体感テクノロジーを実装したハンドヘルド・ゲーム・コンソールを、11日の SXSW Interactive でデモ公開した。

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体感テクノロジーを実装したハンドヘルド・ゲーム・コンソール
Image Credit: Ken Yeung/VentureBeat

重要なのは、ソニーがこれらのデバイスを披露しているものの、いずれもまだプロトタイプの領域を出ておらず、したがって消費者は市場で目にすることはできないということだ。これらのプロトタイプの披露は、人々がこのような努力についてどう思うか、ソニーが人々から意見を聞くことに興味があることの表れだ。

Future Lab は、ソニーが研究開発支援を狙いとして設置した新しいプログラムだ。その目標は、人々が必要とする技術を開発することにある。ソニーはテックサビーな人々がデバイスにどのような技術を求めているか、そのような技術的進歩が日常生活にどのように適合するかを明らかにすべく、 SXSW の参加者にプロトタイプを試してもらっていた。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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Todai to Texas:日本のハードウェアスタートアップ、SXSWで喝采を浴びる(パート2)

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(前編パート1からの続き) 日本のハードウェアスタートアップが今年のSXSW Interactiveで勢いある活躍をした。実際、SXSW の日本セクションはオースティンに向かった海外組の中で一番大きいものであった。 将来有望なハードウェアスタートアップ10社によるブースが設けられた Todai to Texas(Todai=東京大学)エリアは、日本セクションの大部分を占めており、イベントのハイライ…

Hinomaru_SXSW

前編パート1からの続き)

日本のハードウェアスタートアップが今年のSXSW Interactiveで勢いある活躍をした。実際、SXSW の日本セクションはオースティンに向かった海外組の中で一番大きいものであった。

将来有望なハードウェアスタートアップ10社によるブースが設けられた Todai to Texas(Todai=東京大学)エリアは、日本セクションの大部分を占めており、イベントのハイライトでもあった。

前置きはこれくらいにして、以下に残り5チームを紹介しよう。

AgIC と MESH Project の提携

AgiCMesh

AgIC は、プリント基板の回路印刷を手掛け、日本で最も急速に伸びている大注目のテック系スタートアップだ。昨年、同社は btrax 主催の SF Japan Night VII 東京予選TechCrunch Tokyo の2つのピッチコンテストで優勝している。今年1月には、エンジェル投資家から83万米ドルの資金を調達している。しかも同社の2014年の年間売上高は、12万5,000米ドルを記録している。

SXSWでは、ソニーが支援する MESH Project がAgICに加わり、日本の禅の庭園を未来的に解釈したような展示を行った。AgICのプリント回路基板を備えた透明なチューブが庭園に置かれ、それぞれが音を鳴らしたり光を放ったりする。この機能は MESH Project のビジュアルプログラミングソフトウェアであるCanvasをベースにしている。MESH Project はシンプルなドラッグ&ドロップのインターフェースを備え、ユーザに Internet of Things の力を活用させるものだ。今月、Indiegogoでの資金調達にも成功している。

私たちはクリエイティブな人々のための制作ツールを作りたかったのです。(このコラボレーションは)エンジニアのためだけではなく、回路基板やプログラミングの知識のないデザイナーや一般の人々に使ってもらうためでもあります。私たちは、ユーザが洗練された発明を簡単に生みだせることを望んでいます。(MESH Project 代表の萩原丈博氏)

SenSprout

SenSprout

将来、きれいな水が、金やプラチナよりも価値のあるものになるかもしれない。地球上の水の1%未満が飲用であり、80%以上は農業に使用される。いまだ人口は増え続けており、水を必要としている人々のために農業用水を転用する方法を見つける必要があることは明らかだ。

SenSproutは、農家が降雨量と土壌水分レベルを遠隔測定することができる葉形のセンサーだ。もちろんこのようなセンサーはすでに存在しているが、農地全体に配置するには数万ドルの費用がかかってしまう。 そこでSenSproutは、(AgICの導電性インクで)プリントされた回路基板を使うことで大幅なコストカットを実現している。

従来の水センサーでは、監視やデータ記録装置なしでも100米ドル以上のコストがかかります。私たちのセンサーではユーザのスマートフォン経由でクラウドにアクセスするため、監視およびデータ記録システムを含めても50米ドル以下になります。(SenSprout 共同設立者の西岡一洋氏)

西岡氏によると、将来的には土壌の養分をチェックするセンサーも追加する予定だという。彼はこのセンサーをカリフォルニアのワイン業界に売り込みたいと考えており、10月に開かれるSXSW Ecoにも出展する予定だ。なお、SenSprout は Todai to Texas のピッチコンテストの優勝者だ。

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exiii

EXIII

まる2日間 SXSW を歩き回った今だからこそ、exiii がこの会場のどのブースよりも多くの注目を集めていたと自信を持って言うことができる。それは驚くことではない。このスタートアップは、手足を失った人や生まれつき手足の全てまたは一部がない人のために、3Dプリンターで手頃な価格のロボットアームを作っているからだ。欧米人が日本に期待するような未来的な技術と、実際に人を助けるというミッションを組み合わせることで、exiiiの「handiii」は、このショーで素晴らしいヒットとなった。

Handiiiはカスタム結合装置を備えており、モーター1つで3節からなる指を動かし、物体を握ることができる。さらなるコスト削減のため、信号処理にはアーム専用コンピュータではなくユーザのスマートフォンが使われる。

私たちが SXSW にやってきたのは、単純に来場者からの反応を見たかったからです。もちろん新しい可能性を探しています。しかし、ただ世界が(handiiiに)どう反応するのか見たかったというのが本当のところです。(exiii CEOの近藤玄大氏)

近藤氏は機器の開発に1年半もの期間を要したと語った。彼は東京大学で人工頭脳学を学んでおり、過去にはソニーやパナソニックで働いた経験も持つ。

この種の人工装具を実用的にするためには、価格とデザインはとても重要なんです。今や3Dプリンターやスマートフォンという技術がありますが、私はこれまでに目にしてきたものよりさらに良いものを作れると実感しています。私たちのチームが3人だけであってもです。(近藤氏)

森川章氏(写真上)は exiii のエバンジェリストであり、初めて試験的に使用した人物だ。SXSW 出席者は彼の義手と握手するために行列に並んだ。

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Phenox2

Phenox

好むと好まざるとに関わらず、最近のガジェットブームの1つはドローンだ。Phenox2は、昨年成功したバージョン1.0のKickstarterに続き、自立性ミニドローンの最新イテレーションである。

カスタマイズされた自己制御知能システム(ISCS)を搭載するPhenox2は、特定の色やパターンといった視覚的な特徴にもとづいて操縦することができる(例えば、白い床にある黒い正方形の上を飛ぶ、など)。2つのカメラとマイクを使って、ユーザが口頭の指示を出して手のひらの上に着地させることができる。リモコンすら必要ないのだ。また、Linuxベースとなっているので、ユーザが独自の飛行プログラムを書いてPhenox2の内臓コンピュータに直接インストールすることができる。

ドローン製作者の此村領氏は、最新バージョンをKickstarter クラウドファンディング開始を発表すべく SXSW に参加した。Phenox初期版は手作業で製作されたため30台に限られていた。しかし今回のKickstarter クラウドファンディング(10万米ドルを目標)で、日本での量産化を目指している。

RE: SOUND BOTTLE

ReSoundBottle

RE: SOUND BOTTLE は、ユーザがとらえた音を何でも自動的にミックスしてしまう、実験的な音楽製作装置である。ボトルの口を開けるとレコーディングが始まり、キャップを戻すと記憶する。6つの音までをとらえ、内臓されたソフトウェアで同時にミックスが行われる。まるでパーソナルDJがボトルの中に入っているようだ。

シンプルなLEDインターフェースにより、ユーザは音量とBPMを操作することができる。また、SDスロットがあるので音楽を保存したり、もともと録音した音声をミックスに加えたりすることも可能だ。広報担当者によると、RE: SOUND BOTTLE は夏までにはKickstarterに参加するとのことだ。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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