e27のMohan Belani氏とK Cubeのイム・ジフン氏、アジアのスタートアップ最新動向を語る #bdash

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本稿は、B Dash Camp 2013 in 福岡の取材の一部だ。

B Dash Camp 2013 in 福岡の2日目、我々はアジアのスタートアップ・トレンドに関するディスカッションを聞くことができた。このチャットに参加したスピーカーは、汎アジアのテックメディア・サイト e27 の CEO Mohan Belani氏、Kcube Ventures の CEO イム・ジフン(임지훈)氏で、モデレータは本荘事務所代表の本荘修二氏が務めた。

今こそ、スタートアップするには最高のとき

セッションの冒頭、イム氏は、彼が韓国で今ホットだと考える3つの領域から話を始めた。彼は Facebook Home のようなモバイル・フロント画面のことを例に、モバイル広告について取り上げた。ムービーやコンテンツ向けのレコメンデーション・エンジンなど、問題を解決しようとするするR&D系の企業の話、O2O(online-to-offline)のトレンドについても指摘した。

イム氏は、イグジットの選択肢が少ないことはアジア全域を悩ませていることだが、韓国においてはそれが特に顕著で、しかし、Google に買収されたTNC(訳注:Tapastic の代表キム・チャンウォン=김창원氏が以前創業したスタートアップ)、Living Social に買収された Ticket Monster などの例が出始め、近年、状況は少し快方に向かっているという。このような事例は、概してスタートアップ・エコシステムにはよい影響を及ぼし、多くの優秀な人材が、スタートアップに加わることが、現実的な職業の選択肢だと認識するようになった。また、多くの投資家がそのような企業(スタートアップ)に投資することが、価値あることだと考えるようになった。イム氏は次のように付け加えた。

今ほどスタートアップを始めるのに好機は無いでしょう。日本と韓国は昔から保守的な社会でしたが、もし、あなたが良いエンジニアならリスクは少ない。失敗しても、その経験は大きな価値をもつでしょう。

より多くのイグジットの選択肢、イノベーション、楽観視できること

東南アジアについて、Mohan Belani 氏がシンガポールのイグジット、買収に関する動向を話してくれた。SingTel(訳注:シンガポール最大の電話会社)や Singapore Press Holdings(訳注:Straits Times などの新聞を発行する、シンガポール最大のメディアグループ)は、有望な会社を買収するのに忙しい。Mohan によれば、アジアの起業家のクオリティがよくなっており、今はやりのソーシャル・アプリよりも、現実の問題に対する現実的なソリューション(例えば、インドネシアの遠隔医療など)を開発する起業家が増えているのだそうだ。

Mohan は、3ヶ月でユーザを900万人以上獲得した、PicMix という企業の成功について説明した。同社は、十分に以前から知られているギャップを埋めるべく、Blackberry 用のフォトアプリを開発した。(訳注:ここで言う「ギャップ」とは、iPhone や Android のフォトアプリは多く存在するが、Blackberry のフォトアプリは少ないこと。) 今や大きな成功を収めており、Blackberry 以外のプラットフォームにも進出を始めた。

シンガポールのスタートアップ・エコシステムは、政府や政府の投資によって推進されてきたが、現在では投資家による動きも活発なのだそうだ。シンガポール国外の企業にとっては、多くのビジネス・マッチングの機会があるので、わざわざシンガポールに来る価値がある。Mohan はアジアによい影響を与えている日本の投資家へ感謝しつつ、この話を終えた。

投資家、これは日本の投資家も含むが、彼らがシンガポールや東南アジアに来てくれたおかげで、この地域の多くのスタートアップによいお墨付きとなった。その自信と応援は、日本企業や投資家が築いてくれたものだ。彼らは日本から出なければ、東南アジアを理解できないとわかっていたのだ。

【原文】

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