旅行業界に起こるパラダイムシフトーー「検索」から「ソーシャル」へ

SHARE:

Travel-signsSepteni APACでシニアストラテジストを務めるDave氏はシンガポールを拠点に活躍している。Septeniは日本のデジタルエージェンシーで、2010年の7月以来Facebookを使った広告キャンペーンの最適化を300件以上手がけている。Dave氏へのコンタクトは[email protected]、@dave_sloan(Twitter)へ。

消費者行動の変化に伴い旅行業界はどう変化しているのか?

旅行先を決めるにあたって、多くの場合、ユーザの行動は単純にまずGoogleで検索するところからはじまるだろう。例えば「格安航空券 バンコク」と入力すると、価格を比較することができるAgoda、Kayak、Expediaなどの多くの旅行検索エンジンが検索結果にヒットする。

通常、利用するユーザの購入意思がはっきりしているので、旅行会社が顧客獲得のための予算の多くを検索エンジンマーケティングにつぎ込むのは当然のことだ。旅行サイトにアクセスした顧客は目的地を選択し、日程などを入力して検索結果を閲覧し、魅力的なものがないかチェックするわけだ。至ってシンプルだ。

新しいキーワードは「どこへ」ではなく「誰が」

最近では、旅行に関する意思決定に大きな影響を与えているのは検索エンジンよりもソーシャルネットワークだ。

Forbesの記事によると、「最近の調査で明らかになったのは、旅行の計画を立てる際に最も重要なのはどこに行くかではなく、自分の知り合いの誰がその目的地に旅行したことがあるかということだ」という。

イギリスのフライト比較サイト、Skyscanner.com上で2011年に行ったアンケート調査によると、Facebookユーザの52%が友達の休暇の写真を見たことによりその場所への旅行を予約したと答えたという。

Some rights reserved by mohammadali
Some rights reserved by mohammadali

ソーシャルへの移行

旅行ブランドにとってこれは何を意味しているのだろうか?特に、マーケティング予算をGoogleからFacebookへシフトしていく時が来ているということだ。

もし、将来的な顧客がFacebook(あるいはInstagram)上の友達の旅行写真を閲覧しているのなら、そこで次の旅行に関するお得な情報を提供することがカギとなってくる。

TravelAdvisorはおそらく「意図的にソーシャル」を実践している企業のもっとも良い例だ。「Cities I’ve Visited(私が訪れた都市)」アプリの無料配布を強化するために有料のメディア広告、スポンサー広告を大規模に実施した後、有料キャンペーンおよびアプリのタイムライン導入による伸びにより、1日当りのインストール数は7倍に増加し、キャンペーン後の1日のアクティブユーザ数は継続して2倍となっている。

TripAdvisorグローバルプロダクト部門バイスプレジデントのAdam Medros氏はこう語る。

「タイムラインとの連携によりCities I’ve Visitedのインストール数およびアクティブユーザ数は大幅に増加しました。

アプリの普及を推進するためにターゲット広告とスポンサー広告を利用したことにより、これらの数はさらに劇的に増加。

スポンサー広告を本格的に行い、特定の市場での浸透率が高まったのに伴って、到達可能なソーシャルユーザが大幅に増加し、リーチを拡大するのが容易になったのです。」

Facebookがソーシャル検索エンジンに?

TechCrunchでは次のように述べられている

「お勧めのレストラン、旅行のアドバイス、休暇中に読むべき本、どの選挙立候補者に投票するかを検索する人にとって、FacebookはGoogleに替わる最良の検索エンジンになったと言ってもよい。類は友を呼ぶというように、Facebookだけが、あなたが知りたくなるようなことを教えてくれる。なぜなら、それはあなたの友人が経験していることだから。」

ウェブサイト「eMarketer」は旅行業界におけるこのトレンドを認めており、「旅行業界のマーケターにとってソーシャルが新しい基準」というタイトルの記事で旅行とソーシャルの深いつながりを実証するチャートを提供している。同調査では、旅行会社の65%が2012年のソーシャルメディアマーケティングへの支出を増やしていることが示されている。

もちろん、旅行に関する意思決定は検索結果によって左右されることが多いのだが、旅行会社がソーシャルネットワークの「お勧め」の影響力に目を向け始めていると同時に、同業界はソーシャルに向かって抜本的なパラダイムシフトをしているようである。

【via e27】 @E27sg

【原文】

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。
  • 会員限定記事・毎月3本
  • コミュニティDiscord招待
無料メンバー登録