伸び悩むシンガポールのカップル向けメッセージアプリ「LoveByte」の次の一手とは?

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(情報アップデート:原文に記載されている数字のアップデートを反映し修正しました。)

カップルのためのプライベートチャットアプリは手探り状態なビジネスだ。どのサービスも、WhatsappやKakaoTalk、そしてWeChatが成し得た非常に高い実績レベルに達していないし、達することもないだろう。その理由は単に、カップル向けチャットアプリがニッチな市場を狙うプロダクトだからだ。

カップル用アプリのトップを行くのは韓国発のBetweenで、月間のアクティブユーザ数は100万人40万人を少し超える程度 —— KakaoTalkの1日のユニークユーザ数2700万人と比べるとはるかに少ない。

だから、KakaoTalkなどのアプリで驚異的にうまくいっている収益モデル ——絵文字の販売やモバイルゲームプラットフォームの構築—— も、BetweenやCouple、LoveByteにはうまく機能しないかもしれない。というのも、これらのアプリには小額取引を導入するほどのユーザーが集まらないからだ。

そこで、カップル向けチャットアプリに取り組むシンガポール発のLoveByteを見てみると、同サービスは業界への参入が比較的遅く、投資家からも出資を拒まれたにもかかわらず、初期段階でのトラクションはなんとか獲得している。最近では、ダウンロード数が10万回を超え、そのうちの37%が月間アクティブユーザで、25%が毎週同アプリを利用している。

心強い数字ではあるが、LoveByteの道のりがまだまだ長いことも示している。Betweenと比べて、LoveByteではユーザがダウンロードしてから月間アクティブユーザになるコンバージョン率が低い(Betweenは60%)。送信メッセージの数を見ると、Betweenはなんと1日に2000万1400万のメッセージと20万枚の写真を扱っている。このメッセージの数はCoupleの125万、そして2012年7月にローンチして以来LoveByteが扱った300万よりもはるかに多い。

だが、LoveByteが負け犬になっていても、私は同サービスにはいくつかの明るい面があると信じている。現段階の状況で言うと、絶対的な数字が新しいビジネスモデルや機能を取り入れるための能力を物語っているとは言えない。LoveByteには、同サービスをユーザにとってさらに実用的で有意義なものにすることで、ユーザを維持していくチャンスがある。Crystal Horse InvestmentsとRuvento Venturesからわずかな資金を調達したので、同サービスは数か月の間にサービスの向上に試行錯誤し、また別の資金調達をすることができる。

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同社はすでにギフト機能を取り入れてサービスの向上に取り組み始めている。このギフト機能は、利用者がアプリ内にある贈り物のリストを閲覧して他のサイトで選んだギフトを購入するというサービス。これは、適切な事業の方向への1歩となりうる。だが、そのプロセスを改善すること(例えば、同アプリ上で購入までのすべてのプロセスを可能にすること)に取り組まなくてはならないだろう。

LoveByteが提携できそうなパートナー企業は様々な分野にたくさんある。Betweenは定期購入モデルのコマース企業Memeboxとの提携を試みたし、LoveByteもVanityTroveBellaboxとの提携を模索できるだろう。また、旅行、チケット、宿泊関連のサービスを提供する企業や、イベントやウェディングといったサービス分野とも協業できるだろう。

だから、LoveByteや同様のアプリの方向性はチャットアプリという枠組みを超えて進化し、カップルの関係を深める便利なワンストップサービスへと変わっていくかもしれない。提携企業の確保には問題ないがユーザ獲得で悩む多くスタートアップとは異なり、LoveByteは初期段階で良いトラフィックを得ている。同サービスに必要なのは、ユーザベースを増やしてそれを活用することだろう。

たとえ成長が停滞したとしても、類似サービスのBetweenやCouple(これらのサービスが成功すればの話だが)、もしくは同地域の様々なモバイルチャットアプリに売却するチャンスはある。だから、決してゼロ・サムゲームではない。

同社にどんな将来が待ち受けていようと、Steve Sng氏、Amelia Chen氏、Ang Hee氏率いる同チームは、画期的な考え方と図りがたい「なせばなるという精神」への気質を示していることを私たちは理解している。

同チームが次に何をするのかが楽しみだ。

【via SGE.io】 @SGEio

【原文】

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