就職して経験を積んでから起業したいーー5人の起業志望大学生の本音

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スタートアップを追いかけているとたまに大学生からそのまま起業してしまう人に出会うことがある。いわゆる「学生起業家」だ。ネット業界を見渡すと(学生から流れ着いて起業した人も含め)ベテランから若手までプレーヤーの顔が浮かぶ。

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昨日、私は中央大学で開催されたある授業に参加する機会を頂いた。

起業を目指す学生がサービスをプレゼンテーションするという授業内容で、400人ほどの学生が観覧する中、5組の学生たちが壇上でのピッチに臨んでいた。

彼らはなにを目指しているのか。短い時間だったが彼らの声を聞いてきた。

ピッチの優勝者は「倒産した」スタートアップのインターン経験者

「インターン先のコワーキングスペースが倒産しちゃったんです」。物理的な場所がある事業は大変だ。だから飲食店の空いた時間と空間をイベントなどの開催者とマッチングさせることで有効活用すればいい。

ーーある大学生のインターン経験から生まれたこのアイデアが最も高い評価を勝ち取った。

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実際に作ってくることで本当にやりたいかどうか伝わり方が違ってくる

この件についてはある企画の一環ということで詳しくはまた別途お伝えしたいが、彼を含め、5組の若者たちのアイデアには新鮮さを感じる一方、実際にものを作ってきているのはこの優勝者を含めて2組だけと具体性はほとんどなかった。

数字による状況把握、問題提起、解決アイデア、サービスデモ、実現したい体験、競合の説明にビジネスモデルの解説。

本気でスタートアップするためにはこれ以上に考えるアイテムがあり、そして実際にはここに偶然という奇跡が加わって実現への道がようやく開ける。

授業なんだからまあこんなもんかと思いつつ、ピッチ終了後の彼らに本気で起業したい人だけ話を聞かせて欲しいと尋ねると、驚くことに全員が手を挙げてきた。ーーその本音は様々だ。

起業の条件が揃わないから就職する

起業はしたい、けれど資金が足りない、経験が足りない、だから就職してステップを踏んでからにしようと思っている。全体的にはこんな考え方が一番多かった。

ただちょっと気になったのはその頼りにしている「会社」や「起業」をインターンなどの実体験ではなくイメージで話をしていた点だ。失敗を気にしている彼はこんなことを話していた。

起業一本でやっちゃうとそれなりに経験が積めるのかもしれないけど、会社なら失敗した時に他の先輩がカバーしてくれたりといった補完があると思ってます。インターンですか?これからです。

ぜひ現場を見てどういう大人たちがカバーしてくれるか確かめてみて欲しい。またグッズ販売をしたいという女子大生の彼女も就職してから起業、という「イメージ」を持っていた。

周囲の友人はインターンとかいってますが、私はまだそこまでやってません。新卒で就職はしたいと思っています。イメージとしてそこで勉強して自分の能力の最大限を発揮してから起業したいです。ただ、条件が揃っていて自分でやれると確信が持てるなら今でも起業してみたいですね。

インターンやアルバイトでの体験で変わる考え方

一方でインターンを経験するなり、現場を見てきた二人は少し違う。実際に過去お会いした学生起業を経験してきた人たちの多くは、アルバイトやインターンなどでよかった、もしくは辛かったといえる体験をしている。今回優勝した彼も、インターン先で毎日遅く働いていたらしい。

きっかけはこの起業家入門という授業です。この中央大学の先輩学生起業家がやってきてカッコいいなと思ったんです。

ただ、インターンしてみるとそんな甘いものじゃないと分かりました。でもそこで気がついた課題が今回のアイデアに繋がったんです。周りに起業家志望ですか?いやあまりいないですね。集まるのはビジネスコンテストとかそういうところです。

また、こちらの飲食店で起業したいという彼も、社会の現場を見て何か感じるものがあったようだ。

経営コンサルの会社に長期インターンで参加したんです。そこで一週間ぐらい北京に行った時のことです。国内では就職氷河期とか将来暗いとか嫌なイメージが多かったんですが、その現場で起業をしている人たちの内容を聞いて、まだまだ日本はやれる、捨てたもんじゃないと気がついたんです。

自分がやりたいことには資金が必要なので、一度就職を考えてますが、起業したいというより自分のやりたいことをしかるべき時にやりたいというのが正しいかもしれません。

やりたいからやる

私は別に学生起業を進めるわけでも啓蒙するつもりも毛頭ない。情報や変なおじさん投資家に踊らされて起業しちゃった、というのもまたひとつの人生経験だろう。

問題なのは「やったことないけどみんなそういってるからそうなんじゃね?」という雰囲気で体験をおろそかにすることだ。情報が多すぎる今だからこそ「自分でもやってみたい」と思ったならまず経験してみるべきだろう。

ただ、例外的にもしかしたら変身するかも、と思ったのがこのコメントをくれた人だ。

お金ができたらすぐに起業したいです。(起業したい理由は?)そうですね、やってみたいから。インターンとかは特に経験がないです。串カツ屋さんでアルバイトしたぐらい。起業したい理由をなぜかと聞かれるとわかりません。あまり深く考えたことはないですね。ネット(を選んだ理由)ですか?なんとなくです。先輩起業家も知らないですね。

逆にすごいよ。

来週末に私はIVSサマーワークショップの現場に入ってさらに多くの学生起業家予備軍とお会いしてくる。ここにも書いた通り、引き続きみなさんの声を聞けるだけ聞いてみたいと思っているので、お話してくれる方はぜひコンタクトして欲しい。