LINEはローカルビジネスの救世主となるかーー新たなコミュニケーションツールを用いた地方商店街の取り組み

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line@

先日、半年にユーザー数が1億増加するという驚異的な速度で成長したメッセージアプリの「LINE」は、ついに全世界でのユーザー数が2億人を突破した。日本国内の登録ユーザー数も4月10日時点で4500万人を超えており、TwitterやFacebookなどのサービスと比較しても、国内においてその登録ユーザー数は群を抜いている。Sd Japanでは、LINEのこれまでの歩みをまとめたインタラクティブな年表を作成したので、こちらもぜひチェックしてもらいたい

登録ユーザー数の規模が大きくなると、ビジネス面での活用を考える企業も増える。LINEにおいても例外ではなく、大手企業やファッションブランド、芸能人などはLINE公式アカウントを開設し、LINEをマーケティングに利用しようとする動きも多くなってきている。だが、公式アカウントの開設には初期費用はおよそ1000万円、月額料金は250万円以上かかる。この価格では大手企業しか導入ができない。

そのため、公式アカウントの廉価版として提供されているビジネス向けアカウントに「LINE@」というプランがある。これは初期費用・月額料金ともに5250円で提供されるもので、資金的に公式アカウントの利用が難しい中小企業や小規模の店舗、公共団体などへの利用拡大を狙って2012年12月から提供が開始されたものだ。

7月に熊本・下通商店街で、LINE@を活用した日本で初めての「LINE」の一斉導入による地域活性化プロジェクトがスタートした。筆者はこのLINEというツールが、どういった価値を人々にもたらすのかに関心を持っている。こうした事例がうまくいけば、日本の他の地域でも店舗や商店街が抱えている課題を解決できるかもしれない、と考えるからだ。

little shotaro今回、LINE@の事例と可能性について、LINE@の代理販売、開設・運用支援サービスも手がける、ソーシャルメディアマーケティングの支援会社トライバルメディアハウスのコンサルタントであり、最近「LINE@公式ガイド」を執筆された植原正太郎氏に話を伺った。

熊本・下通商店街でのLINE導入までの流れ

今回、LINEの一斉導入を実施した下通商店街は、熊本県熊本市中心部に位置するアーケード繁華街。相次ぐ郊外型ショッピングセンターの出店により、子育てをしている世代を中心に、買い物客の中心市街地離れが進行している。そうした状況に対応するため、各店舗の魅力、街全体の魅力を発信していくことで、来街者を増やすことが下通商店街の大きな課題となっていた。

トライバルメディアハウスは、下通商店街の店舗を取りまとめ、全体の活性化に取り組む下通繁栄会と共同プロジェクトを立ち上げました。中小企業庁による「地域商店街活性化事業」の助成金を活用しながら、メッセージアプリ「LINE」の利用を通じて各店舗の情報発信力を強化。「郊外に住む子育て世代の商店街への呼び戻し」を目指しています。

他のソーシャルメディアと比較して導入のしやすさ

トライバルメディアハウスは、これまでにもソーシャルメディアを活用したマーケティング支援を実施してきている。他のソーシャルメディアと比較して、LINEの導入難易度はどうなっているのだろうか。

商店街の方々はプライベートでもLINEを利用している方が多く、8割から9割の方は普段からLINEを利用しているといった印象でした。

TwitterやFacebookなどを店舗の情報発信に利用しようとした際には、プライベートでの利用経験が無いといったことも珍しくなかったため、サービスの説明からしていかなくてはならなかったのですが、LINEではその手間が省けています。そのため、導入はスムーズですね。

日常的に利用しているコミュニケーションツールを利用するため、操作が問題になることも少なく、またコミュニケーションの温度感がわかりやすい。他のソーシャルメディアのツールと比較して導入することは容易になりそうだ。管理画面も公式アカウント用に作りこまれたものとほとんど変わらないものを利用できるため使いやすく、PCからでも、モバイルからでもメッセージを送信できるようになっているという。

他のソーシャルメディアでは、フレンドの獲得やリーチを増やすためのノウハウなどが存在するが、LINE@においてはどのような手段が考えられるのだろうか。

LINE@でのフレンドの獲得方法

店舗に足を運んだお客さんに向けて、チラシを渡したり、フレンド登録することでノベルティをゲットできるようにしたり、レジで決済する際に登録を促して、登録してもらえたらインセンティブがあるようにするなど、既存の顧客にむけてのアプローチが中心です。

また、ゆかた祭りなど現地のイベントごとに合わせて、「LINE@の導入を始めました」というチラシなどのキャンペーンを商店街が行うなど、各店舗単位以外に商店街単位でのアプローチも行なっています。

LINE上では住んでいる地域を限定してアプローチすることができない。また、クーポン等を発行する機能があることから実際に店舗に足を運んでもらうことが前提となっているツールだ。そのため、LINE@の導入後、店舗はどのように店舗に足を運んでくれる可能性のあるユーザーを獲得するのかが気になっていた。だが、話を伺うとLINE@は新規顧客の獲得ツールではなく、どちらかというと、既存顧客の保持、リピーターの確保のためのツールという位置づけになるようだ。

時代の主流となるコミュニケーションツール

これまでだと会員登録をしてもらい、メールで連絡をしていたことを、LINEで担っているということになります。LINEは、現代のコミュニケーションツールの中心となっているので、店舗側からの発信もそこに合わせた形にしていかなくてはいけません。

メールと異なり、LINEのメッセージの開封率はほぼ100%。LINE@なら、ユーザーは自分のほしい情報だけを簡単にフォローでき、解除も簡単にできるため、メールアドレスの登録よりハードルがずっと低いものとなっています。

これまではお店から連絡をもらう際に用いられるコミュニケーションツールはメールが中心だった。メールをもらいたい場合は、会員登録が必要となることが多く、筆者もこの作業が面倒で断ってしまうことが多かった。なんとかそのハードルを超えてメールを受信できるようになっても、日々送られてくるメールの数は膨大な数になるため、なかなか開封ができていなかったりしていた。

その点、LINEで送られてくるメッセージはプッシュで通知がされるし、開封しやすい。届くメッセージの数が多すぎなければプッシュで通知されることもそれほどうっとおしいものではない。ただ、”数が多すぎなければ”ということが重要だが。

とりあえず試してみる

店舗の種類によってLINE@が合うか合わないかはありますが、現在、LINE@は最大3ヶ月まで無料で利用でき、さらに初期費用がかかりません。この3ヶ月の期間いろいろ試してみて、自分の店舗には合わないということであれば、4ヶ月目からは利用しない、というやり方も考えられます。

現在、下通商店街の店舗の方々は、LINE@アカウントを開設し、運用を開始したところだ。今後は、LINE@の運用・改善のノウハウをもっているトライバルメディアハウスの指導のもと、メッセージ配信時のポイント、データの分析方法と改善コツなどを学び、各店舗の情報発信力と集客力を強化していく。

LINE社は、LINE@や公式アカウントが提供するクーポンやサービスを利用すると共通ポイントがたまる「LINEマイレージ」機能も提供する予定だということも発表している。こうしたポイント制度が提供されるようになれば、LINE@を利用するメリットもさらに増えそうだ。

こうしたローカルビジネスとLINEの組み合わせは、熊本に限らず他の地域でも効果を発揮する可能性がある。ローカルビジネスに取り組んでいる方は、LINE@にトライしてみてはいかがだろうか。