新世代の電動モビリティ「WHILL」が量産化を目指して伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、500 Startupsなどから100万ドルを調達

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次世代の車椅子「パーソナルモビリティ」を開発するWHILL, Inc.は7月15日(日本時間で7月16日)、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(以下、ITV)、500 Startups、サンブリッジグローバルベンチャー及びWingleと個人投資家らから100万米ドルの資金調達を実施したことを発表した。個人投資家には500StartupsのDave McClure氏やFacebookでソフトウェアエンジニアを務めるのEric Kwan氏らが名を連ねる。

今回の資金調達でWHILLは第一号製品となる量産化モデルの開発、販売を進める。初回は直販で50台を米国マーケットに向けて販売する計画だという。時期は2014年初旬を計画している。

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日産、ソニー、オリンパス。日本を代表するメーカー出身の若手技術者たちが新しい世界を創造しようとしている。

WHILLのプロジェクトをクラウドファンディングCAMPFIREで知った人も多いのではないだろうか。2011年暮れに実施された試作機のプロジェクトはその後順調に成長し、500Startupsへの採択、そして今回の資金調達ラウンドへとコマを進めた。

WHILL代表取締役の杉江理氏の話によれば、車椅子というプロダクトは1932年から変わらなかった分野。こういった少し「ニッチ」な市場で、大型のハードウェアをスタートアップさせることは容易ではない。ITVでWHILLの投資を担当しているディレクターの浅田慎二氏に投資判断について尋ねると、プロトタイプと市場の重要性を語ってくれた。

「こういったハードウェア投資の話題は他からもくることはあります。しかし彼らが違っていたのは既にモノを作ってきた。これは大きいですね。

さらに市場についても国内では規模にして200億円程度。実際にこのモビリティを使おうにもその前に家のバリアフリーを改善しなければならない。一方で北米ではヒアリングした結果、熱烈に待望する声を多く拾うことができた。それがチャレンジの要因です」(浅田氏)。

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ちなみにWHILLのチームの話によれば、ハードウェアプロトタイプの開発はかなり敷居が低くなっているのだという

「今回の試作機では500万円ほどの金額がかかりましたが、大企業ではこの10倍はかかるでしょうね。要因としてはやはりソフトウェアのオープンソース化や3Dプリンターなどによるパーツ制作環境の変化があります。米国のテックショップでは共有の場所で工作機械を貸してくれますし、早く安く部品が調達できるようになったのは大きいです」(WHILLチーム談)。

拠点を東京とサンフランシスコに置く同社だが、今回取材で伺った「工場」は東京の町田にあった。駅から徒歩で数十分と離れた場所だったが、秘密基地のようで楽しかった。ここから始まる変化に期待したい。

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写真:取材中もどんどん来訪者がやってきて打ち合わせを進める

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写真:手前に見えるのが開発中の新型ホイール

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写真:地図を頼りに探しても見つけるのは困難な「秘密基地」

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