東南アジア発でPayPalに挑むスタートアップ10社

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東南アジアのeコマースに資金が流れ込む一方、実店舗の小売市場とオンライン小売市場の間のギャップはまだ安定していない。

インドネシアの小売市場規模は1,340億米ドルであるが、eコマースの推定市場価値はまだ小売総額の0.7%ほど。フィリピンでは小売部門は328億米ドルで安定しているが、Nielsenの調査によると2011年時点で消費者のわずか1%しか過去1か月にeコマースを試さなかったという。

そのようなギャップの要因の1つに、PayPalとは異なり、クレジットカードがあまり浸透していない地域で成長できるユビキタスな決済ゲートウェイが存在しないことが挙げられる。決済ゲートウェイは現金を持ち歩くよりも、機密性あるデータのセキュリティを提供しつつ決済処理の摩擦を軽減することができる。

東南アジアでは、銀行口座を持たない、また十分な銀行サービスを受けていない人のためになるような、国境間の大衆市場にアピールできるプラットフォームが存在していない。そしてインドネシア、フィリピン、ベトナムではまだこうした人たちが多数を占めている(PDFリンク参照)。

しかし、少数だがそのような試みをしている企業もある。以下にこの地域で将来有望な決済関連のスタートアップ10社をまとめてお伝えしよう。

Qwikwire

Qwikwireは銀行間の仲介をすることで、フィリピンにいる売り手とアメリカにいる買い手の間の決済を容易にしたいと考えている。銀行口座を持たないフィリピン人には支払い金額を引き出すことのできるキャッシュカードが発行される。Qwikwireについての記事を読んでほしい。

市場:フィリピン、アメリカ
トラクション:現時点ではまだベータ
投資:シンガポールのアクセラレータJFDIから1万1,700米ドル

Ayannah

2008年設立のAyannahは、銀行口座がない人向けに多くの支払いサービスを提供している。Sendah Directは、ユーザがモバイル用エアタイムクレジットや商品券、そして小口保険商品を含む電子商品を始め、有形の商品の再販ができるウェブとモバイル用プラットフォームだ。

Sendahを利用し、フィリピン人は互いに電子商品や有形商品を送ることができる。また、ゲーマーは、Gamenahを使いゲームクレジットやバーチャル商品を3つの方法(モバイル経由、ウェブ経由、そしてカウンター)で購入することができる。詳細については、Startupbeate27をチェックしてみてほしい。

市場:フィリピン
トラクション:Sendah Directは、6,000か所で小売展開。
投資:2度のシード投資(Siemer VenturesとGolden Gate Ventures主導で200万米ドルの資金調達に続き、次のラウンドで100万米ドルを獲得。)

Dragonpay

Dragonpayでは、ユーザがネット上で店舗から購入したあと、インターネットバンキングサービス、ATM、銀行窓口、小売業者などクレジットカード以外のチャネルで料金の支払いができる。APIが提供されている店舗はサポート先からの支払いを受けることができる。このプラットフォームはデビットでの繰り返しの支払い、大口の支払いにも対応している。

市場:フィリピン
トラクション:非公開
投資:非公開

Apptivate

Apptivateはアプリや映画をiTunesで購入する際にバーチャル通貨を使用するためのウェブアプリである。クレジットカードは必要ない。書籍購入へのサービス分野拡大やタイ、インドネシアなど他の市場への進出を計画している。

市場:フィリピン
トラクション:非公開
投資:ApptivateはフィリピンのアクセラレータプログラムLaunchgarageに参加した際、シード資金として3万米ドルをKickstart Venturesから調達。

1Pay

2011年初めに設立された1Payは、デジタル商品のモバイル決済に特化している。店舗はSDKを使ってモバイルでの決済を統合できる。こうすることでユーザはSMS、インターネット、プリペイドカードを使って支払いができる。1Payについての記事を読んでほしい

市場:ベトナム
トラクション:2万5,000超のメディアネットワークと25の現地モバイルゲームスタジオと協力
投資:非公開

Mobivi

Mobiviは2008年頃設立され、PayLinkと提携して、ソフトウェアの購入やゲームへのチャージなど、ユーザが様々なサービスの支払いができるキオスクの設置を行っている。同社はそのほか従業員用クレジットカードを提供している。これは、参加している企業が従業員への支払いに使用でき、しかも従業員はネット上で商品購入ができるカードだ。

市場:ベトナム
トラクション:従業員クレジットカードで300店舗
投資金額:資金調達で1,000万米ドル超。3つの主な投資家はExperian(400万米ドル)、Kusto Tiger Fund Private、Unitus Impact。

Payoo

PayooはPaybillをローンチした。これは、ユーザが電気、水道、電話、インターネット、ケーブルテレビの支払いができるオンラインサービスだ。Payooについての記事を読んでほしい

市場:ベトナム
トラクション:非公開
投資:非公開

2C2P

2C2Pは2003年に設立されたが、最近、B2Cの代替的な支払い方法に1-2-3をローンチして参入した。このプラットフォームは、ユーザがネット上で直接デビットにて支払いができるものである。2C2Pは同様にB2Bの支払いを容易にする別のサービスがある。2C2Pに関する記事を読んでほしい

市場:タイ(主要市場)、インドネシア、カンボジア、ラオス、フィリピン
トラクション:1-2-3はタイに2万の現金収集拠点を構える。全体では2C2Pは、アジア太平洋地域で2011年において1日あたり7万8,000の取引、4億5,000万米ドルに及ぶ取引額があった。(比較として、PayPalは1日あたり3億1,500万米ドルを処理している。)
投資:i.JAM傘下にあるExpara IDM Venturesからのシード資金、Digital Media Partnersから100万米ドルのシリーズAラウンド、GMO Venture Partnersから200万米ドルのシリーズBラウンド。

Coda Payments

Coda Paymentsは携帯電話会社と共に、スマートフォンやフィーチャーフォンを使って、デジタルコンテンツや有形商品の支払いができるサービスを展開している。詳しくはThe Next Webへ

市場:インドネシア
トラクション:インドネシア通信会社Axisと提携
投資:GMO Venture Partners、Digital Media Partners、Golden Gate Ventures他エンジェル投資家からの額は非公開

Cherry Credits

Cherry Creditsでは、現金で購入可能なスクラッチカードでゲーマーはバーチャル商品を購入することができる。カードはコンビニ、インターネットカフェ、キオスク等で購入することが可能だ。中国のAlipayやアプリ内課金プラットフォームのMoVendとも統合されている。Cherry Creditsに関する記事はこちら。

市場:スクラッチカードはシンガポール、マレーシア、フィリピン、タイ、インドネシア及びオーストラリアで販売されている。また、アメリカ、ヨーロッパ、中東からもCherry Creditを購入することもできる。
トラクション:オーストラリアにある1,000店舗を含めて世界中に10万の販売拠点
投資:非公開

(Image credit: WorldIslandInfo.com)

【原文】

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