「新しい働き方」はバブルか未来かーー11億円を調達したクラウドワークス吉田氏に聞く(前半)

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2013.12.2

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2011年11月創業のスタートアップが大型調達を実施した。

国内でクラウドソーシングを展開するクラウドワークスは12月2日、サイバーエージェント、DGインキュベーション、電通デジタル・ホールディングスの3社を割当先とする第三者割当増資を実施したことを発表した。

金額は総額で11億円、3社の金額割合などの詳細は非公開。また、これに伴い、サイバーエージェントとデジタルガレージの2社とは事業提携も発表している。

クラウドワークスは2011年の12月にサイバーエージェント・ベンチャーズおよび個人を割当先とする第三者割当増資(金額は非公開)を実施、翌年の10月には伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、DGインキュベーション、サンエイトインベストメントをから総額3億円の資金調達を実施している。

リリースを眺めると2013年12月時点での累計発注社数は1万8000社、登録された仕事予算は50億円、新しい働き方を求めて登録する会員は8万人となっている。

サービス開始からわずか1年半で14億円超を調達した「新しい働き方」は私たちの人生を変えてくれる「未来」なのか、それとも単なる「バブル」の産物なのか。

本インタビューでは、新しい働き方に対する疑問と可能性、そしてスタートアップの急成長と重圧の現実についてクラウドワークス代表取締役の吉田浩一郎氏に話を聞く。

私はまず今回の資金調達に関する話題から話を始めた。

大型調達の使い道

ーー11億円の調達は大型ですが、さすがにゲーム会社と違って開発者を大量に採用してというのとも違いますし、営業で攻めるクーポンのようなモデルとも違います。どういう意図でここまで大型にしたのですか?

「まず、(そもそもクラウドソーシングを使って)企業が個人に発注する文化というものがまだ日本には根付いてません。つまり時間がかかるというのが背景にあります。当然、(競合などがいるなかで)シェアを取りにいくというのは自然な流れになります。人材確保も必要ですし、マーケティングも積極的にする必要があります」。

ーーなるほど。ちなみに追いかけているメインの数字は?

「当初は仕事の件数でしたね。最近ではマッチング率をみていて、一件一件の満足度を上げるようにしています」。

ーーシェアであれば、なんだか仕事の件数と予算額をゴリゴリ取りにいくようなイメージありましたが、働き手の満足度を重要視していると。

「リクルートって21世紀における最大級の人材開発会社で、履歴書を一番沢山所有しているわけじゃないですか。私たちはそのオンライン版と思って頂ければ結構です。働いている人たちの情報をデータベース化する」。

ーー働く人のデータを持つことでどのような未来が描けるんですか。

「例えばワーカー方々のマトリックスを作るわけです。ある人はエクセル作業で2万円、でも方や10万円貰っている人がいる。情報をみるとマクロが使えるかどうかでその差が生まれていることが分かる。じゃあ教育をしようとかそういうことが可能になります。また、そういう働き手のリソースがどういう状況かを知ることで、何かアプリ作りたいと考えた企業が的確に発注をすることができます」。

個人というリソースが仮想的に蓄積されるプラットフォーム。人々のスキルが可視化され、適切な仕事とマッチングされる。不足するスキルは教育で補充する。ワーカーの管理を技術で効率化する世界観は理解できる。そしてこのあたりは資金がかかる箇所でもある。もう少しこのあたりを聞いてみよう。

日本最大級のクラウドソーシング「クラウドワークス」

ーーなるほど。働き手のデータベースを拡大させて、国内のリソースを把握することができれば社会の公器としての存在意義が出てきます。クラウドソーシングには各職種に対して工程管理などのシステムが必要で、その対応に開発リソースを投入するというお考えですか?

「業務管理のシステムは個別に開発していく予定です。ただ、自社だけでなくAPIを出して外部の方々との連携も模索するつもりです。先日発表したKDDIウェブコミュニケーションズとの連携もそのひとつですね。オープンソース的な発展を狙っているのは当初の通りです」。

ーーちなみにどの程度の人員規模にされる予定ですか。

「現在(アルバイト等含め)20名から30名ほどですが、これを50名体制にもっていく予定です。ただ、人は厳選して採用するつもりです。現在も役員4名が全員OKしないと採用しないようにしてませんし、成長期を経験した先輩方々から採用の敷居を下げることで修正に苦しんだ例を沢山聞いているので、そこは注意しています」。

個人が独立する時代

クラウドソーシングを取り巻く環境は、概念が生まれた北米と日本では少し違う。私の同僚(カナダ出身)もたまにODeskを使うのだが、彼らにとってクラウドソーシングはあくまでコンタクトフォームだ。ワーカーと便利に連絡が取れて自由に発注ができる。トラブルも同時にやってくるが慣れたものだ。

一方日本ではやはりまだまだ内職のような「安かろう」イメージが強いだろう。さらにプラットフォーム側への依存度、期待度も高い。受注からワーカーの管理まで一元的に実施するMUGENUPのようなスタイルの方が受け入れられやすく、翻訳のクラウドソーシング「Conyac」も最近は営業を強化してビジネス向けの事業に力を入れていることからもその傾向は感じられる。

ユーザー同士が取引を実施する完全なるオープンプラットフォームのスタイルはどこまで日本で受け入れられるのか。後半では大型資金を必要とする「時間のかかる文化づくり」について、引き続き吉田氏に話を聞く。(後半へつづく

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