モバイル・メッセージングの分野、とりわけここアジアでは、LINE、WeChat(微信)、カカオトークということになるが、その最も面白い側面の一つがユーザに提供しているゲームだ。WindRunner [1] は LINE とカカオトークの両プラットフォームで人気を得たが(昨年2月のレビュー英語記事を参照)、時々他社のビジネスをコピーすることで知られる [2] Tencent(騰訊)は、WindRunner の人気を踏襲しようとしているようだ。
その傾向は、1月7日にローンチした新しいモバイルゲーム「GunZ Dash」に見受けられる。GunZ Dash は、2013年9月にリリースされた中国語版ゲーム「天天酷跑」の国際英語版だ。
ゲームの内容に関しては、前出の比較ビデオでわかるように、GunZ Dash は WindRunner とほぼ同じである。Tencent がゲームの中国語版コピーを出すのは珍しくないが、このゲームを世界ユーザにも向けて展開し始めたことに少し驚いている。WindRunner は良いゲームだが、GunZ Dash も完璧にコピーされた結果、良いゲームとなっている。
「天天酷跑」はリリース以降、中国では売上トップ5にランク入りしており(下表参照)、中国語版のコピーアプリを作るのは、ビジネスの観点から言えば明らかに賢い戦略だ。しかし、その中国語版を世界展開までし始めたのは興味深い。私の記憶の限りでは、過去にこのようなことはあまりなかった。
Tencent は WeChat をベトナム、インドネシア、タイなど、多くの東南アジア諸国で展開しており、Tencent が GunZ Dash で魅了したいのは、これらの国々のゲーマーたちということになるだろう。Tencent は特に新興国にゲームを展開し続け、それらが中国製だということを隠し続けるだろう。
私が何を言いたいのかって? 一般論で言えば、中国最大のインターネット会社のサクセスストーリーが、結局、人マネによるものだった、ということに失望している。Tencent は大きい会社だが、国際メディアはあまり関心を持たないので、彼らはこのようなことをやり続けることができるのだろう。
Xiaomi(小米)のような新進気鋭の会社は、「Steve Jobs と呼ばないでほしい、ただ着ているモノが似ているだけ」という CEO の存在によって、中国の起業家達を魅了している。
- 韓国の WeMade 社が開発した。 ↩
- 私がここで「時々」とは言っているが、要は、出来うる限りすべてをコピーし、インターネット帝国を築こうとしている、ということだ。 ↩
BRIDGE Members
BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。- 会員限定記事・毎月3本
- コミュニティDiscord招待