データドリブンでつくる「pairs」の会員数は130万人、NYのOnline Datingサービスにも出資するエウレカ

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eureka-foundersエウレカの赤坂さん(右)と西川さん(左)

恵比寿駅西口から徒歩一分にあるおしゃれなオフィス。2008年の設立からもうすぐ6年を迎えるエウレカです。「pairs」と「Couples」という2つのアプリを提供する同社の代表取締役の赤坂 優さんと、取締役副社長である西川 順さんのお2人にお話を伺ってきました。

アジアのブルーオーシャンで立ち上げた「pairs」は会員数130万人

国内外を問わず、ベンチャー企業への投資・育成事業を行うために2人が設立したのが、エウレカベンチャーズ。エウレカベンチャーズは今年7月、ニューヨークで展開するアジア人向けOnline Datingサービス「EAST MEET EAST」にDeNAらと50万ドルを出資しました。今後は北米とアジアのシナジーを模索しながら、相互の事業拡大を目指すと言います。

サービス開始から2年が経つpairsの日本と台湾市場を合わせた総ダウンロード数は130万。台湾ユーザーはそのうち50万人を占めます。Facebookの普及率が高く、親日であることによるマーケティングの優位性を考えて台湾に的を絞ってみたところ、見事にハマりました。

北米や北欧にはOnline Datingのサービスが溢れていますが、アジアはまだホワイトスペースで、日本でもビジネスとして確立していないと感じました。また出会い系というとネガティブな印象が強く、その文化を根本から変えることに本気でチャレンジする意義を感じてpairsの開発に至りました(赤坂)

他の条件がいくら揃っても、時代が欲していないものは受け入れられない

実はエウレカはこれまでにトータルで4つのアプリを世にリリースしています。リリースから2年で日本最大級の恋愛・婚活サービスに成長した「pairs」、カップルを対象とした「Couples」。それ以前は、人がダウンロードしたアプリが覗き見できる「peepapp」とその後身である「pickie」を開発。ところが、後者の2つのプロダクトに関しては既にサービスを終了しています。

他のユーザーをフォローすると、その人がインストールしたアプリなどが覗き見できるアプリでした。ただ、当時はまだアプリをソーシャルで探すという流れがなく、半歩早かった。大手企業の後押しがあろうが、どれだけプロモーション予算があろうが、結局時代が欲していないものは受け入れられない。身をもって学びました(赤坂)

その後、受託開発の事業を進めながら、次のプロダクトを模索していたエウレカ。そこで西川さんが思いついたアイディアがOnline Datingのサービスでした。

新規事業をやるなら、マネタイズのモデルが明確なものをつくりたいと考えていました。Online Datingは期待の成長市場で課金モデルも明確です。留学時代の海外の友人の多くがそうしたサービスを活用していることからもポテンシャルを感じていました(西川)

マーケ畑出身の“データドリブン”という強み

アジアのOnline Dating市場がまだまだブルーオーシャンだとはいえ、競合となるサービスはいくつも存在します。そんな中で、pairsが絶好調な理由はどこにあるのでしょうか。

そのひとつは、作り手であるファウンダーのお2人がECサイトのマーケティング畑の出身であること。顧客の新規獲得、LTVや課金転換率といったあらゆる数字を追うEC業界で培ったデータ主導のやり方を徹底しています。各種数値は社内用の管理画面で共有され、売上げやユーザーの意見までが50名ほどいる社員全員に共有されるそう。

前日の数字を見て改善していく、ということの積み重ねです。各種数値やユーザーからの意見はもちろん、サービスがクラッシュした回数なども全社員に通知されます。そうしてすべてのデータを可視化することで、PDCAをスピーディに回すことができています(赤坂)

かゆいところにも届くユーザーインタフェースとユーザーエクスペリエンス

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新しくなったプロフィール写真

前述した赤坂さんの発言にあるように、サービスの成功にはプロダクトだけでもプロモーションだけでも難しく、必ずその両輪が求められます。それは、とことんユーザーの立場に立ってサービスをつくることに直結しています。

pairsのiPhone/Android版が8月21日にリニューアルしたのですが、細かい要素をいろいろと改修しました。例えば、online datingのサービスで一般的なプロフィール写真の形を四角から円形に変えて、ファーストビューの露出人数を少なくしています。一見すると小さな変更ですが、既存の出会い系サイトとは異なった世界観をつくり、入りやすい雰囲気が生まれています。(赤坂)

pairsのPC版はFacebookに似たユーザーインタフェースを採用していて、一方のiPhone版はLINEに似たそれを採用しています。PCとスマホ、それぞれのデバイスでユーザーさんが最も使うアプリのデザインを意識して日々改修しています(西川)

pairsのデザインやユーザーインタフェースからは、“気遣い”が感じられます。例えば、pairsを使っている最中に電車でスマホ画面を覗き込まれてもいいような工夫を施しています。特に女性に顕著な、「出会い系を使っていることを知られたくない」という心理的ニーズにも応えているのです。

“10を100にする”ために文化づくり

現在、pairsのFacebook上のファン数は800万人弱、またMAUは100万人を突破しています。サービス開始から現在までのマッチング延べ成立数は400万件以上。

その一方で、Online Datingが一般的に抱える課題が、良い相手を見つけてしまった利用者が卒業してしまうこと。そこに対してpairsはどのように対応しているのでしょうか。

それが、そんなこともないんです。カップルがめでたく誕生すれば、pairsからカップル専用アプリ「Couples」に移ってくれますし、出会った相手と残念ながら上手くいかなければまたpairsに戻ってきてくれるからです(赤坂)

日本最大級の恋愛・婚活サービスに成長し、10を100にするフェーズにあると赤坂さんが話すpairsの目下の課題は、オンラインの出会いをポジティブに捉える文化の啓蒙です。

先日も、1ヶ月前に投資したニューヨーク拠点のonline datingサービス「EAST MEET EAST」のチームと話をしていたのですが、やはり、欧米でも、ネットで出会ったということを積極的に言わない人もまだまだ多いようです。この文化の啓蒙はグローバルで求められるものだと思うので、pairsもそこにしっかり取り組んでいきたいと思っています(西川)

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