いかに恐怖を克服してゲームへの投資を続けるかーーあるイスラエル人投資家の考え方

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Above: Gigi Levy-Weiss, the head of NFX Guild, a game and tech accelerator in Israel. Image Credit: Dean Takahashi
上:Above: イスラエルのゲーム・テックアクセラレータNFX Guildのヘッド、Gigi Levy-Weiss氏
Image Credit: Dean Takahashi

Casual Connect Tel Avivの主催者側が私のイスラエル行きの旅費を支払ってくれたが、この記事内容は客観的なものである。

イスラエル、テルアビブ発 — 多くの投資家は今でもゲームへの投資を恐れている。ヒット作を見つけるのが難しいからだ。しかし、あるイスラエル人投資家はゲームの可能性を検証すること、そしてこれまで行ってきたことを繰り返すことのできる最適なチームを見つけることでこの問題を克服したと語ってくれた。

エンターテイメント企業への投資はリスクが伴うものの、NFX Guildアクセラレータのトップでゲームテック企業に投資を続けているGigi Levy-Weiss氏は、かつてゲーム投資に参入した。 PlariumやPlaytikaといったイスラエルで成功したゲーム企業に投資したのだ。

市場アナリストEilers Researchによると、Playtikaは現在Caesarsが所有し、世界最大のソーシャルカジノゲーム会社になっている。Caesarsは、2011年に評価額1億5000万米ドルのSlotomaniaの開発業者だったPlaytikaを買収した。この買収が引き金となってイスラエルのソーシャルカジノゲームはブームとなり、現在イスラエルのゲームセクター全体は、ソーシャルカジノ、マーケティング技術、教育用ゲーム、またオンラインギャンブルにわたり、200社のゲーム会社までに広がっている。

「きちんとやれば、これほど早く成長するものはありません」 とイスラエルで行われたCasual Connect Tel AvivのイベントのスピーチでLevy-Weiss氏は述べた。

多くのベンチャー投資家は、ゲーム業界から手を引くか、あるいはゲーム投資を1つに絞ることでリスクを最小限にとどめている、と彼は述べた。技術諮問会社のDigi-Capitalが今週語ったところによると、ゲーム取引は今年に入って急激に減少したという。今年最初の9ヶ月で合併や買収(そしてIPO)は昨年の82%に落ち、ゲーム投資は35%を下回った。IPOは消滅した。

Above: Gigi Levy-Weiss, speaking at Casual Connect Tel Aviv. Image Credit: Dean Takahashi
上:Casual Connect Tel Avivで登壇中のGigi Levy-Weiss氏
Image Credit: Dean Takahashi

「願わくば、業界にもっと資金が流れ込んでくれるといいのですが、それがあってこその成長ですから」 と彼は述べた。

Levy-Weiss氏は今年初めにNFX Guildアクセラレータを立ち上げたが、彼は大手のリアルマネーオンラインギャンブル会社、888 Holdingsの元CEOとして業界のベテランである。彼は、成功するゲーム会社の特徴や投資する際に何を期待するかについて詳しく説明してくれた。市場への道は非常に短い。成長しつつある人材プールがある。成功するのに役立つルールはあるのだろうか?

「保証は何もありませんが、他社を上回るために重要なルールがあります」 とLevy-Weiss氏は述べた。「優秀すぎる人」などというものはないという。会社はいろいろな人の集まりだ。一緒に働くためには最も優れた人材だけを採用すべきなのだ。

彼曰く、優れた人材というのは、責任感に基づいて行動し、仕事をこなし、いつもさらに多くのことを行い、注意を払い、仕事を愛し、目は輝き、データが好きだという。態度やスキルで採用して雇用する、すなわち必要とする最低限以上の人を雇用することです。人を集めてグループを作るのではなくチームを作るのだと彼は述べる。トップレベルの人が、トップレベルの人を採用すべきだ。

「ユニークで異なる人を採用することを恐れてはいけません。革新的な解決策をもたらすのは誰でしょうか?異なった考え方をしそうな人は誰でしょうか?」

人材を獲得することでゲーム企業のリスクは軽減される。こうしたリスクは実にたくさんある。例えばヒット作不足、激しい競争、ユーザ獲得費用の増加、廉価なバイラルチャネルの不足、そして多数のスタートアップが出現する割にはイグジット数が少ないなどがあるとLevy-Weiss氏はいう。

また、速く動きすぎるということはないとも話している。

「スピードはスタートアップの一番の競争上の強みです。速く動くことができなければ大きな成功はものにできないでしょう。チェスで相手が一手指すところこちらが二手指せればどんな名人でも打ち負かせるでしょう」とLevy-Weiss氏は述べた。

また、彼はゲームの試作品を18ヶ月ではなく数ヶ月以内に完成させねばならないと考えている。もし試作品の完成に18ヶ月もかかるようのなら、開発に取りかかるべきではないという。完成度よりもいかに早く完成させるかに重きを置いているのだ。物事が遅くなるので、あまり考え過ぎるな。しかし同時に、製品の品質は落としてはならない。

ゲームには、Clash of ClansやBejeweledなど、そのジャンルの過去のゲームのような、必ず参照できるものがある。

Above: Gigi Levy-Weiss was an early investor in Playtika. Image Credit: Dean Takahashi
Above: Gigi Levy-Weiss氏は、Playtikaに初期に投資した投資家だ
Image Credit: Dean Takahashi

「良いゲームには全て参考になるものがあります。何が上手くいき、何が駄目だったかを分析し、その答えを見付ける必要があります。」もし直接参考になるものがなければ、ゲームループのコア部分に関して参考できるものを見つけられるかもしれない。それでも見つからなければ、それは独創的なゲームかもしれないので、その場合はきちんと動作するよう慎重に試作品の開発に取り組む必要がある。

顧客に対応し、そして「情熱を見つけて」いかなければならない。つまり、顧客に合わせて上手くゲームを微調整しなければならい。彼は、Zengamingは成功するまでのしばらくの間、eスポーツ参加者のネットワークで試す必要があったことを強調した。

「コアとなるゲームループが機能していないのなら、突然始まることはないでしょう」 とLevi-Weiss氏は述べた。「自分が勝者であるのか分からないのであれば、おそらく勝者ではないのでしょう。」

だから、ヒット作がないのであれば、それに関して懸命な判断を下すべきだ。

「分析麻痺を避けることです」 と彼は言った。

ゲームへの参加が簡単で、毎日ユーザーがゲームに戻りたくなるようなもので、最初から収益化できるように設計され、自分自身も夢中になってプレーできるゲームを作るべきだ、と彼は言った。

「今は、ゲーム起業家にとって素晴らしいときです。楽しんでください。なぜなら、楽しむことがすべてなのですから」

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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