本稿は、グローバル・ブレイン・アライアンス・フォーラム2015 の取材の一部である。
東京のスタートアップ向けVCであるグローバル・ブレインは11日、都内で年次のスタートアップ・カンファレンス・イベント「Global Brain Alliance Forum(GBAF)」を開催した。
GBAF の中で開催された、スタートアップ・ピッチ・イベント「Global Startups Pitch Battle 2015」には、日本やアジア各地からスタートアップ10社が東京に集積し、日本の交流駆動LED開発スタートアップ「ステラージアLED」が優勝の座を獲得した。
審査員は、
- 産業革新機構 戦略投資グループ長 土田誠行氏
- 三井不動産 ベンチャー共創事業部 事業グループ長 松井健氏
- フリュー 取締役事業部長(コンテンツ・メディア事業担当) 芝山貴史氏
- Reality Reflection CSO ノ・ジョンソク(노정석)氏
…が務めた。
〈優勝〉ステラージアLED(日本)

ステラージアLED は、産業用LED照明を開発・販売するスタートアップ。世の中の一般的な LED が直流駆動であるのに対し、交流駆動のLEDの開発に強みがある。交流駆動LEDはアルミ電解コンデンサーなど故障率の高い電子部品を使用する必要がなく、故障率・消費電力・ノイズなどの低減を可能とする。
また、世界では商用電流の電圧や周波数が国によって異なるが、LED を交流駆動にすることによって回路を一本化でき、生産ラインを統一できるため製造コストを上げることができる。今後はスマートライティングなどの新事業を計画中。
〈GB賞〉Kacific(シンガポール)
Kacific は、アジア、太平洋、フィリピン、パプア・ニューギニア、インドネシアなど、離島向けに通信衛星を使ったブロードバンド・インターネット・サービスを提供。50Mbps 程度の衛星インターネット接続を、同種のサービスの10〜40倍安価で離島の集落単位に提供する。すでにアメリカでは、郊外の200万世帯にブロードバンド・インターネットを届ける技術として確立しているものを利用。
2016年に衛星を発注し、2018年から打ち上げ開始。必要となる投資金額は総額1億8,200万ドルを見込んでいる。通信会社、地元の ISP、政府などにサービスを卸売りすることで料金を徴収。衛星やサービスのコントロール・センターは日本に開設するとのこと。
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〈GB賞〉Eatigo(タイ)
Eatigo は、レストランが時間単位の割引を提供できるようにし、閑散な時間帯(オフピーク・アワー)にお客を呼び込めるモバイルアプリ。2014年6月にローンチ。タイから始め、現在ではシンガポールにも進出している。400店舗以上のレストランが30分毎の割引内容を設定。
典型的な接客サービスであるホテルや航空会社は、それぞれ利用率が73%、74%と比較的高いのに対し、レストランは35%と低い。レストランの空席率を減らすため、割引により閑散時の顧客トラフィクをシェイピングする機能を提供する。
今後、日本とインドに進出予定。将来的には、香港、フィリピン、マレーシア、インドネシアへの市場進出も視野に入れている。

〈オーディエンス賞〉アクセルスペース(日本)

アクセルスペースは、東京大学からスピンオフしたスタートアップで2008年の設立。気象情報サービスのウェザーニューズから受託した超小型衛星の打ち上げ 実績がある。アクセルスペースは重さ60キロググラム程度、大きさ50センチメートル四方の超小型衛星を開発しており、2017年の3基を皮切りに 2018年から年10基ずつ打ち上げ最終的に50基体制を構築、低軌道を周回する衛星群で気象データや地形データを集積し官公庁や民間企業に販売する。通常1基あたり数十億円以上かかる打ち上げ費用を10億円以下に圧縮できるため、衛星複数基による運用体制を構築できるのが特徴だ。
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