グローバル・ブレイン、2021年の経営戦略を発表——上海・バンガロール・NYにオフィス開設、国際展開をさらに加速へ

SHARE:

本稿は、Global Brain Alliance Forum 2020 の取材の一部。

グローバル・ブレインは4日、都内で年次イベント「Global Brain Alliance Forum 2020(以下、GBAF 2020 と略す)」を開催している(新型コロナウイルス感染対策のため、今回はオンライン開催)。このイベントの中で、代表取締役の百合本安彦氏は、同社の今後の経営戦略について発表した。

2020年の振り返り——103社に151億円を投資実行、投資先4社がIPO、3社がM&Aでイグジット

グローバル・ブレインは、GBAF 2018 で組成を発表した7号ファンドから、これまでに48社(フォローオン出資を含め63件)109.5億円の投資を実行したことを明らかにした。投資先の4分の1以上をフィンテックが占めている。これらを含め、2020年にグローバル・ブレインが実施した出資は103社151億円に達し、逆に投資先がイグジットを果たした実績は IPO が4社、M&A が3社に達した(累積では20社、M&A は51社)。

IPO でイグジットを果たしたスタートアップには、BRIDGE でも報じた Creema、今月上場予定の WealthNavi、スマホ待受画面でニュースを見せる「CashSlide(캐시슬라이드)」を開発する韓国 NBT Partners、創薬バイオベンチャーのクリングルファーマなどが含まれる。

成長のカギは、三次元戦略と加速度モデル

百合本氏は、2021年のグローバル・ブレインを成長させるカギとして、三次元戦略と加速度モデルを披露した。ここでいう三次元とは、地域 × 領域 × 投資・支援・ステージを意味し、さまざまなスタートアップを網羅的に捉え投資活動を強化していこうとする同社の成長戦略を象徴するものだ。

百合本氏はまた、地政学が国際的な投資トレンドに与える影響についても言及した。これまで世界経済のリーダーだったアメリカがその立場を放棄し、米中間のディカップリングが加速。時代は新たな冷戦の時へと投入し、TikTok の禁止のほか、中国企業のアメリカの証券取引所からの上場撤退などのニュースが増えているのも既報の通りだ。

国際展開の強化

ヨーロッパ、東南アジア、アフリカなどで中国資本に対する警戒感が高まっており、インドでは中国からの投資がストップし、その空いた隙間に GAFA からの資金が流入している。百合本氏は、こういった変化はが結果的に日本の VC にとっての投資機会が増すきっかけになると説明し、投資活動を強化するため、インド・バンガロールと中国・上海に現地オフィスを開設することも明らかにした。

既設のロンドンオフィスについては、DACH 地域(ドイツ、オーストリア、スイス)への投資活動を強化するため、ドイツ語ネイティブの人員を増員する。また、脱炭素やサーキュラーエコノミー分野への投資を強化するため、これらのスタートアップのハブであるアメリカ東海岸をカバーするため、これまでのサンフランシスコに加え、ニューヨークにもオフィスを新設する計画だ。同社の拠点数は世界で9ヶ所(9都市)となる。

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する