先週行われた韓国総選挙で、政治への関心集めに一役買ったスタートアップ3社

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"Voting" via Flickr by Justin Grimes
“Voting” via Flickr by Justin Grimes

韓国総選挙が4月13日に行われ、スタートアップは多くの情報を投票者に提供し、モバイルに精通した国民に選挙への参加を呼びかけた。

朴槿恵氏が大統領に選ばれた2012年における韓国の投票率は75.84%であった。同国には現在、比例代表制で21の政党があり、投票者にとってはどの候補者を選び、どの政党を支持すべきか非常にわかりづらい状況だ。

選挙候補者のための韓国版CrunchBase「MyCandidates」

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MyCandidatesで各候補者の経歴を知ることができる
Image Credit: MyCandidates

選挙候補者データベースプラットフォーム MyCandidates は、韓国国会議員選挙すべての候補者の詳細データを公表し、市民が候補者のことをよりよく知る機会を提供している。2010年に家族の議員選挙への出馬を手伝った MyCandidates 設立者であるカン・ユンモ(강윤모、英語名:Rebekah Kang)氏は、候補者に対する投票者の無関心と親近感のなさを間近に感じた。そのギャップを埋めるため、彼女は MyCandidates を設立したのだ。

名刺を渡した人の中には政治に全く興味のない投票者もいました。(Kang 氏)

MyCandidates は昨年、法律と政策の追跡ツールや顧客への分析を提供するワシントン DC 拠点の FiscalNote買収された。中国の Renren(人人) から1,000万米ドルの資金を得た FiscalNote の総資産は2,800万米ドルを超える。他にもシンガポールの Temasek Holdings やサンフランシスコ拠点の Visionnaire Ventures も同社への投資を行った。

私たちはいつも政治家を責めますが、彼らを選んだのは他ならぬ私たち自身です。投票前も投票後も、社会で何が起こっているのか目を離してはならないのです。(Kang 氏)

投票者の意思決定をゲーミフィケーションする「P!NG Korea」

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どの候補者が自分の政治的見解にマッチするか視覚的に示してくれるP!NG Korea
Image Credit: WAGL

WAGL(We All Govern Lab)の目標は、公開討論や実験を通じてより多くの人に政治的意思決定プロセスに参加してもらうことだ。WAGL のデベロッパーが作成した P!NG Korea というアプリおよびウェブサイトは、テロ対策法労働法の可決、歴史の教科書の書き換えなど韓国で物議をかもしている20の議題についての質問を通して、投票者が支持政党を選ぶ手助けをするというものだ。

P!NG Korea のマネージャーである JK Suh 氏は TechNode に対し次のように語った。

選挙に無関心な投票者に政治の話をするのは困難なことです。アプリからアプローチすれば、5分もたたないうちに投票者はアンケートに答え、選挙における20の鍵となる問題について考えることができます。韓国21政党の政治的立ち位置を可視化することで、ユーザの意思決定プロセスの向上につながります。

Suh 氏はイギリスで国際関係を学び、国がどのように選挙で Voter Advice Application を利用しているかを見てきた。「どの国でも選挙に取り入れることができる簡単な方法でした。私たちの国でもできるはずだと思ったのです」と Suh 氏は言う。

P!NG Korea は、ドイツやオランダ、イギリスにおいて VAA(Voting Advice Applications)が採用した候補者と政党に関する重要情報提供基準のローザンヌ宣言を支持している。このプロジェクトは自主財源によるもので、営利目的ではないと Suh 氏は語る。選挙後、同社は選挙データを分析する。長期的展望では、法案の起草に基づいた新しいプロジェクトの立ち上げも計画している。

政治討論版 Twitter の「Parti」

Partiの「政策について議論・投票」するページ
Partiの「政策について議論・投票」するページ
Image Credit: Parti

Parti は誰でも候補者と話ができるオープンプラットフォームだ。Parti の設立者 Ohyeon Kweon (권오현)氏は韓国で人気のポータル Daum の元デベロッパーで、オンラインで意見をシェアするコミュニティ Daum Agora の開発に携わっていた。

韓国で140万人を集めた2008年の米国産牛肉輸入再開反対に端を発したデモの際、Kweon 氏はオンラインで大衆の動員を目の当たりにした。

政治的問題に対する技術的なアプローチを始めたいと思いました。Daum で政治に全面的な焦点を当てることは難しいと感じたので、会社を去ることにしました。Democracy OS やスペインの Podemos といったオンラインプラットフォームのことを知ったのはその頃です。(Kweon 氏)

Parti の目標は、韓国で主要となっている問題についてアイデアをシェアできる民主的なプラットフォームを作ることである。

Twitter や Facebook で問題について討議することもできますが、一旦投稿されるとすぐに忘れ去られてしまいます。そのため、問題ごとのアーカイブと分類に焦点を当てました。そうすれば、議論を続けることができますから。(Kweon 氏)

1ヶ月の間テストサービスを行った後、同社は現在 Parti1.0のローンチ準備を行っており、1~2年後にはプラットフォームでシェアされたアイデアを実際に政策として議会に提出するつもりだ。

誰にとっても、自分や社会に影響があると考える問題の一つや二つはあるはずです。人々に興味を持ってもらい、政治に関心を持ち、アイデアを共有して参加してもらいたいと思っています。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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